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ワクワク獣人ランド 〜異世界PM:適材適所で虐げられている獣人たちと最強の国を作ります〜  作者: 星麒麟


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115/121

第8部 第10話「内側から」

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建国プロジェクト:状況報告

第8部・東の大陸編 第10話開始時点

現在地:帝国の陣・クロノスリュカ

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状況 :アリカが帝国に戻った翌日

    帝国内部で変化が動き始めた

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帝国に戻ったアリカがレイムンドの部屋を訪ねた。


夜、全てを話した。

信の世界との繋がり。先祖の誤解。精霊の科学的な再定義。リベリオンの欠片のこと。

レイムンドが黙って聞いた。

全部聞き終えた。

レイムンド:「信の世界から俺たちの先祖が来た。それが事実なら」

アリカ:「事実だと思う。古代語が証拠だ。

     エスパノ語・アングル語。

     信が自分の世界の言語だと言った。

     俺には確認できない。

     しかし嘘をつく理由がない」

レイムンド:「精霊はエネルギー体か」

アリカ:「俺はそう理解した。

     知性を持つエネルギー体。

     俺たちの技術がそれを生み出せる。

     つまり精霊は俺たちと無縁ではない」

レイムンド:「帝国の民に伝えられるか」

アリカ:「全員には無理だ。

     しかし最初の一人を動かせれば次が動く。

     最初の一人はお前だ、レイムンド」

レイムンド:「俺か」

アリカ:「俺が技術で変える。お前が軍で変える。二人で変えれば動く」


レイムンドが窓の外を見た。

帝国の整然とした街が見えた。

レイムンド:「ゼイヴァン陛下に申し入れる。信に会いに行くように」

アリカ:「陛下が動くか」

レイムンド:「動くかもしれない。

       先日陛下が迷われた。

       初めて見た。その迷いを大切にすれば動ける」



レイムンドがゼイヴァンに申し入れる


翌朝だった。

レイムンドがゼイヴァンの前に立った。

レイムンド:「陛下、クロノスリュカの信という者と直接話していただきたい。

       計画の変更を検討を希望いたします」

ゼイヴァン:「俺が直接か。

       それは帝国の計画にない行動だな」

レイムンド:「わかっています。

       しかし計画にない行動が必要な時があります。

       陛下が先日迷われた。その迷いは正しいと思います」

ゼイヴァン:「お前は俺が迷ったことを知っていたか」

レイムンド:「顔に出ていました。

       陛下が迷われるのは初めて見ました。

       その迷いを大切にしていただきたい」


ゼイヴァンが長い間考えた。

ゼイヴァン:「……行こう。

       しかし帝国を代表してではなく、あくまでも俺個人として話を聞きに行く」

レイムンド:「それで十分です」



信とゼイヴァンの初対話


中立地帯。護衛なし。武器なし。二人が向き合った。

信がゼイヴァンを見た。

100年以上生きた者の重さがあった。

疲れているように見えた。

ゼイヴァン:「お前が牧野信か。

       思っていたより若いな」

信:「あなたは」

ゼイヴァン:「老いているか。

       言っていい。100年以上生きた。老いて当然だ」

信:「そうは言いませんが」

ゼイヴァン:「では何を言おうとした」

信:「あなたが思っていたより疲れているように見えます」


ゼイヴァンが止まった。

ゼイヴァン:「100年間管理してきた。疲れていない方がおかしいだろうな」

信:「誰かに任せなかったんですか」

ゼイヴァン:「任せたら間違える。俺が管理しなければ帝国が乱れる」

信:「全部一人でやってきたんですね。それは、大変でしたね」


ゼイヴァンが止まった。

