第8部 第5話「想定外」
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第5話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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状況 :初戦の翌日
聖白魔術の強化と第二戦の準備
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初戦の翌日から羊人クラグルとガルディウスが聖白魔術の強化に取り組んでいた。
アルカナム・キャノンの模擬環境を作った。
コダが精霊の気配を遮断する実験的な術式を展開した。
その範囲内で繰り返し試みた。
クラグル:「祈りは電磁的な阻害を受けません。
人の意志が源泉だから。
しかし出力が足りない。
もっと深く合わせる必要がある」
ガルディウス:「どうすれば深く合わせられる」
クラグル:「私があなたの祈りを感じながら白魔術を発動する。
しかしもっと深いところで」
二人が繰り返し練習した。
何度も失敗した。
光が生まれても消えた。
また試みた。
また消えた。
猫人パナシアが傍で見ていた。
パナシア:「先生、無理しすぎていませんか」
クラグル:「無理じゃない。まだできるわ」
パナシア:「そう言う時が一番危ない」
感情が鍵だった
何度目かの試みだった。
ガルディウスがエドガルのことを思いながら祈った。
あの日のことを思い出していた。
ゲヘナで倒れていたエドガルを。
「将軍が来てくれた。信じていました」という言葉を。
クラグルが助けた患者たちを思いながら発動した。
一人ずつの顔を思い浮かべた。
建国の初日から今日まで。
助けた命の重さを感じながら。
光が生まれた。
消えなかった。
ガルディウス:「消えなかった」
クラグル:「深さが違う。
技術じゃなくて感情なんです。
守りたい者を思う深さが出力になる」
パナシアが息を飲んだ。
光が模擬範囲内で輝き続けた。
ガルディウス:「これが対抗手段になるな」
クラグル:「なるでしょう。
ただし毎回本気で思い出さないと出力が落ちる」
ガルディウス:「本気で思い出すことは
俺には難しくない。
エドガルがいる」
クラグル:「私も難しくはありません。
患者全員の思い出がありますから」
レイムンドが来ていた
シルトが信に報告した。
シルト:「将軍レイムンドが三日続けて同じ場所からクロノスリュカを見ています。
攻撃する気配はない。
ただ見ている」
信:「なぜだ」
シルト:「わかりません。
しかし信さんが直接会いに行けばわかるかもしれない」
信:「行きます」
レイムンドとの対話
中立地帯だった。
信が単独で向かった。
レイムンドが驚いた。
しかし逃げなかった。
武器を構えなかった。
信:「何を見ていますか」
レイムンド:「わからないものを見ている」
信:「何がわかりませんか」
レイムンド:「なぜあなたたちはあれだけ違う者たちが一緒にいられるのか。
人間と獣人とエルフとドワーフと、終いには死者まで。
帝国では全員が同じでなければ管理できない。
しかしお前たちは違うまま一緒にいる。
それがわからない」
信:「答えを聞きますか」
レイムンド:「言え」
信:「単純な話です。違いは強さをうむ。
同じにする必要がない。それだけです」
レイムンド:「それだけか」
信:「それだけです。
管理しなくてもそれぞれがそれぞれの強みを出せる場所があれば一緒にいられる」
レイムンドが長い間何も言わなかった。
レイムンド:「帝国では強みは管理者が決めものだ。
本人が決めるのではない」
信:「それでうまくいっていますか」
レイムンド:「うまくいっている。
豊かさがある。
しかし」
信:「しかし?」
レイムンドが止まった。
言葉を探していた。
レイムンド:「俺は将軍だ。
帝国が決めた。
俺が望んだわけではない。
しかし嫌いではない。
これが幸せかどうかわからない。
比べたことがないから」
信:「比べてみますか。
今日だけでいい。
クロノスリュカを見に来ませんか。
ただし武器なしで」
レイムンド:「それはできない相談だ」
信:「わかりました。
しかしいつかできる日が来るといいですが」
レイムンドが去った。
信が見送った。
ニュー・ラスカルズの独自戦術
基地に戻るとニュー・ラスカルズが信を待っていた。
ハドヤー:「提案があります。
帝国は計画通りにしか動けない。
だったら計画を読んでその逆をやればいいんじゃないかと」
トゥエリス:「計画を読む?」
ハドヤー:「初戦で三段階だった。
歩兵・空中装置・アルカナム・キャノン。
毎回この順番なら先手が打てると思うんです」
メカラ:「ローフェンさんが言っていた。
敵の動きを読んで一手先に動く。
それが戦術だと」
信が全員を見た。
