第7部 第10話「リリィの覚醒」
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建国プロジェクト:状況報告
第7部・死滅編 第10話開始時点
現在地:クロノスリュカ・ミネルヴェ魔導大学
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状況 :神聖魔法研究が佳境に入っている
最終決戦の準備が進んでいる
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エルネストが全員を集めた。
エルネスト:「神聖魔法の研究が佳境に入っている。
リザレクションはクラグルが発動できる。
しかしもう一段階上の神聖魔法が必要だ。
タナトスの軍団全体に対抗できる広域の神聖魔法。
それがなければ最終決戦で数に押される」
ミネルヴェ:「広域の神聖魔法は一人では発動できない。
複数の力を一点に繋げる必要がある」
全員がリリィを見た。
リリィが首の鈴を鳴らしながら言った。
リリィ:「私のことですか」
エルネスト:「そうだ。
お前の三重魔法がこの研究の鍵になる。
複数の力を繋ぐ能力がお前には生まれながらにある」
リリィ:「わかりました。やってやりますよ」
リリィの壁
研究が始まった。
リリィが複数の力を繋ぐ練習を始めた。
一人の時は問題なかった。
三重魔法も四重魔法も発動できた。
しかし他者の力を繋ぐ段階になった時だった。
うまくいかなかった。
リリィ:「なんか、繋がらないんですよ〜。
自分だけなら簡単なのに。
他の人の感覚ってのがわからなくて」
エルネスト:「力の質が違うからだ。
相手の力を感じる必要がある」
リリィ:「感じる?」
エルネスト:「そうだ。
力を出す前に相手を知れ」
リリィが考え込んだ。
首の鈴が鳴った。
信との対話
その夜、リリィが信の執務室に来た。
珍しかった。
自分から来ることがなかった。
リリィ:「信さんに聞きたいことがあるんだ」
信:「何だい」
リリィ:「人の力を繋げろと言われます。
でも繋げ方がわからなくって。
どうやったらいいですかかね」
信が少し考えた。
信:「魔法のことはちょっとわからないけど、仕事で言えばまず話を聞くことだな。
何が得意で何が苦手か。
どんな時に力が出るか。
リリィはそれをやったことがあるか」
リリィ:「ない」
信:「じゃあまずやってみたらどうだい。
研究チームの全員と一度ずつ話してみるんだ。
力じゃなくてその人のことを知るために」
リリィ:「遠回りじゃないですか?」
信:「でもね、大事な最初の一歩だと思うよ」
リリィが立ち上がった。
鈴が鳴った。
リリィ:「やってみます」
リリィが話を聞く
翌日からリリィが動いた。
研究チームの全員に話しかけた。
不器用だった。
しかし止まらなかった。
クラグルに話しかけた。
リリィ:「クラグルさんはなぜリザレクションを使うんですか。
毎回倒れちゃうのに」
クラグル:「助けられるから。それだけだですよ」
リリィ:「倒れてもまた使うんですか?」
クラグル:「使います。助けられる者がいる限りね。治ることは義務ですから」
リリィ:「わかりました」
ガルディウスに話しかけた。
リリィ:「祈りってのはどこから来るんですか」
ガルディウス:「部下たちだな。
守りたいと思う部下がいる。
その者たちの事を思うことと祈る事は俺にとっては同じことだ。
それだけだ」
リリィ:「エドガルさんのことですか」
ガルディウス:「そうだな」
リリィ:「わかりました」
コダに話しかけた。
リリィ:「コダさんって精霊と話す時は何を考えているすか」
コダ:「精霊のことをかな。精霊が何を感じているか。」
リリィ:「自分を消すんですか」
コダ:「消すんじゃないよ。相手に合わせ、というか重ねる感じかな。
自分はいる。ただ自分本位や自分よがりにならないように」
リリィ:「……」
リリィが少し黙った。
鈴が鳴らなかった。
エルネストに話しかけた。
リリィ:「先生は私の魔法が間違っている時なぜ怒らないんですか」
エルネスト:「怒る必要がないから。
お前は正しいことを間違ったタイミングで言うだけだ。
内容は合っているから方法を学べばいい」
リリィ:「私はずっと周りを怒らせてきました」
エルネスト:「怒らせることより気づかせることの方が大事だ。