100年間、誰にも言われなかった言葉だった。

ゼイヴァン:「大変だったかどうかはわからない。それしか知らないからな」

信:「他のやり方を見てみたいですか」

ゼイヴァン:「ああ。それがここに来た理由だ」



ゼイヴァンがクロノスリュカを見る


信がゼイヴァンを案内した。

護衛なしで歩いた。


市場


人間と獣人が笑いながら交渉していた。

値段が決まっていなかった。

毎回違った。

ゼイヴァン:「値段が決まっていないのか。国が管理せんと非効率だろう」

信:「しかし楽しそうでしょう」

ゼイヴァン:「…楽しい。

       しかし統一されていないとは」

信:「統一しなくていいんです。

   それぞれがそれぞれの判断で動いている。

   全員が違うから面白い」



ラック国立演芸場


チンチラの獣人マスデが踊っていた。

農村で会った幽霊が揺れていた。

エルフの代表が笑っていた。

ゼイヴァン:「話には聞いていたが、死者が生者と同じ場所にいる。

       帝国では考えられない」

信:「最初は俺も驚きました。

   しかし今は当たり前になっています」

ゼイヴァン:「当たり前になるのか」

信:「慣れるのではなく、理解するのだと思います。

   違う者が一緒にいる理由がわかった時当たり前になる」



農村


食の精霊デメテルが畑の上を漂っていた。

光の粒が作物を照らしていた。

ゼイヴァンが足を止めた。

ゼイヴァン:「これが精霊か。初めて見た」


しばらく見ていた。

ゼイヴァン:「怖くはないな。

       暖かい。

       それだけだ」

信:「精霊は基本的に攻撃しません。怖がっていない限り」

ゼイヴァン:「俺たちの先祖は怖がっていたから攻撃されたと思っていた。

       しかし逆だったんだな。

       精霊が怖がっていたとは」

信:「アリカさんが持ってきた記録がそう言っていましたね。

   精霊は苦しんで暴れただけだった。攻撃したかったわけではなかった」


ゼイヴァンがデメテルを見続けた。

デメテルがゼイヴァンの近くに来た。

怖がっていなかった。

ただ、漂っていた。

ゼイヴァン:「数千年前の誤解か。

       ……長すぎる」



リュカとゼイヴァンの対話


農村からの帰り道だった。

リュカが待っていた。

信が少し離れて見ていた。

リュカ:「あなたがゼイヴァン皇帝ですか」

ゼイヴァン:「そうだ。

       お前がこの国の王か。

       若いな」

リュカ:「みんなそう言います。

     でも国王になったのはもっと幼い頃です。これでも成長したんですよ」

ゼイヴァン:「なぜ幼き者が国王」

リュカ:「皆に望んでもらい、私が決めたから。誰かに決められたんじゃないです」

ゼイヴァン:「自分で決めたのか」

リュカ:「ええ。

     信がサポートしてくれる。

     だからできたんです」

ゼイヴァン:「サポートか。

       俺はサポートを求めたことがない。

       全部俺が決めてきた」

リュカ:「疲れませんか」


ゼイヴァンが少し笑った。

初めて笑った。

ゼイヴァン:「今日二人に同じことを聞かれるとは。

       疲れているか、と」

リュカ:「さっきはどう返したんですが?」

ゼイヴァン:「わからないと、な。

       それしか知らないから。

       しかし今日この国を見て少しわかった気がする。

       俺は疲れていたかもしれない」

リュカ:「休んでいいんですよ。

     任せればいい。信じれば任せられます」

ゼイヴァン:「信じることか。

       管理することと違うのか」

リュカ:「全然違います。

     管理は全部見ていないとできない。

     信頼は見ていなくてもできる。

     それが楽なんです」


ゼイヴァンが少し間を置いた。

ゼイヴァン:「お前はいくつだ」

リュカ:「もうすぐ大人になります」

ゼイヴァン:「俺が100年かかっても気づかなかったことを

       大人になる前のお前はもうわかっているのか」

リュカ:「信に教わったんです」


ゼイヴァンが信を見た。

信が少し離れていた。

二人の対話を見ていた。

邪魔しなかった。

