40.教室は不毛地帯
「第一回!理系文系格付けディベート大会!」
「「「いえ~い」」」
「莉緒~、文系のアホ共を叩き潰せ~!」
「ははは、まかしときな!」
「冨野、文系知もといお前の屁理屈の恐ろしさを思い上がった理系共に見せつけてやれ!」
「ふっ……、僕は勝つ理由は僕が正しいからではない。ただ事実を提示するからだ」
「じゃあ莉緒が理系側、冨野が文系側でスタート」
「お前ら理系は定義しないと何もできんだろ」
「なにを! そっちこそ論理も体系もなしにフラフラしてんじゃねーよ」
「そうやって文系全体をひとまとめにするのがいつも雑いんだよ。あとこっちは文献と実地の調査に時間かかるんじゃい」
「は? こっちにも鹿のフンだけ半世紀追いかけてる動物学者とかいるんですけど、なめんな」
「数学だ物理だはほぼ引きこもりじゃねえか」
「こっちは理論詰めて分析してんだ、お前らすぐポエミーな情緒に走るだろ」
「情緒のない人間に価値なんざねえわい、お前らこそ数式や定理そのものに情緒抱いてる変態じゃねえか」
「哲学者の不安定な情緒こそ狂ってんだろ」
「ぷぅ~、お前らの教祖ニュートンは哲学者ですぅ、しかも宗教家」
「理系がない時代の話して勝った気になってんじゃねーよ」
「だから理系は文系のクソガキだから大人しくしてろってことだよ」
「クラス中で騒いでなにやってんの君らは」
「あ、芹川さん」
「えっと理系と文系どっちが上か白黒つけるって文系共が言い出すからさ、理系の方が上に決まってんのに」
「あ〜そうやってすぐ見下すから!」
「で、クラス内で分かれて莉緒が理系代表、冨野が文系代表で討論してたんだよ」
「仲良くバカなことやってるね。討論? ただの罵り合いだったじゃん」
「「「えへへへ……」」」
「なあ、芹川さんって前はこんな感じじゃなかったよな?毒多くなったなあ」
「噂では冨野と付き合ってから妖術で悪堕ちしたらしいぞ」
「毒って感染するんか」
「おいこら、聞こえてるぞ。誰が妖術使いだ」
「てかさ、その2人に討論の代表させていいの? 考えられる中で一番ダメなチョイスじゃない?」
「それが一番おもしろそうってなったんだよ、直感の女王vs屁理屈妖怪。実際おもしろいだろ」
「そうそう、しかもこいつらタイプ違うのにチョロくておだてたらおもしろいくらい乗ってくるし」
「……まあそれで満足してるなら好きにしたらいいとは思うけどね」
「あ、そうだ。ねえねえ芹川さんは文系側だよね、ね?」
「あのねえ……、屁理屈妖怪のくせにそんな雨に打たれた野良犬みたいな目で見ないでよ。悪いけど魑魅魍魎たちの不毛な議論に興味ないな。あ、でも私のことは気にせず続きやってね」
「「「……」」」
「と、とにかく、数式で喜んでる変態にとやかく言われたくないんだよ」
「ばっかだな、数式の美しさを理解できるのが高尚なんだろ、お前らのは泥臭いんだよ」
「「「続けんのかよ」」」
「それって使い道がないから美しさ以外に価値を見出せない宗教だよ、使い道がある分文系の方が上だわ」
「そろそろ帰るか、あ、時間あるやつカラオケ行かね? なんか俺も大声で発散したくなった」
「は? 数式の実用性舐めてんのか? お前ら誰のおかげでGPS使えるかよく考えろよ」
「あ、私も行く~。美月はどうする?」
「インフラ整備した文系出身者だよ!」
「久しぶりに私も行こっかな」
「理系の基盤がないとなんもできんだろ~が、このハゲ!」
「こいつらどうする?」
「あ~!チクチク言葉言いやがった!でも残念!髪の毛ありますぅ!」
「発声練習中みたいだ。喉温まったらくるだろ」
「~~……!」
「~~……!」




