真宮寺ミハエル、教皇になります!
終点。
そこは見渡す限りの森に包まれた皿だった。中央から目映い光が漏れ出しており、皿の縁にいるミハエルにまで届いている。
近づくと、そこは綺麗な都市だった。白いビルが建ち並び、中央の神殿は輝いている。神殿。また知らないワードが出てきた。
「なんだか、聖域によく似てる……」
この際だ、神殿の奥まで行ってやろう。姿は誰にも見られないのだ。
物々しい神殿。扉は堅く閉められていたが、神なる波動でどうにでもなる。一応目立たないように見張りのいない窓を開け中へと侵入。一番奥を目指す。
(私のクローンとか居たりしないんですかね……)
居たら面白い。いやもうなんでも面白い。飛ぶ世界を間違えてしまった「神」の失敗談など。
並み居るドアを霊体で通り抜ける。
豪奢なベッドで寝ていたのは、ふつうのおじさんだった。恐らくは教皇。でもミハエルから見れば、ふつうのひとだった。
ミハエルは教皇の頭に手を置くと記憶を読む。
世界の概要を把握。
頷く。
「えい」
指に力を込める。頭は破裂し、おじさん、さようなら……気づかないのは癪なので、見張りに気づかせる。大いに戦く見張りに、自分は神の再来だと話した……ということをしたかったのだが。
したかったのだが。
やめておいた。
いやしてもいいんだけれど、混沌をもう一度呼ぶにはその方が良いんだけれど……縛られるのに飽き飽きしたミハエルにはいいんだけれど……これこそ大いなる神の導きかもしれない。
ともあれ、その神なる気まぐれはミハエルの手を教皇から離させた。
ここで殺すよりも、万倍いいことを思いついた。
◆
ここは神の国。人間が贄にされる魔神の国。
ミハエルにとって好都合だ。縛られるのに飽き飽きした身には、他人の苦みは心によく効く。
リノシマを含む世界中は干上がり、こうして巨大な塔を立て、干上がりから逃げている。機械文明の発達具合はミハエルがいた世界と同じくらい。塔を建て続けるために、住民には情報と行動の統制が行われている。建設技術は上がったものの、通信機器は変わらない。
ミハエルは慈善事業を始めた。
神の子、神の再来と噂され、やがて教皇候補に辿り着いた。すべからく教皇に上がったミハエル。教皇の役目はひとつ、平穏を神に祈ること。
神は遙か昔に地下へと押し込めたのに。
……これからはミハエルが「神」となるのに。
「神」と呼ばれるようになった時には、旧神を呼び出し、彼らに世界を破壊させる。渦中、ミハエルは神と呼ばれるだろう。
人間に、忘れ去られた罰を与える魔神と。




