↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
74/86

アル・ソトファ・コール!

「お兄さん……!?」


 呼びかけても返事がない。モノクロームの動きも止まっている。ダンテ様の言う通り、対話をしているのだろう。


 だが、美菜も止まっているわけにはいかない。


「……巫女様! 私にも、対話、させてください! 人を信じなくなった神様と!」


 精神が高まっていく。巫女とは、人と神とを繋ぐ者! だったらいける!


「彼らと!? 今!? 行うのか!?」


 ウジャムンガの巫女は驚愕していたが、すぐに確信のある言葉に変わっていく。


「塔と、いや神と……それどころか世界と同化する気か! マジか! 面白いからアリだ!」


「アリなのか」


 という、隣の呟きなど聞いていない。




「アーシュスくん! ちょっと塔のシステム借りるよ!」


「我らに拒否権はない。だが、巨神を維持している。回せる力は最大出力ではないと思え。全ての神と人との精神を繋げる、それは莫大なことであり……」


「分かーってるよ!」


 下層から、上層の機神……めちゃくちゃ頼れる大好きな巫女に力を送る。




 D・スピリッツが、青い光に包まれていく。


 ウジャムンガの巫女が叫んだ。


「この同化は神歌の儀ではない、人類の進化の儀だ! 行くぞ優祈美菜、御神酒の貯蔵はたんまりあるな!」


「はいっ!」


 ビール、いえ御神酒を一気! アルコールが回る! 残っていた弱気に火が付き、消し飛ばしていく!


「いけます!」


 ディバイン・スピリッツ、そして優祈美菜は発進した。



 精神域に突入した美菜は感じた。人間達の、神達の思念を。


 よくも、我らを土に閉じ込めた。


 よくも、私達を捧げなどした。


 消えろ、消えてなくなれ。


 ……そんな冷たい願いと共に。


 愛しい者、だから自らの一部としたい。


 人は、我が子も同然、だから愛おしい。


 神は、私達に繁栄をくれた、だから守りたい。


 ……温かい願いも同時に。


 熱いもの。氷のようなもの。全てが同時に流れている。


(……これが……精神の世界)


 銀桃の機神のおかげで、美菜は自分を保てている。これがなければ、たったひとりの精神など、紙のように丸められて破壊されていただろう。


 水が涸れた理由……それは、近しい存在を信じなかったということ。


 かつて人は、神の手を離した。彼らの間にはとてもかなしいことがあったけれど、人間は神を見限った。神と名のつく者は全て悪……迫害した。


 だからこそ、世界から命の水が枯れてしまった。


(……私の! お酒への愛で!)


 お兄さんはここにいるようで、「いない」ものだ。美菜ひとりで、行わなければ……!


 だが、溢れる魂は、ひとりになることを許さなかった。無数の手で、D・スピリッツを押して押して……。


「持ち上げてる!?」


『ひとりにはさせないぞー! この仁川亜紀様含め、一同がゆるさんのだ!』


『私達は、かつて神歌の儀の供にされた巫女達……亜紀が特別うるさいだけで、私達はいたっておしとやかな存在なのです……』


「巫女様達……」


 彼女たちは、かつての自分と同じ立場だった。何もかも間に合わず、散ってしまった巫女達。


 ふと、思った。


「皆さん、お酒は好きですか!?」


「えっ飲んでたの???」


「巫女なのに!? スゲー!!!」


「成人してたので……と、ともあれ!」


 別の巫女達から説教が始まりそうだったので、美菜は慌てて続ける。


「お酒が好きだったら、その愛で! 神と人との絆を取り戻しましょう!」


「……で、できるの? それで?」


「御神酒は神と人を繋ぐもの! 御神酒への愛があれば、きっと大丈夫です!」


「……私、飲んだことないんだけど……亜紀もそうよね?」


「九谷、まどるっこしいことはいーだろ! なんかできそうだぜ! つーかできなきゃ世界が滅んじまうんだ、賭けてみる価値はありますぜ!」


「ありがとう、亜紀さん、九谷さん!」


 みんなが力を貸してくれている。限りなく心強い。心の中に温かいものを感じた。


 美菜は祈る。


(……神様、私お酒が好きです! 神様も、お酒が好きですよね?)


 答えはない。それでも祈る。


(私達、分かり合える気がします!)


 たったひとりが手を離しても……誰かが、また手を繋ぐから!


(もう一度信じて、私達のことを!!!!!)




 水が、どこかで湧き上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。