6.動物園
「ゾウって鼻長いよね」
「芹川さんってときどき当たり前すぎること言うよね」
「でもさ、実際に見て改めて『ああやっぱりそうなんだな』って思うことってあるじゃん」
「ゾウって産まれたころは鼻の使い方わからなくて、ずっと振り回してはしゃいでるらしいよ」
「それはかわいいね」
「前斉木がきた時、このゾウに水かけられたって言ってた」
「え、なにそれ、鼻からぶしゅーって?」
「うん、しかも一旦退散して他回ったあと1時間くらいして来たら、また狙い撃ちされたんだって」
「それは完全に顔覚えられてるね、ゾウさんかしこい」
「他にお客さんいっぱいいるのに何で自分だけって嘆いてたよ」
「ウケる、彼ゾウにも愛される素質あるんだね」
「ゾウは家族を大切にするから、怪しい奴を追い払ったのかもしれない」
「冨野くんは怪しい奴が私に絡んで来たらちゃんと追い払ってくれる?」
「うわ、急になんか言い出した」
「たまには彼女っぽいこと聞いておこうかな~とか、へへへ」
「芹川さんがそれやると、どこかに罠仕掛けてありそうで怖いんですけど」
「もう、人を捕食者みたいに……」
「そういうプレイ結構好きじゃん」
「うるさい」
「あ、巨大チュロス売ってるよ。食べよ」
「ほんとチュロス好きだよね、いつも食べてんじゃん」
「芹川さんにはまらされて中毒になった。芹川さんは僕の知らないことをいっぱい教えてくれた」
「まあ私も冨野くんと付き合ってから、いろいろ知れて楽しいと思ってるよ」
「……愛してるよ芹川さん。変な奴が来たら僕が追い払う」
「うわ、急になんか言い出した」
「聡明で可憐な彼女から定期的に言葉にせよとのお達しがありましたゆえ」
「うん……まあそこはよろしい」
「いや、お前も言うんだよ」
「はい。私は冨野くんのことが大好きです、一緒にいれて本当に幸せでいつも楽しいです。冨野くんがいてくれるから今の自分があると思ってます」
「…………」
「ん?どした?」
「それはずるいでしょ」
「君が始めた物語でしょ。しっかり受け止めなさい」




