29.南山公園での思い出
〈注意〉 あまりきれいではない思い出ではありません。下の話が苦手な方は飛ばしてください。
「芹川さん、市役所の近くに南山公園ってあるでしょ」
「線路沿いの野球場とかあるやつ?」
「そう、通称サウスパーク」
「なんで英語なんだよ、てか山はどこ行ったの」
「5年生の頃斉木や他の友達と徒党を組んで自転車で遠征してたんだ」
「徒党って自分で言うんだ。小学生があんなとこまで」
「そうしたら、『ここは俺たちのショバだぞ』ってその辺の小学校の連中とケンカになるでしょ」
「いやそんな当たり前みたいに言われても困るんだけど。てか今時ある? そういうの」
「そして他者の迷惑も顧みず仁義なき泥合戦が始まる」
「クソガキだね~」
「線路より南は我々北部民より民度が低いからね」
「コラやめなさい、てか君が言うな」
「僕達は大量の資源と共に砲台を占拠した」
「はいはい、砂場と滑り台ね。周りの小さい子たちかわいそう」
「それでも敵は圧倒的に多かった。アウェイの我々は劣勢に立たされた。しかし、全方位射撃により困難に立ち向かったんだ」
「もう泥が飛び散って他の子公園で遊べなかったろうね」
「我々の全方位射撃には隙間はないと思われた。しかし、北方将軍の斉木のバカがトイレ行きたいって戦線を離れたんだ」
「あはは、昔っからそういう肝心なところは斉木君なんだ」
「手薄になった北方からの攻めに対応できず牙城は脆くも崩れ去った。玉砕だ。僕達は全身泥だらけになり30分自転車をこいで国に帰ったんだ」
「斉木君は?」
「当然トイレは敵に占拠されていた。一人集中砲火を浴びた斉木は泥以外のモノにもまみれて半泣きで帰った」
「結局何なの? この話」
「あの頃世界は広かったなあ……とか?」
「遠い目して言うような思い出でもないけどね」




