第8部 第7話「信じてきたもの」
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第7話開始時点
現在地:帝国の陣・クロノスリュカ
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状況 :第二戦後
帝国内部でアリカが記録を調べ始めた
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帝国に戻ったアリカが記録室に向かった。
コダの言葉が頭から離れなかった。
「粒子の精霊が生まれています。
あなたたちの技術とこの世界の法則が交差した場所に」
記録室は厳重に管理されていた。
しかしアリカには技術者としてのアクセス権があった。
古い記録を漁った。
最も古い記録に手が止まった。
「我らの先祖がこの世界に来た時最初に会ったのは精霊だった。
精霊は我らを歓迎した。
しかし我らの技術が精霊に影響を与えた。
精霊が混乱した。
我らを攻撃してきた。
それ以来我らは精霊を遠ざけてきた」
アリカが記録から目を離した。
アリカが心の中で呟く。
「精霊が攻撃してきた。
しかしコダが言った。
副作用だと。
精霊を排除するために作ったわけじゃないのに精霊が動けなくなった。
先祖の時も同じことが起きたんじゃないか。
俺たちの技術が精霊を混乱させた。
精霊は攻撃したんじゃなくて混乱していただけじゃないか」
記録を閉じた。
長い間、動けなかった。
もう一つの記録
アリカがさらに古い記録を探した。
転移直後の記録だった。
「精霊との最初の接触。
精霊たちは我らの道具を見て不思議そうにしていた。
怖がっていなかった。
しかし古代文明の核を起動した時精霊たちが苦しみ始めた。
なぜかわからなかった。
精霊たちが我らを攻撃した。
多くの者が死んだ。
我らは精霊を敵と判断した」
アリカが記録を読み返した。何度も読み返した。
「怖がっていなかった。
不思議そうにしていた。
それはヘロンと同じだ。
ヘロンは俺の機械を怖がっていなかった。
好奇心があった。
古代文明の核を起動した時精霊たちが苦しんだ。
副作用だ。
先祖はそれを知らなかった。
誤解した。
攻撃されたと思った。
数千年前の誤解が今の帝国を作った」
レイムンドを探した
翌朝だった。
アリカがレイムンドの執務室に向かった。
二人は軍学校からの旧知だった。
アリカ:「レイムンド、話を聞いてほしい」
レイムンド:「入れ。顔色が悪いな。何があった」
アリカが記録のことを話した。
全部話した。
コダとの対話も。
ヘロンのことも。
先祖の記録のことも。
レイムンドが黙って聞いた。
全部聞き終えた後、しばらく何も言わなかった。
レイムンド:「それが事実なら」
アリカ:「先祖が精霊に攻撃されたのは技術が精霊を混乱させたからかもしれない。
誤解だったとしたら」
レイムンド:「帝国の根幹が崩れるな」
アリカ:「崩れると思うか」
レイムンドが窓の外を見た。
レイムンド:「正直に言えば崩れない。
帝国の民は豊かだ。
しかし俺はここ数日ずっと考えていることがある。
クロノスリュカで見たことを」
アリカ:「何を見た」
レイムンドが見たもの
レイムンド:「死者と生者が同じ場所にいた。
それが俺にはわからなかった。
人間と獣人が笑い合っていた。
精霊と子どもが遊んでいた。
帝国では見たことのない景色ばかりだった」
アリカ:「帝国でも子どもは笑うぞ」
レイムンド:「笑うな。しかし違うんだ。何が違うのかわからなかった。
しかし信という者が言った。
違うから強い。同じにする必要がない。
その言葉が頭から消えない」
アリカが頷いた。
アリカ:「俺も消えない瞬間がある。
ヘロンが俺の機械を見ていた。
怖がっていなかった。好奇心があった。
精霊が俺の技術に興味を持っていた。
その瞬間が消えない。
俺はずっと精霊は危険なものだと思っていた。
しかしヘロンには危険を全く感じなかった」
レイムンド:「お前も揺らいでいるか」
アリカ:「揺らいでいる。
信じてきたものが揺らいでいる。
お前は」
レイムンド:「俺も。
ずっと管理が正しいと思っていた。
全員が同じ方向を向けば誰も傷つかないと。
しかしあの国を見た後そうじゃないかもしれないと思い始めている」
二人が並んで窓の外を見た。
帝国の街が見えた。
整然としていた。
完璧だった。
しかし何かが足りない気がした。
二人が決めたこと
アリカ:「どうする」
レイムンド:「今は動けない。
帝国の将軍だ。
計画から外れることはできない。
しかし」
アリカ:「しかし?」
レイムンド:「見続ける。
クロノスリュカを。
あの国がどこへ向かうか。
それを見続ける」
アリカ:「俺は記録を集める。
先祖の誤解の証拠を集める。
事実が揃えば動ける」
レイムンド:「気をつけろ。
帝国の記録を勝手に調べることは許されていない」
アリカ:「わかっている。
しかしやるしかない」
レイムンドが頷いた。
レイムンド:「俺も信という者にもう一度会いたい。話したいことがある」
アリカ:「伝えるか?」
レイムンド:「いつか自分で行く」
クロノスリュカ・夜
同じ夜。信が執務室にいた。シルトが入ってきた。
シルト:「報告があります。
帝国の内部で動きがあります。
アリカという技術者が記録室に深夜まで籠もっていました。
レイムンドとも長い時間話していた」
信:「内容は」
シルト:「聞けていない。
しかし二人とも表情が変わっていた。揺れている顔だった」
信:「揺れているか」
信が少し考えた。
信:「急がないで行こう。
揺れている者を急かすと逆効果になる。
自分で決める時間を与える。
それが俺のやり方だ」
シルト:「待つということですか」
信:「待ちながら動く。
それがアジャイルというやつだね」
信と精霊
シルトが去った後、信が一人でいた。
精霊が傍にいた。
信:「アリカが揺れている。
レイムンドも揺れている。
帝国の内部から変わり始めている。
戦いで勝つだけが答えじゃない。
相手の中に変化を作る。
それが本当の勝ち方だ」
精霊が静かに光った。
信:「お前もそう思うか」
精霊が少し大きくなった気がした。
信が手帳に書いた。
アリカが記録を調べた。 先祖の誤解を見つけたかもしれない。 精霊は攻撃したんじゃなかった。 混乱していただけだった。 数千年前の誤解が 今の帝国を作った。 レイムンドも揺れている。 「違うから強い」が 頭から消えないと言っていた。 急がない。 揺れている者を急かさない。 自分で決める時間を与える。 帝国の内側から 変わり始めている。 それでいい。
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第7話終了時点
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アリカの発見
先祖の記録に残っていた
「精霊が攻撃してきた」
しかし真実は
技術の副作用で精霊が混乱しただけだった
数千年前の誤解が反精霊主義の根源だった
レイムンドとアリカの共鳴
二人とも信じてきたものが揺らいでいる
「違うから強い」が頭から消えない(レイムンド)
「ヘロンが怖がっていなかった」が消えない(アリカ)
二人の決意
アリカ:証拠を集める
レイムンド:見続ける・いつか信に会いに行く
信の判断
「急がない。揺れている者を急かさない」
「帝国の内側から変わり始めている」
精霊の変化
「少し大きくなった気がした」
次のマイルストーン
→第8話:第三戦
→帝国が計画を変えてきた
→アジャイル対ウォーターフォールの深化
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第8部 第7話 終了
次話:「計画を変えても」




