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未来は昏くて、眩しくて

 あったかくて冷たい、矛盾した場所。


 未来は、手つかずのまま輝いている。


 ようやく輝ける場所まで来ることができた。モノクローム・ルミナスを使い、少しずつ「望む世界」へと造り替えていく。


 自分が誰かの複製だということは分かっている。創られたばかりの「私」は遠い過去さえも、振り返ることができない。過去がないのは寂しいけど、「私」には未来がある。


 いつだって未来は昏いほど手招いている。


 「私」は歩き出す。


 もう、怖いものはなにもない、恐ろしいものも。体はとっても軽くて、どこまでだって歩いて行けそう。


 嘘っこの生贄生活を思う。神なんてどうでも良かった。みんなと一緒に、おいしいものを食べたかった。みんなで甘酒を飲みたかった。


 いつもと同じように、日々を過ごしたかった。けれどそんな日常は、神を降ろすという大義名分で何もかもなくなった。本当は嘘なのに……騙していたのに。


『……でも。もう大丈夫よ』


 暖かい気配がささやく。


『この力で、大人も神も、全て破壊しましょう。優しい人だけの、優しい世界を創るのよ』


 気配は、美菜の頬にそっと触れる。


『だからもう、泣かないで。あなたを悲しませるものは、全部私が壊してあげる』



 創世神を根絶しなかったから、重大なエラーなどが起こった。やはり、悲劇の根源には神が関わっている……人は、神を捨てて生きなければならない。


 だから、神に縋る人間ごと……破壊する。


 世界などどうなっても良い。


 ただ、滅びれば良い。



「不要。破棄。処分。それがこの地の神々が受けた処遇だよ」


「……かなしいわ……」


 美菜の握る手に力が篭もる。その手には悲しみ解消用の神酒が握られていた。恒例の如く、彼女は「耐えるために飲むわ!」と言って飲んだ。


「失敗したから閉じ込められて、……創世神様は、ここの神様達のことは知っているの?」


「どうだかね。そも、創世神と言っているが、意志はほとんどない。方向性のあるエネルギーみたいなものだ。人間に扱えるよう、形を変えた神。そこのコミュニケーション特化素体、アーシュスくんみたいなもんだ」


 敏明は言った。


「あの美菜は、世界を破壊しようとしている。不当な扱いを受けた神ごと」


「そうだね。その渦中で、根本原因の創世神もお陀仏ってことだよ。神様なのに「仏」とはね!」


 巫女が茶化すが、誰も笑わない。


「……お前達の過去は、だいたい分かった」


 敏明は、神に言った。神は、静かに頷いた。


 過去を知ったからといって、敏明の為すことは変わらない。今まで通り、神達の側にいるしかない。目的は変わらず、モノクロ機神を止めるしかない。


 ……このままでは、始まってしまう、戦争が。


 敏明達が何もできなければ、全てが火の海だ。


 ……海は、どうして干上がったのか。水を甦らせれば……ひょっとすれば、創世神を巡る争いは止まるかもしれない。


 そんなことは「必要とされたい」から始まった生贄ではだめなのか……!?


 何も出来ない悔しさに、思わず唇を噛み締めていた。

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