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15.シンクロ

「ねえねえ、男女の友情って成立すると思う?」

「え、今更それやるの? まず友情を定義しないと宙に浮いた議論になるよ」

「その答え冨野くんっぽいね。でもそれじゃ話が続かないよ、なんとなくでいいからさ」


「……友情なくしてどうして恋人になれようか」

「それは『成立する』ってことでいいかな?」

「まあそうかな?」


「付き合う前、君が急に話しかけてくるようになったとき、最初から下心見え見えだったけどなあ。友情より性欲が先だったんじゃない?」

「でも、そのすぐ後は本当に芹川さんが調子悪くして心配したときは純粋な気持ちだったよ。話聞いたりゲーム一緒にやったりしてた時期は間違いなく友情関係だったでしょ。最初の下心は認めるけどその時は友情も愛もなかったでしょ。うう……自分で言っててツラくなってきた……」


「あはは。でもさ、だとしたら友達期間短かったよね。長続きしなかったってことはやっぱ友情は成立しないからってことじゃない?」

「それは芹川さんがかわいいからだよ。特殊事例の不可抗力」

「……急に角度変えてきたね、投了ってことかな?」


「いや、ちょっとまった。そもそも異性としての魅力を感じるってだけで恋愛て言っていいのかな?」

「む、そうきたか」

「だいたい男同士でも性的な魅力を感じることもあるよ。同性愛とかじゃなくても」

「うんうん、それはそうかもね」


「僕は、男とか女とかを超えて芹川さんという一人の人に対する魅力を最大限感じてるから彼女でいてもらってるつもりだよ」

「違う方向で畳み掛けてきたけど、でも残念だね。君は性欲先行だった」


「あの時声をかけてからは性欲じゃないよ。芹川さんが僕と縁のない上位存在の陽キャじゃなくて、一人の悩める少女だったのがわかってからすごくかわいくみえてきて、一緒に遊んでると笑顔を見せてくれてだんだん信頼してきてくれてるのがわかって、愛おしさでいっぱいになって、あとそれが僕の自信にもなってもっとがんばろうと思えるようになった。これって友情なんじゃない?」


「……」

「もしもし?」

「あ、ごめん……、面白いから聞き入ってた。君って議論になるとそこも照れずに饒舌なんだね」

「う……、でも自分が持ち掛けてきたんじゃんか……」


「ぷっ、ごめんごめん、何の話してたか一瞬分かんなくなっちゃった。でもさ、それたぶん友情じゃなくて愛情ってやつだよ」

「いや愛情だって友情の一部だよ。僕も友人である斉木にも愛情持ってるよ。愛すべきバカだから」

「まあそれもそうかな。私も斉木君には愛情持ってるし……」

「……」


「「あっ、成立した!」」

「しまった……斉木君め……」

「斉木があらぬとばっちり受けてるの草」


「冨野くんに負けるなんて……。不慮の事故とはいえ……」

「おっと負け惜しみだ。くやしいねぇ、ねえねえどんな気分?」

「嬉しそうだね。しょうがない、じゃあ何か一つ言うこと聞いてあげるよ」


「えっ、いいの……、じゃあそうだな。えっと、ノート見せて……ください」

「………はぁ、またか」

「あはは……」


「……いいよ、貸してあげる。でもこれは愛情でも友情でもない。もっと下。温情かな。ううん憐憫? 泣きながら縋り付いてくる哀れないきものへのほどこし……」

「……」

「ねえねえどんな気分?」


「……」

「あ、拗ねた」

「……」

「あれ? ほんとに怒っちゃった?」


「……いや、逆転負けで知性的劣位に置かれるシチュもいいなあとか思ってた」

「ホントどうしようもないね……」

「お、引いた?」

「ん? 私を誰だと思ってるのかな?」


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