お前は気づかせてきた。それはいいことだ」
リリィ:「そうなんですか?」
繋がりが生まれる瞬間
全員と話し終えた翌日だった。
リリィが研究チームの前に立った。
リリィ:「もう一度やらせてください」
全員が構えた。
リリィが目を閉じた。
クラグルの力を感じた。
命を救おうとする意志。
倒れても続ける力。
ガルディウスの力を感じた。
部下を守りたいという祈り。
真っすぐな感情。
コダの力を感じた。
精霊に合わせる柔らかさ。
自分を消さずに相手に寄り添う力。
エルネストの力を感じた。
学び続ける好奇心。
諦めない探求。
リリィが目を開けた。
リリィ:「繋げます」
魔法を発動した。
全員の力が一点に集まっていった。
クラグルの白魔術が流れ込んだ。
ガルディウスの祈りが加わった。
コダの精霊との対話が混じった。
エルネストの魔術理論が補強した。
リリィが全部を一つにした。
光が生まれた。
これまでとは違う光だった。
温かかった。
強かった。
広かった。
エルネスト:「これだ。広域の神聖魔法だ」
ミネルヴェ:「完成した」
光が研究室全体を満たした。
アポロンが研究室の上空に現れた。
光に引き寄せられていた。
コダ:「アポロンが喜んでいる」
リリィの変化
光が収まった後だった。
リリィが立っていた。
倒れなかった。
エルネスト:「一人で発動したわけじゃないから消耗が少なかった。
全員の力を借りているから」
リリィ:「一人より強い。本当に」
首の鈴が鳴った。
しかし今回は違う音がした。
軽やかな音だった。
クラグルが言った。
クラグル:「リリィ、よくできましたね」
リリィ:「先生に褒められた」
クラグル:「初めてですか?」
リリィ:「はい、いつも怒られてたので」
クラグル:「そう」
信への報告
エルネストが信に報告した。
エルネスト:「広域の神聖魔法が完成した。これで死霊の軍団全体に対抗できる」
信:「リリィがやりとげたんだね」
エルネスト:「そうだ。
仲間の力を繋げることを覚えた。
これがあれば来るべき戦いに臨める」
信がエルネストに言った。
信:「ありがとうございます。
リリィを見てくれて」
エルネスト:「あの子は最初から才能があった。ただその才能ゆえ孤独だったんだろう」
信:「みんなと一緒にいることを覚えたってことかな」
エルネスト:「そうだな」
リリィと信
夜、リリィが信のところへ来た。
二度目だった。
リリィ:「信さん」
信:「どうした」
リリィ:「仲間の作り方を学べと言われました。
最初に会った時。覚えていますか」
信:「ああ、覚えているよ」
リリィ:「今日少しわかった気がしました。
仲間の力を繋げるには仲間を知ることが先だということ」
信:「一人じゃないって分かったら人はとても力が出るもんなんだよ」
リリィ:「なんか、わかります」
信:「これから君はもっと強くなる」
リリィが頷いた。
鈴が鳴った。
リリィ:「ありがとうございます」
珍しい言葉だった。
信が少し驚いた。
信:「こちらこそ。頼りにしているよ」
リリィ:「はい」
信が手帳に書いた。
リリィが覚醒した。 広域の神聖魔法が完成した。 仲間の力を繋げることを 覚えた。 「一人より強い」 リリィがそう言った。 これで最終決戦に臨める。 準備が整いつつある。 次は全てを一つにする時だ。
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建国プロジェクト:状況報告
第7部・死滅編 第10話終了時点
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広域の神聖魔法が完成
リリィが全員の力を繋げた
最終決戦で死霊の軍団全体に対抗できる
リリィの成長
「仲間を知ることが先」
「話を聞くことが先」
信の言葉が実を結んだ
研究チームの絆
クラグル・ガルディウス・コダ・エルネスト
それぞれの力がリリィを通じて一つになった
アポロンの反応
広域の神聖魔法に引き寄せられた
「喜んでいる」とコダが感じた
信の言葉
「必要な時にわかれば十分です」
次のマイルストーン
→第11話:クラグルとガルディウスの共闘
→聖白魔術の誕生
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第7部 第10話 終了
次話:「聖白魔術」




