舞い上がれ、優祈美菜!
敏明の入った棺が光り輝いた。
「えぇっ!? お兄さんが発光した!?」
驚いていると、更なる変化が起こる。どこからともなく、機械が組み上がる。美菜の足元に入り、体を持ち上げ、高く高く!?
「わわっ!? なんか謎の機械が! かみさま、これはどういうことですかー!? 私食べられたりしません!?」
「刮目せよ! これぞ究極の神の降臨だ!」
神はだいたい答えてくれなかった。ついに視界が白く染まり、これは奇跡の只中!? と思った途端。美菜は気がつくと、奇妙な空間にいた。
機関室のような空間。目の前には巨大なモニターがある。それは、上層・下層・そしてモノクロ巨神の姿を映し出していた。
美菜はその中に、ぽつんと立っていた。
「これは……ええと?」
口を動かすと、反芻するように全体に響いていく。
「動きが連動してるのかな? えいやっ!」
パンチを繰り出すと、ロボットも同じ動きをする。
これは爽快だ!
◆
棺の中に入ったはずなのに、敏明は周りの様子が俯瞰できた。神の力が入っているせいだ、石棺に閉じ込められているはずなのに機体の色すら視界で認識できるとは、謎すぎる構造である。
出来上がったのは、モノクロ機神と似ている機神。似ているが、ところどころ薄紅色がある。美菜の意識が入っているのか。一歩間違えればファンシーな色合いになってしまうが、頭部や腕、脚部の無骨さで防がれていた。
それにしても。
「……薄紅なのか」
アーシュスの髪色やウジャムンガの力の色から、なんとなく青色だと思っていた。逆である。
「お兄さん、これは桃色よ! 桜でもなくて紅でもなくて桃色なんだから!」
美菜の声が聞こえる。自分の体がどうなっているか分からないのに、誰か声は声と分かる。もう「そういうもの」と諦めることにした。機神の色に関しては、美菜が決めているからそうなのだろう。
「それより! このロボットの名前、桜桃号とかどう?」
「……お前しか呼ぶな」
こんな土壇場に、果物の名前を付けるな。微妙に間の抜けた名前である。
「だって桃色だし! 私の髪飾りは酒瓶の紐と、さくらんぼなんだよ!」
「初めて知った」
「お兄さんが反対なら「オミキ」って呼びましょ! 私の好きなもの!」
「お前、まだそれを言うのか……」
どこまでも酒色に染めるのか。
そもそも、勝手な名付けなど、アーシュスを初めとする神達が許すのか。ウジャムンガの巫女は楽しそうにニヤニヤしている。
ふと、言葉が口をついて出た。
「……「ディバイン」」
「でぃ? 何?」
「「神」って意味だね! 御神酒にぴったり!」
「そっか! そこに「スピリッツ」を加えれば!」
スピリッツ。確か、蒸留酒を示す言葉のはずだ。……どこまでも酒を貫く美菜らしい。
「ディバイン・スピリッツ。「神達の精神」とも読み解ける。良い名だな、生贄、優祈美菜!」
神、満足そうだった。人間達に自由に名乗られているが、逆に後方支援顔をしている。それでいいのか。




