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あれから数日が経った。
あたしと雷くんは深雪ちゃんのお屋敷に運ばれて、絶対安静となった。なんだか最初の頃、記憶喪失になったあたしを思い出して笑っていたら、頭がおかしくなったと勘違いされて、さらに安静期間を延ばされそうになったのでちょっと慌てた。
本当ならあたしと雷くんは男女だから、別の部屋でそれぞれ療養すべきですってお医者さんは言ってたんだけど、あたしも雷くんもお互い近くに居てほしくて、どうしてもってお願いして、お医者さんは最後に折れてくれた。ただしあたしと雷くんのベッドの真ん中は布の衝立が置かれて、勝手に覗くのは禁止ですよと雷くんは女医さんにしっかり注意を受けていた。そんなことしないと思うんだけど、こういうのはちゃんとしといたほうがいいらしい。
深雪ちゃんは泣きながらあたしたちに会いにきてくれた。本当はすぐにお見舞いに来たかったけど、学院のゴタゴタを片付けたりとか、一世さんのこととかで色々忙しかったらしい。友達優先できへんなんてありえへん、と大泣きしながら飛び込んできた深雪ちゃんは相変わらずだった。あたしと雷くんの顔を見比べてぼろぼろのあたしたちをみてまた涙を大量に溢れさせてしゃくりをあげた深雪ちゃんを、あたしと雷くんでなんとか宥めた。最終的には、ほっと安心したようにため息を吐いた深雪ちゃんにとって、あたしも雷くんも。とっても大事な「友達」なんだと、心の底から実感した。
それから深雪ちゃんは話しづらそうに、それでも丁寧に一世さんのことについて教えてくれた。
一世さんは学院警備隊に捕まって、組織の内部について問い詰められているそうだ。それでも、黙秘を貫いているらしい。
深雪ちゃんは一世さんには会えていないらしい。どうしても会いたいと交渉を続けているが、難航しているのだと辛そうに教えてくれた。多分、学院は深雪ちゃんと一世さんの繋がりの深さを警戒していて、深雪ちゃんが足を踏み外さないか危ぶんでいるのかもしれない。
あたしたちも体調が回復次第、組織について尋ねられることが決まっている。でも、一世さんみたいに尋問されるわけじゃなくて、きちんとした心のお医者さんが付き添って、あたしたちが辛い思いをしないように十分配慮する、と学院長先生は約束してくれた。
あたしも、雷くんも、これ以上あたしたちみたいな思いをする子たちが増えることが無いようにしたいから、全部教えるつもりだ。
これで全部が終わったわけじゃない。おとぎ話の物語みたいに、悪人が全部いなくなって、めでたしめでたしじゃ終わらない。あたしも雷くんも、深雪ちゃんも、自分の行動で起きちゃったことと向かい合わなくちゃいけない。
それでも。
「あたし、この学院に来れてよかったと思います。大変なことも、もちろんありました。でも、二人に会えましたから」
あたしと雷くんのベッドの間に立って話を聞いていた深雪ちゃんは、大きく頷いた。
そして深雪ちゃんはあたしの手を繋いだ。続いて、雷くんの手をとって、三人の手のひらを重ね合わせた。




