表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワクワク獣人ランド 〜異世界PM:適材適所で虐げられている獣人たちと最強の国を作ります〜  作者: 星麒麟


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/38

第11話「コウモリは見えている」

========================================

建国プロジェクト:状況報告

第11話開始時点

現在地:山岳地帯・野営中

========================================

人員 :コア12名/総勢40名

    ロガ隊:狼人6名・犬人4名に増加

資金 :銀貨8枚

食糧 :安定確保

移動力:昼間のみ・夜間移動が課題

安全度:警戒レベル最高

    夜間の魔獣被害が続いている

========================================



その夜も、来た。


見張りのラギラブが異変に気づいた時には、すでに遅かった。

暗闇の中から魔獣が3体、野営地に飛び込んできた。

ラギラブ:「魔獣だ!」


ロガ隊が即座に動いた。

しかし暗闇の中では動きが鈍かった。魔獣のほうが夜に慣れていた。

ロガが一体を素手で制圧した。狼人2名が別の一体を囲んだ。

残りの一体が、非戦闘員の方に向かった。

ジグニ:「こっちへ来るな」


ジグニが前に出た。怪力で魔獣を押さえ込んだ。

しかし暗闇の中で見えない角が、ジグニの腕を掠めた。

戦闘が終わった。

クラグルがジグニの腕に手を当てた。光が溢れた。

クラグル:「深くはない。でも」

ジグニ:「大丈夫だ」

クラグル:「大丈夫かどうかは私が決めます。

      治ることは義務です」

ジグニ:「……わかった」


信が野営地を見渡した。

子どもの兎人が泣いていた。老人の獣人が震えていた。

信:「何度目だ」

ロガ:「今週で3度目だ」

信:「見張りは立てているのに」

ロガ:「夜は難しい。

    暗闘の中では匂いより

    目のほうが先に察知できる。

    うちには夜目が利く者がいない」

ミネルヴェ:「私は夜目が利くが

       上空からの全体把握で手が塞がる。

       地上の細かい動きまでは無理だ」


信は地面に座った。

3度目。そのたびに誰かが傷ついている。これは構造的な問題だ。夜目が利く者が地上にいない。それだけで、これだけの被害が出る。

信:「夜間察知に特化した仲間が必要だね」

シルト:「心当たりがあります。

     この先の廃墟に

     蝙蝠人が潜んでいるという情報が」

ミネルヴェ:「蝙蝠人か。

       音波で暗闇の障害物を感知する。

       視界ゼロでも動ける。

       夜間察知なら最適だ」

信:「明日、会いに行こう」

ロガ:「今夜はどうする」

信:「ロガ隊で交代で見張りを続けてくれ。

   クラグル、怪我人の確認をもう一度頼む」

クラグル:「わかりました」


夜が、長かった。


廃墟


翌夜、信・リュカ・シルトの3人で廃墟に向かった。

岩山の中腹に、古い廃墟があった。石造りの壁が半分崩れていた。窓はなかった。中は暗かった。

松明を持って入った。しかし奥には光が届かなかった。

シルト:「気配はあります。でも見えない」

リュカ:「いる。すごく近い」

信:「どんな感じ?」

リュカ:「ずっとひとりだった。

     すごく長い間。

     怖くはない。

     ただ、疲れてる」


信は松明を地面に置いた。

暗闇に向かって、静かに話しかけた。

信:「見えていますか。

   俺には見えないけど」

  (間)

  「あなたが見えている場所から

   俺たちはどう見えますか」


沈黙。

信:「危害を加えるつもりはない。

   ただ話したい。

   俺たちには夜が見える仲間が必要で

   あなたにはいる場所が必要かもしれない。

   違ったら、そう言ってくれればいい」


また沈黙。

天井から、何かが降りてきた。

翼膜を畳んだ小柄な影だった。大きな耳。鋭い目。首輪が翼膜の陰に隠れていた。

暗闇の中で、その目だけが光っていた。

アラファ:「脅威ではないと判断した」

信:「ありがとうございます」

アラファ:「なぜ礼を言う」

信:「出てきてくれたから」

アラファ:「…………」


信の視界に文字が浮かんだ。

===============================

適性鑑定:蝙蝠人・アラファ(推定25歳・女)

===============================

夜間察知 ★★★★★

音波探知 ★★★★★

飛行能力 ★★★★★

隠密 ★★★★★

人形態への変化 ★★★★☆

 └── 人間社会への潜入が可能

精霊魔法(風) ★★★☆☆

現在の状態: 長期の孤立

仲間を失った深い傷

疲弊しきった警戒心

現在の能力発揮値:20%

===============================


人形態への変化。昼と夜の両方をカバーできる。


アラファの過去

アラファ:「何が聞きたい」

信:「何も無理に聞かなくていい。

   あなたが話したいことだけ」

アラファ:「……珍しい人間だ」

     (少し間を置いて)

