第8部 第9話「証拠」
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第9話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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状況 :第三戦後数日
アリカが単独で接触してきた
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第三戦から数日後、帝国側から一人の人物が来た。
手には武器は無く、古い書物の写しだけを持っていた。
烏人シルトが信に報告した。
シルト:「アリカです。
単独で来ています。
今回は何かを持ってきている」
信:「通してください」
アリカが研究施設に入った。
コダが待っていた。
アリカ:「これが証拠だ。帝国の最古の記録だ。
記録室で見つけたものの写しだ。コダに確認してほしい」
コダが写しを受け取った。
信が横から読んだ。
最古の記録
「転移から三年目。
古代文明の核を初めて起動した。
その瞬間周囲にいた精霊たちが苦しみ始めた。
我らには理由がわからなかった。
精霊たちが暴れた。我らを攻撃した。多くの者が死んだ。
精霊は我らの敵だと判断した。
それ以来精霊を遠ざけることを国の方針とした」
コダが読み終えた。
静かに置いた。
コダ:「副作用だ。
古代文明の核の電磁場が精霊を混乱させた。
精霊は攻撃したんじゃない。苦しんで暴れただけだ」
アリカ:「そうだと思う。
しかし確認したかった。
コダに聞きたかった。俺の解釈は正しいか」
コダ:「正しいと考えます。
精霊が苦しんで暴れた。
攻撃ではなく反応だった。
数千年前の誤解が今の帝国を作った」
アリカが長い間何も言わなかった。
コダがムネモシュネに確認する
コダ:「アリカさん、少し待ってください。霊の側からも確認します」
コダが目を閉じた。
記憶の精霊ムネモシュネを呼んだ。
コダ:「ムネモシュネ。
数千年前のことを覚えていますか。
東の大陸から間たちが来た時のことを」
ムネモシュネが応えた。
コダが感じた言葉を伝えた。
コダ:「覚えていると。
あの時の痛みは今も残っていると。
突然体が焼けるような感覚があった。
怖かった。暴れた。
しかし攻撃したかったわけではなかった。
ただ苦しかっただけだと」
アリカ:「……」
コダ:「そしてこう言っています。
人間たちに伝えたかったが伝えられなかった。
言葉が通じなかったと」
アリカが目を閉じた。
アリカ:「伝えたかった。
しかし伝えられなかった。
俺たちの先祖も理解できなかった。
すれ違いだった。数千年前からずっとすれ違いだった」
コダ:「今は通じています。俺が伝えます。
ムネモシュネが言っています。
今話せている。それだけで十分だと」
科学的な言葉で伝える
信がアリカに言った。
信:「アリカさん、一つ提案があります。
コダが言ったことを帝国の言葉で言い直してみましょう」
アリカ:「帝国の言葉で?」
信:「精霊という言葉を使わなくていい。
帝国の民が受け入れられる言葉で伝える方法を一緒に考えたい」
コダが言った。
コダ:「精霊はこの世界のエネルギーが意識を持ったものです。
あなたたちの言葉で言えば知性を持つエネルギー体。
あなたたちの技術がそれを生み出した。
つまりあなたたちと精霊は無縁ではない」
アリカが少し考えた。
アリカ:「精霊を信じることではなくエネルギー体として理解することか。
それなら帝国の民にも伝えられるかもしれない。
俺たちの機械がそれを生み出している。
つまり精霊は俺たちの技術と無縁ではない。
研究できる。理解できる。怖くない」
信:「そうです。
改宗じゃない。修正だ。
先祖が情報不足で誤解した。
今の俺たちは正しい情報を持っている。
正しい判断をする。
それが帝国の誇りじゃないですか」
アリカ:「弱さじゃなくて正確さだ。
その言い方ならゼイヴァン陛下にも届くかもしれない」
帝国側・ゼイヴァンの変化
同じ頃だった。
帝国の皇帝の間でゼイヴァンが座っていた。
レイムンドの報告書を読んでいた。
「クロノスリュカは予想より手強い。
精霊なしの戦術を持ち始めている。
交渉も選択肢として検討すべき段階かもしれない」
ゼイヴァンが報告書を置いた。
初めて迷いが生まれた。
ゼイヴァン「交渉か。帝国が交渉する。それは管理下に入れることを諦めるということか。
しかしこのまま続けても時間がかかる。
迷っている。俺が迷っている。珍しい」
その瞬間だった。
部屋の空気が重くなった。
何かが押し戻してくる感覚があった。
ゼイヴァンが感じた。
ゼイヴァン:「何だ。この感覚は。ずっと押し戻してくる何かがあった。今日も来た」
それがドミニオンだった。
ゼイヴァンは知らなかった。
精霊の存在を信じていないから。
しかしドミニオンは
ずっとゼイヴァンのそばにいた。
ゼイヴァンが管理で全員を幸せにしようとするたびに
力を与えてきた。
しかし今日は違った。
ドミニオンが揺れた
アリカが帝国を離れて
クロノスリュカに向かった瞬間だった。
ドミニオンが揺れた。
これまでにない揺れ方だった。
ドミニオン:「離れていく者がいる。自分で選んで離れた。俺の秩序から。許容できない。
しかし止められなかった。なぜ止められなかった。
