第8部 第11話「二つの精霊」
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第11話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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状況 :ゼイヴァンが訪問した翌日
コダが精霊の気配を追っている
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夜明け前、コダが目を覚ました。
精霊の感覚が騒いでいた。
これまでとは違う騒ぎ方と感じ、急いで外に出た。
渓谷の上空に光が集まっていた。
アポロンの光とは違った。
クロノスの気配とも違った。
全く別の何かだった。
コダが意識を集中させた。
光が近づいてきた。
形になりかけた。
人の形ではなかった。
しかし確かに意思があった。
コダ:「あなたがあの気配ですか。ずっと感じていた。
レイムンドが来た時から。アリカが来た時から」
光が応えた。
感覚として言葉が届いた。
精霊:「ああ、だが形になれなかった。
自由を選ぶ者が少なかったから。
だが、選ぶ者が増えるたびに俺は大きくなる」
コダ:「名前は」
精霊:「リベリオン。自由の精霊だ」
コダ:「自由の精霊」
リベリオン:「俺と対となる精霊がいる
名はドミニオン。支配の精霊だ。
しかしやっと久々に目覚められたよ」
コダ:「ドミニオンは今どこにいますか」
リベリオン:「ゼイヴァンのそばだ。
しかし今日は揺れている。
俺が大きくなるたびにドミニオンも揺れる
そういうもんさ」
コダが聞いた。
コダ:「対立しているんですか」
リベリオン:「対立ではない。
対だ。
お前たちはその関係をよく知っているだろう」
コダは思う。クロノスとケイオス、ガイアとタルタロス、そしてアポロンとタナトス。
コダ:「どちらが欠けてもいけないと言う事ですね」
リベリオン:「そうだ。
自由だけを求めても前には進まん。
秩序だけでは息がつまる。
両方が必要だ」
光が少し薄くなった。
形が消えかけた。
リベリオン:「まだ完全には形になれないな。
もう少し自由を選ぶ者が増えれば、な」
コダ:「待っています」
光が渓谷の上空に戻った。
消えなかった。
ただ、遠くにいた。
信への報告
コダが急いで信のところへ行った。
信が手帳を開いていた。
コダ:「信さん。わかりました。あの気配の名前が」
信:「分かったのか」
コダ:「リベリオン。自由の精霊です。
支配のドミニオンという対の精霊がいる。
でも長い間バランスが崩れていた。
しかし最近自由を選ぶ者増えてきてリベリオンの存在が大きくなってきた」
信:「いつから」
コダ:「この国ができてから。
少しずつ。
そして東帝国との接触で一気に大きくなった。
レイムンドが自分で決めた瞬間。
アリカが証拠を持ってきた瞬間。
ゼイヴァンがここに来た瞬間。
全部にリベリオンが反応していた」
信が手帳に書き留めた。
信:「リベリオンとドミニオン。
自由と支配か。
確かに両方必要だな」
コダ:「タナトスと同じですか」
信:「均衡、バランスが世界にとって重だね」
信の隣で精霊が大きく光った。
これまでで最大だった。
次元の境界で
その夜だった。
次元の境界で二つの精霊が向き合った。
リベリオンとドミニオンだった。
ドミニオン:「久しぶりだな、リベリオン」
リベリオン:「ああ久しぶりだ、長い間眠っていたよ」
ドミニオン:「お前が眠っていたからバランスが崩れていた。
俺が強すぎたせいで帝国が管理に偏った」
リベリオン:「お前のせいじゃないさ。
自由を選ぶ者がいなかったから俺が眠った。それだけだ」
ドミニオン:「俺はどうすればいい。
秩序を守ることが俺の存在理由だ。
しかし管理なしの秩序があるなら俺のやり方は間違っていたのか」
リベリオン:「間違っちゃいないさ。
秩序は必要だ。それは絶対だ。
しかし秩序には形がある。
押しつけられた秩序と選ばれた秩序は違う。
俺は選ばれた秩序を望む。
お前はどちらを望む?」
ドミニオン:「まだ答えが出ない」
リベリオン:「それでいい。考えることが始まりだ」
二つの精霊が離れた。
戦いにはならなかった。
しかし確かに向き合った。
それが最初の一歩だった。
信と精霊の対話
夜が深まっていた。
