宙へと続く御柱
外を見る。上層へ続く巨大な塔。伸びたチューブは空の先まで続いている。明日、下層が終わる……らしい。
「神って、チューブで繋げるんだな」
「創世教では、神は一つの巨大なエネルギーと言われているわ。繋げる意志さえあれば、運べるんでしょうね」
「ウジャムンガも、あんな風に呼べるのか」
「ウジャムンガ様は別。というか気まぐれだからね。明日までに御降臨される気配があれば、ミハエル様を殴り倒すよりも先に復活させるんだけど」
と、足音が聞こえた。誰かが走ってくる。甲冑ではなく、スニーカーの軽い足音。
扉をぶち壊す勢いで入ってきたのは由香だった。
「聞いたわ、美菜ちゃん。勝利の方程式が見えたようね!」
「いやぁ、それほどでも!」
「……情報が早いな」
たった今。それもさっきまでは、由香は上層に帰っていたはずでは。
いつの間に作ったのか、肩には『美菜ちゃん大勝利!』のたすき。……ほんと、いつ作った。
「当然です! 私の特性追跡……もとい、安全確認装置のおかげよ!」
「美菜。追跡されてるぞ」
「えー?」
美菜はよく分かっていないらしく、首を傾げただけで話を変える。
「でも、由香ちゃん。下層にいると危ないよ。みんな話してたと思うけど、ミハエル様が……」
「もう知ってるわ。でも大丈夫。美菜ちゃんが吹き飛ばしてくれるんでしょう?」
「う……うん。がんばるぞー」
由香の笑顔を見た美菜は、照れたように頷いた。単純な奴である。
「それに、わたしもそう言おうと思ってたの。人々を食い物にする神は、そろそろ退場して頂くべきよ」
「仕えてたんじゃなかったのか?」
「ある日突然前触れも無く選ばれただけです。友情はそこまでありません」
きっぱりと宣言された。
自業自得とはいえ、少しだけ創世教に同情した。
「では、上層に殴り込みにゆきましょう。ここから30分もあれば辿り着きます。わたしが使っている直通路があるわ。少し危険はあるけれど……」
「あ、由香ちゃん。そのことなんだけど」
「私が引率します」
由香に続き、見知らぬ女性が入ってきた。目映いほどの白装束。水道を通ってきたはずなのに、汚れ一つ無い。
「その方は?」
「ここにおわすを誰と心得る! ウジャムンガ神の巫女、樫木さまだよ!」
「巫女さま……美菜ちゃん以外にもいたのね! ありがとうございます、樫木さま。私たちに手を貸して頂いて」
「ミハエル殿がうるさいだけです」
「樫木さま、どうしてここに?」
「お相伴に預かろうと思って」
告げた途端、お腹がぐるる、と鳴った。巫女も腹が減るらしい。
「お相伴……ひょっとして、エナさんが呼んでいるあれですか?」
「あれ?」
美菜が聞き返すと、由香は頷いた。
「ごちそうしたいものがあるそうです」