信:「面白いね。
やってみよう。
ただし無理は駄目だよ。
うまくいかなければすぐに変える」
ニュー・ラスカルズ全員:「わかりました」
第二戦・アジャイルの真価
第二戦が始まった。
今回は信たちが先手を打った。
信:「今回は俺たちから仕掛けます。
帝国の計画を最初から崩す。
全員、計画なしで動いていい。
現場判断を信じろ」
各自が動いた。
バラバラに見えた。
しかし全員が現場判断で連携していた。
バラバラに見えて一つになっていた。
帝国軍の通信が乱れ始めた。
帝国軍:「敵の動きが計画に存在しない。
対応パターンが見つからない。
指示を待つ」
指示が来なかった。
帝国軍:「指示が間に合わない。どうする」
また来なかった。
帝国軍:「各自判断で動け」
帝国兵が各自判断で動いた。
しかし慣れていなかった。
訓練されていなかった。
バラバラになった。
ニュー・ラスカルズが動いた。
ハドヤーが第二波が来る前に空中装置の展開場所を予測した。
地上から崩した。
ハドヤー:「予測通りです。
毎回同じ場所から展開している」
トゥエリスが展開しかけた空中装置に突っ込んだ。
物理的に破壊した。
トゥエリス:「普通にやっただけです」
メカラが崩れた陣形を分断した。
帝国軍が混乱した。
ローフェン:「やるね」
ロガ:「次世代だな」
遠くでレイムンドが見ていた。
報告書に書き始めた。
「帝国の計画を読まれている。
三段階攻撃の順番を把握されていた。
次回から順番を変える必要がある。
しかし彼らは順番が変わっても対応するだろう。
なぜなら彼らには計画がないから。
計画がない者に計画の変更は意味がない」
ペンを置いた。
アルカナム・キャノンが展開された
しかし帝国が第三波を動かした。
アルカナム・キャノンが展開された。
精霊の気配が消えた。
コダ:「また来た。範囲内に入った」
ローフェンのレーヴァテインが弱まった。
しかし今回は違った。
ガルディウスが前に出た。
クラグルが隣に立った。
ガルディウス:「エドガルを思い出す」
クラグル:「全員の顔を思い出します」
聖白魔術が発動した。
消えなかった。
アルカナム・キャノンの範囲内でも輝いた。
帝国軍が止まった。
帝国軍:「精霊なしの魔法が機能している。
計画にこの対応がない。
指示を待つ」
指示が来ない間に防衛線が持ち直した。
信:「今日はここまでにします。
全員、落ち着いて下がってください」
第二戦の振り返り
全員が戻ってきた。
怪我人は前回より少なかった。
信:「今日は前回より良かった。
ニュー・ラスカルズが空中装置を崩した。
聖白魔術がアルカナム・キャノンの範囲内でも機能した。
しかしまだアルカナム・キャノンを無効化できていない。
これが次の課題です」
コダ:「アルカナム・キャノンを無効化するには源泉を断つ必要がある。
何が精霊の活動を阻害しているのか。
もっと深く調べます」
アッチ:「俺も機械の観点から調べる。
ヘロンも手伝ってくれそうだ」
夜・信とレイムンド
夜だった。
シルトが信に報告した。
シルト:「レイムンドが今日も同じ場所で見ていました。
戦いの間もずっと」
信:「何を感じましたか」
シルト:「羨ましそう。
俺の目にはそう見えた」
信が少し考えた。
信:「レイムンドはいつか来ると思います。
急がなくていい」
信が手帳に書いた。
第二戦は前進した。 聖白魔術が機能した。 「技術じゃなくて感情だ」 ガルディウスとクラグルが それを証明した。 ニュー・ラスカルズが 計画を読んで先手を打った。 レイムンドが揺れている。 急がない。 しかし アルカナム・キャノンが まだ壁だ。 次の課題はそこだ。
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建国プロジェクト:状況報告
第8部・東の大陸編 第5話終了時点
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聖白魔術の強化
技術ではなく感情が出力になる
アルカナム・キャノン範囲内でも機能した
レイムンドとの対話
「違うから強い。同じにする必要がない」
レイムンドが「幸せかどうかわからない」と言った
将軍の心が揺れ始めている
ニュー・ラスカルズの独自戦術
三段階攻撃を先読みして空中装置を崩した
「次世代だ」とロガが言った
第二戦の結果
前回より優勢
聖白魔術がアルカナム・キャノン範囲内で機能
しかしアルカナム・キャノンの無効化はできていない
次の課題
アルカナム・キャノンの源泉を断つ
コダとアッチが調査を始める
次のマイルストーン
→第6話:アルカナム・キャノンの秘密
→封じられた精霊の声が聞こえる
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第8部 第5話 終了
次話:「封じられた声」