信が一人でいた。
傍にいる精霊がこれまでで最も大きく輝いていた。
形になりかけていた。
まだ完全ではなかった。
しかし確かに存在感があった。
信:「お前はリベリオンとドミニオンを知っていたのか」
精霊が応えた。
初めて言葉として届いた。
声ではなかった。
しかし言葉だった。
「知っていたよ。僕は適切な時の精霊だ。
自由を選ぶ者が現れる瞬間。
管理が必要な瞬間。
どちらの瞬間にも僕はいる。
つまりリベリオンとドミニオンの間にある精霊、それが僕、カイロスさ」
信が止まった。
信:「名前。
今お前が名前を言ったか」
カイロス:「カイロス。
適切な時。
好機。
転換点。
それが僕だ」
信:「カイロス」
信が声に出した。
初めて名前を呼んだ。
カイロスが大きく輝いた。
信:「いつからそばにいたんだ」
カイロス:「ずっと一緒だったよ。モモに『行っておいで』と言われたあの時も。
でもあの瞬間が転換点だった。
僕はその瞬間に生まれたと言っていい」
信:「モモ、保護犬カフェのあの老犬のモモか。
あの時から?」
カイロス:「そうだ」
信:「俺がここにいる理由と関係があるのか」
カイロス:「君は自由を選んだ。
この世界に残ることを。
しかし君は管理も知っている。
PMとしてプロジェクトを管理してきた。
自由と秩序の両方を知っている者がここに必要だった。
だから僕は君を選んだ」
信:「俺が呼んだんじゃなくて、俺を選ばれた?」
カイロス:「両方だね。
君が望んで僕が応えた。
それが適材適所って言うものでしょ」
信が少し笑った。
信:「適材適所か。
俺がずっと言ってきた言葉だ」
カイロス:「だから君の精霊だ」
コダへの報告
翌朝だった。
信がコダを呼んだ。
信:「コダ、ずっと俺のそばにいた精霊の名前が分かったよ」
コダ:「何という名前ですか」
信:「カイロス。適切な時の精霊かな。
昨夜初めて話した」
コダ:「カイロスが形になったんですね」
信:「まだ完全じゃない様だ。
でも名前がわかり話せた。
それだけで今は十分だ」
コダが少し笑った。
コダ:「信さんの精霊が適切な時』か。本当に信さんらしい」
信:「そうですか」
コダ:「PMが適材適所の精霊を持っている。
この国らしいです」
リュカに伝える
その日の夕方だった。
リュカが信を見つけた。
リュカ:「信、隣の光が大きくなってる。
名前が分かったって聞いたよ」
信:「ああ。カイロスという名前だ」
リュカ:「カイロス。いい名前だね」
信:「そうだね」
リュカ:「信らしい名前だよ。
カイロス、よろしくね」
カイロスが光った。
リュカに向かって光った。
リュカ:「応えてくれた。かわいい」
信:「かわいい?」
リュカ:「かわいいよ。信の精霊だもん」
信が手帳に書いた。
カイロスの名前がわかった。 適切な時の精霊。 好機。転換点。 モモが「行っておいで」と言った瞬間から ずっとそこにいた。 「お前が望んで俺が応えた。 それが適材適所だ」 そうか。 俺がずっと言ってきた言葉が 精霊になっていたか。 リベリオンとドミニオンが向き合った。 戦いにはならなかった。 「考えている」と言った。 それでいい。 考えることが始まりだ。 まだまだ続く。
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第11話終了時点
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リベリオンの名前判明
自由の精霊
自由を選ぶ者が増えるたびに大きくなる
ドミニオンと対になっている
ドミニオンとリベリオンの初対面
「押しつけられた秩序と選ばれた秩序は違う」
「考えている。まだ答えが出ない」
「それでいい。考えることが始まりだ」
戦いにはならなかった
カイロスの名前が明かされた
「適切な時。好機。転換点」
モモが「行っておいで」と言った瞬間から
ずっとそこにいた
「お前が望んで俺が応えた。それが適材適所だ」
リュカが「かわいい」と言った
信の言葉
「均衡に戻す。いつも同じ答えだ」
「俺がずっと言ってきた言葉が精霊になっていたか」
次のマイルストーン
→第12話:帝国内部でアリカが動く
→精霊の科学的解釈が広まり始める
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第8部 第11話 終了
次話:「広がる波紋」