     「仲間がいた。

      この廃墟で10人で暮らしていた。

      人間の探索隊が来た。

      みんな捕まった。

      私だけ逃げた」

信:「…………」

アラファ:「暗闇の中は私の場所だ。

      誰も来ない。

      来ても見えない。

      だから生き延びた」

リュカ:「ひとりで、怖くなかった?」

アラファ:「怖かった。

      でも怖い場所に

      ひとりでいるほうが

      捕まるより良かった」


シルトが静かに言った。

シルト:「……俺と同じだ」

アラファ:「あなたも?」

シルト:「群れを失った。

     3年間、一人で生きてきた」

アラファ:「…………」

     (初めて、目が柔らかくなった)



信の言葉


信:「一つだけ聞かせてください。

   人の姿にもなれますか?」

アラファ:「なれる。

      でも、なる理由がなかった」

信:「理由を作りたい。

   夜を守れる場所を作っています。

   あなたの目と耳が必要だ。

   それだけじゃない。

   人の姿で人間の街に入れるなら

   昼と夜の両方をカバーできる」

アラファ:「スパイか」

信:「情報収集です。

   戦わなくていい場面を増やすために」

  (間)

  「昨夜も魔獣に襲われた。

   夜目が利く者がいれば

   防げた被害だった。

   子どもが怖がっていた。

   老人が震えていた。

   あなたの目があれば、守れる」

アラファ:「…………」

信:「暗闇の中で一人で見続けてきた目を

   仲間のために使ってほしい。

   見えない場所を見ることが

   あなたの力だ」


アラファはしばらく天井を見ていた。

アラファ:「条件がある」

信:「聞きます」

アラファ:「1つ。昼間の行動は最小限にしてほしい。

      昼は苦手だ」

信:「わかりました」

アラファ:「2つ。人形態でいる時は

      蝙蝠人だとバラさないでほしい」

信:「情報管理は徹底します」

アラファ:「3つ。シルトと組ませてほしい」

シルト:「俺ですか」

アラファ:「同じ痛みを知っているやつと

      組みたい」

シルト:「……喜んで」



初夜間移動


その夜、アラファが先頭に立った。

蝙蝠形態だった。翼を広げて低空を飛んだ。

音波を発した。暗闇が、アラファには地図になった。

アラファ:(風の精霊で全員に)

     「前方10メートルに岩。

      右に迂回。

      左の崖下に魔獣が2体。

      近づかないで」


全員が暗闇を進んだ。

一度も躓かなかった。

魔獣に気づかれなかった。

夜明け前に山岳地帯を抜けた。

シルト:「完璧だ」

アラファ:「暗闇は私の庭だ」

ロガ:「頼もしい」

アラファ:(少し驚いた顔をする)

     「狼人に褒められるとは思わなかった」

ロガ:「実力を認めるだけだ」


夜明けの光が差し込んだ時、アラファが人形態に変わった。

黒い髪。整った顔立ち。少し大きな耳だけが、蝙蝠人の名残だった。

ラギラブ:「全然わからない」

アラファ:「それが目的だ」

ダレト:「きれいな人だ」

アラファ:「……ありがとう」

     (照れた顔をした)


ガルディウスの斥候は、夜の間に完全に遅れをとっていた。

追跡を一時的に振り切った。


夜営の焚き火で、シルトとアラファが並んで座っていた。

シルト:「これから情報部門を一緒に動かしましょう。

     俺が昼、あなたが夜」

アラファ:「ドミナスは?」

シルト:「外部交渉担当です。

     3人で分担すれば

     昼も夜もカバーできる」

アラファ:「…………」

     (小さく頷いた)

     「……悪くない」



========================================

建国プロジェクト:状況報告

第11話終了時点

現在地:山岳地帯を抜けた・移動中

========================================

人員 :コア13名/総勢41名

    ロガ隊:狼人6名・犬人4名

資金 :銀貨10枚

食糧 :安定確保

移動力:夜間移動が可能になった

安全度:警戒レベル高

    ガルディウスの追跡を一時振り切った


夜間被害の解消

 アラファの音波探知により

 夜間の魔獣察知が可能になった


情報部門の確立

 シルト(昼・情報収集)

 ドミナス(外部交渉・変装)

 アラファ(夜・潜入・偵察)

 3者で昼夜をカバー


仲間の能力発揮値

 アラファ:20%(新規加入)


リュカの能力

 信のメモ:「夜間移動中も

       リュカの察知が鋭くなっている」


次のマイルストーン

 → 時間認知の方法確保

========================================



第11話 終了

次話:「アライグマは諦めない」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