ゼイヴァン:「あの者は何者だ。国王でもない。将軍でもない。

       しかし全員があの者の事を言う」

リュカ:「私の一番大切な仲間です。支えてくれる人です」

ゼイヴァン:「そういう者がいたなら俺の100年は違ったかもしれない」



帰り際のゼイヴァン


ゼイヴァンが帰る前に信に言った。

ゼイヴァン:「今日来てよかった。

       しかし帝国の方針はまだ変えられない。時間が必要だ」

信:「わかっています。急ぎません」

ゼイヴァン:「なぜ急がない」

信:「自分で決めた時だけ変わります。

   急かしても変わらない。

   あなたが自分で決めた時それが本当の変化だ」

ゼイヴァン:「管理者として100年生きてきてお前のような者に会ったことがなかった。

       急かさない。命令しない。

       しかし動かす」

信:「動かしているつもりはないんですが」

ゼイヴァン:「……それが

       一番怖いのだよ、私には」


ゼイヴァンが去った。

レイムンドが傍にいた。

ゼイヴァンが去り際に言った。

ゼイヴァン:「レイムンド。

       よく申し入れてくれた。

       お前が計画を外れて提案してくれなければ来なかった」

レイムンド:「陛下が来てくれました。

       それで十分です」



夜・信とリュカ


二人が時計塔の上にいた。

リュカ:「会う前はゼイヴァンって怖い人だと思ってた」

信:「実際は?」

リュカ:「怖くなかったよ。でも疲れてる人だった。

     ずっと一人で全部やってきた人だった」

信:「そうだな」

リュカ:「私もずっと一人でやってたらああなってたかな」

信:「なってたかもしれない」

リュカ:「ならなくてよかった」

信:「周りに意見を言ってくれる仲間がいたからだよ」


リュカが少し笑った。

リュカ:「管理と信頼は全然違うって言ったらゼイヴァンが黙ったの」

信:「自分に無い考えだからだろうね」

リュカ:「私が信に教わったことだよ。

     信が俺を信頼してくれたからわかった」


渓谷の灯りが見えた。

国民がいつも通り生きていた。


信が手帳に書いた。

ゼイヴァンが来た。 100年間管理してきた者が 初めてここに来た。 「疲れていたかもしれない」と言った。 デメテルを見て 「怖くない。暖かい」と言った。 リュカが「信じれば任せられる」と言った。 ゼイヴァンが「100年かかっても気づかなかった」と言った。 帰り際に 「急かさない。命令しない。しかし動かす」と言われた。 動かしているつもりはないんだが。 変わるのは外からじゃない。 内側からだ。 ゼイヴァンの内側で 何かが変わり始めた。 それだけで十分だ。


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建国プロジェクト:状況報告

第8部・東の大陸編 第10話終了時点

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アリカとレイムンドの連携

 「俺が技術で変える。お前が軍で変える」

 レイムンドがゼイヴァンに申し入れた


ゼイヴァンの訪問

 初めて計画を外れた行動

 「俺個人として話を聞きに行く」


信とゼイヴァンの初対話

 「疲れているように見えます」

 「それしか知らないから」

 ゼイヴァンが初めて限界を感じた


クロノスリュカを見たゼイヴァン

 市場:「非効率だ。しかし楽しい」

 演芸場:死者と生者が一緒にいる

 農村:デメテルを初めて見た

    「怖くない。暖かい」

    「精霊が怖がっていたのか」


リュカとゼイヴァンの対話

 「管理と信頼は全然違います」

 「俺は疲れていたかもしれない」


ゼイヴァンの言葉

 「急かさない。命令しない。しかし動かす」

 「100年かかっても気づかなかった」


次のマイルストーン

 →第11話:帝国内部の本格的な変化

 →ドミニオンとリベリオンが動く

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第8部 第10話 終了

次話:「二つの精霊」


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