14.おばあさん
「きのう裁判のドラマでみたいけど善意って『知らない』って意味らしいよ」
「冨野くんの話っていつも突然始まるよね。じゃあ悪意は『知ってる』ってこと?」
「うん、そうらしい。なんなんだろう」
「……」
「あ、めっちゃ考えてる顔だ」
「知っててやったら悪いんじゃない?」
「え?」
「知らないなら悪気ないってことになるけど、知っててあえてやったなら結構悪くない?」
「あそうかも」
「人のいない山奥の崖から岩落とすとするよ?でも実は、その下に道があって、だれかが通るかもしれない」
「それ知っててやったらかなり凶悪だね。知らないから善ってのも極端な気もするけど」
「あとは……困ってるおばあさんがいるから助けるとするじゃん」
「ちょっと待って、それこないだ斉木が遅刻した時の言い訳」
「あ、そんなことあったね、あれ本当に言う人いると思わなかったよ」
「あれは朝から笑ったなあ」
「でもそのおばあさん実はスリで、困って寄り添った人の財布をかすめ取るとするじゃん」
「マジかよ斉木、かわいそうに……。今度慰めてあげよう」
「いやそこはお昼くらいおごってあげなよ」
「斉木はスリだと『知らない』で、善意で助けたってことだね」
「ん、そゆこと」
「芹川さん賢い。さすが僕の彼女」
「その君基準の感じ納得いかないわ」
「でも、斉木はおばあさんが存在しないことに悪意があったから叱られた」
「……あ、なるほどね」
注意)二人の善意悪意の解釈は二人なりの独自解釈です。信用しないでください。