……自由の気配がある。リベリオンか。久しぶりだ。
長い間眠っていたか。目覚めたか」
ドミニオンが静かになった。
しかし消えなかった。
ゼイヴァンの周囲にいた。
今日は押し戻してこなかった。
ゼイヴァンが気づいた。
ゼイヴァン:「今日は違う。押し戻してこない。
むしろ……前に進めと言っているようだ。気のせいか」
コダがリベリオンを感じる
クロノスリュカだった。
アリカとの対話が終わった後だった。
コダが一人で空を見ていた。
コダ:「信さん、一つ聞いていいですか」
信:「何ですか」
コダ:「最近何かが変わってきています。
精霊の気配が新しいものになっている。
アポロンでもない。
クロノスでもない。
ガイアでもない。
違う何かです」
信:「いつ頃から感じますか」
コダ:「レイムンドが自分で決めて来た瞬間から。
アリカが記録を持ってきた瞬間から。
誰かが自分で選んだ瞬間にその気配が強くなります」
信:「どんな気配ですか」
コダ:「自由の気配です。
強制されていない選択の気配。
まだ形がない。
欠片だ。
しかし確かにある」
信が少し考えた。
カイロスが静かに光った。
信:「名前はまだわかりませんか」
コダ:「わかりません。
しかしアリカさんの周囲に今もその気配がある。
あなたが自分で選んで来たから現れたんだと思います」
アリカが振り返った。
アリカ:「俺の周囲に?」
コダ:「見えなくていい。確かにいます。
あなたが自分で選んだ瞬間に現れた。それがこの世界の答えです」
アリカ:「精霊が俺の選択を見ていると」
コダ:「そうです。
批判しているのではない。
ただそこにいる。
あなたの選択が呼んだんだと思います」
アリカが少し間を置いた。
アリカ:「俺には見えない。
しかし悪い気分じゃない。
自分で選んだことが何かを呼んだなら……悪くない」
信が初めて話す
全員が少し離れた後だった。
信がアリカに静かに言った。
信:「アリカさん、一つだけ話します。
まだにも言えないことです。
しかしあなたには言えるかもしれない」
アリカ:「何だ」
信:「あなたたちの古代語。
エスパノ語・アングル語。
これはスペイン語と英語の変化形だ。
つまり俺の世界の言語です」
アリカ:「あなたの世界? どういう事だ」
信:「俺はこの世界の人間じゃない。
別の世界から来た。
その世界の言語があなたたちの古代語に残っている。
つまりあなたたちの先祖は俺の世界から来た」
アリカが止まった。
アリカ:「証明できるか」
信:「証明は難しい。
しかし古代文明の核の設計。
閃光銃の原理。
荷電粒子砲。
全部俺の世界の技術の延長線上にある。
俺にはわかる。
そしてあなたたちの先祖は精霊のいない世界から来た。
だから精霊を知らなかった。
怖がった。
誤解した。
俺も最初はこの世界の全てが知らないものだった。
しかし知れば怖くない。
それだけだ」
アリカ:「俺たちの先祖があなたの世界から。
精霊のいない世界から精霊のいる世界に来て
知らなくて怖がった。……当然だったかもしれない」
信:「当然だった。
しかし今は知ることができる。
知れば変わる」
アリカ:「なぜ俺に話した」
信:「あなたが証拠を持ってきたから。
自分で決めて来たから。
それが信頼できる理由です」
アリカが長い間黙った。
窓の外を見た。
アリカ:「帰って考える。
レイムンドにも話す。
ゆっくりと変えていく」
信:「急がなくていい。あなたのペースで」
アリカ:「お前は急かさないんだな」
信:「急かしても変わらない。
自分で決めた時だけ変わる。
それを知っているから」
夜・コダと信
アリカが去った後だった。
コダと信が二人でいた。
コダ:「信さん。あの自由の気配。
名前をつけるとしたら何でしょうか」
信:「まだわからないな」
信が手帳に書いた。
アリカが証拠を持ってきた。 先祖の誤解だった。 精霊は攻撃したんじゃない。 苦しんで暴れただけだった。 数千年前のすれ違いが 今の帝国を作った。 「改宗じゃない。修正だ」 アリカがその言葉を受け取った。 帝国側でドミニオンが揺れた。 クロノスリュカ側で リベリオンの欠片が光った。 名前はまだない。 しかし確かにある。
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第9話終了時点
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アリカの証拠
最古の記録を持ってきた
「先祖は誤解した」という確認
ムネモシュネが裏付けた
科学的な言葉での再定義
「知性を持つエネルギー体」
「改宗じゃない。修正だ」
「弱さじゃなくて正確さだ」
帝国の民に伝えられる言葉が生まれた
ドミニオンの初登場
ゼイヴァンのそばにずっといた
アリカが離れた瞬間に揺れた
「止められなかった」初めての経験
リベリオンの存在を感知した
リベリオンの欠片
自由を選んだ者のそばに現れる
まだ形がない
アリカの周囲に気配がある
信が初めて真実を話した
「あなたたちの先祖は俺の世界から来た」
アリカが受け止めた
次のマイルストーン
→第10話:帝国内部の変化が加速する
→レイムンドが動く
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第8部 第9話 終了
次話:「帝国の内側から」




