35.パラダイ胸尻フト
「芹川さん、胸の谷間のクローズアップ画像だと思ったらおっさんの尻の上部だったというのあるでしょ」
「いや知らないけど。また急に最低な話が始まったね」
「全く出所不明で画像しか情報がなければ、どちらか未確定な状態だからそれは見る人が自由に決めていいと思うんだ」
「何言ってるか全然わかんないんだけど」
「科学的に確定できないことでも推論は必要ってことだよ」
「???」
「世界で起こる全ての現象が科学的に解明できているわけではないでしょ」
「まあそれはそうだけど」
「科学とは人類の叡智が作りあげた極めて精密な言語の一種だ。だがしかし世界そのものではない」
「なんかスケールが大きいね、でも今君が語ってるの谷間と尻だよ。君が叡智って言ったらエッチの隠語?にしか聞こえないし」
「だからそれが科学的に記述できないからと言って存在しないということはできない」
「うん、そこはわかるよ」
「その画像自体からは、実際におっさんの尻かどうかを科学的に解明できない。だから谷間でもいいんだよ」
「待って。そこがわかんない」
「科学的に解明できないからといって放っておいていいわけではない。そこに解決すべき問題があるなら因果関係がわからなくても対策に取り組むべきだよ」
「うん、問題があるならそうだね。超過死亡とか。でも君のそれは問題じゃなくて、ただ煩悩をこじらせてるだけだよ」
「でも科学の発展、もとい言語の進化により記述できる世界が広がることだってあるよね。その画像、実は写真じゃなくて動画のスクショだったんだ」
「あはは、可能性が収束してきたね」
「でもさ、おっさんが立ち上がるまでは谷間だった可能性だってあると思うんだ」
「なるほどねぇ、でもそれは無理だよ。それは君の言う科学という言語の限界の問題を現実の問題と混同してる」
「でも……そうでないと……過去の僕が浮かばれない……」
「ああもう……悪かったよ、泣くな泣くな」




