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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第十四章 山海と先住民達
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イベントエリアの縦穴へ

 遅ればせながら、新しいレビューをいただきました!ありがとうございます!

 ログインしました。昨日は長い時間語り合ったことで、四脚人(ケンタウロス)とはずいぶんと仲良くなれた気がする。ルビーとシオは子供達のヒーローのように慕われていたし、しばらく黒壁の内側で暮らすことになった彼らとの交流会は成功と言って差し支えないだろう。


 さて、今日はイベントエリアに行くとするか。誰かラウンジいれば一緒に行きたいが…どうだろう?そんなことを考えながらシラツキのラウンジに向かうとエイジとモッさんがソファーに座っていた。よし、誘ってみるか。


「やあ、二人とも。こんばんは」

「あっ、イザームさん!ちょうど良かった!」

「これからイベントエリアに向かうのですが、是非ともイザームさんにもついてきて欲しい場所があるんです。いいですか?」


 私についてきて欲しい場所?どこかはわからないが、同行者を探していた私にとってその提案は渡りに船である。是非とも一緒に行かせて貰おうか。


「構わんよ。それで、行くのはどこだ?」

「前にイザームさんも攻略したって言う迷宮(ダンジョン)があるじゃないですか。あそこは無人島の中心部なんですけど、そこから北に行った所にある深い縦穴です」


 縦穴とは、またタイムリーな話題である。我々の本拠地があるティンブリカ大陸の縦穴をどうにかする前の予行演習になりそうだ。だが、気になるのは別の点である。それは…


「…あの迷宮(ダンジョン)のことは当たり前のように知っているんだな」

「掲示板で話題になってましたよ。凶暴そうな(ドラゴン)を乗る複数のプレイヤーのスクショが、ね」

「イザームさんとジゴロウさんは初期設定を弄ってないから顔はボヤけていましたけど、他の三人は色んな意味で有名人だったようで…特定班が動く必要すらなかったみたいですよ」


 私が伝えていないことを二人が当然のように知っていることだ。私はプレイ動画配信や許可なく撮影されたスクリーンショットで自分の顔や姿がハッキリと写らないように設定してある。勝手に撮影されるのは気持ち悪いからだ。ジゴロウはきっと設定を変えるのが面倒だっただけだと思うが。


 とにかく、そういう事情で私とジゴロウはスクリーンショットを撮られたところで着ている服とシルエットでしか判断できない。まあ、実際にその場でいた者達は顔を見られているのできっと初日に暴れた魔物プレイヤーのコンビだと知られているだろうが。


 一方でウスバや茜、セバスチャンはその設定を切っていたらしい。彼らは自分の容姿を宣伝するのも活動の一つと言えるからだろうが、そのせいでカルに乗っているのが誰なのかバッチリ映っているらしい。コンラートの狙い通りに彼のもとへ情報収集に来る者が続出したのはそれが理由であった。


「今は特殊ボスの話題で持ちきりですけど。検証が好きなクランの人達が色んな条件で挑んで、新しく他の特殊ボスを見付けたみたいですよ。攻略はまだっぽいですけども」

「そうなのか」


 よしよし、コンラートによる情報操作は上手く行っているらしい。その検証クランのファインプレーもあって、カルの話題は下火になりつつあるようだ。これはカルをイベントエリアに連れて行っても大丈夫そうか?


「ところで、二人は私をどうしてその場所に連れていこうとしているのかな?単に深い縦穴というだけではないのだろう?」

「そこは…行ってのお楽しみということで」

「きっと気に入ると思いますよ」

「ほほぅ?では、期待してついていくとするか」


 二人は私をあっと驚かせたいらしい。せっかくだし、それに乗ってみるのも一興であろう。二人の案内に従って行ってみるとするか!



◆◇◆◇◆◇



 イベントエリアに移動した私は、二人に先導されて件の縦穴を目指して空を飛んでいた。私はアイテムの効果によって、エイジはモッさんに掴まれて飛んで安全に降下している。


 エイジは猪頭重戦鬼将ボアオークへヴィジェネラルに進化したからか、何時ものように身体が一回りさらに大きくなって牙が伸びている。それだけではなく、今回は額から立派な角が一本生えていた。真っ直ぐに伸びる太い角は、エイジ本人の性格を表しているようですらある。


 モッさんは吸血悪魔(ブラッドデーモン)に進化したことによって外見が大きく変わっていた。両腕が蝙蝠の翼になった筋肉質な人間のように見える。しかし、その全身にはゴワゴワとした体毛が生えているし、足は鳥類のようにしっかりと掴める形状だ。


 顔は大きくなった蝙蝠そのもので、口から覗く牙は非常に鋭い。山羊頭ではないし角もないが、我がクランにいる三人の悪魔(デーモン)の中で最もそれっぽい見た目になっていた。


 進化に伴って筋力が上昇したモッさんは、ギリギリではあるがエイジを足で掴んで飛ぶことが出来る。そうやってカルがいない状況でもエイジを連れて空を飛べるのだ。


「そう気を落とさないで下さいよ、イザームさん!」

「あの空間を壊すのは無理ですよ」


 そう、カルはいない。何故かって?街の広場で四脚人(ケンタウロス)の子供達と一塊になって寝ていたからだ。


 モッさんの言う通り、あの空間を壊してカルを連れ出すことは私には出来なかった。なので泣く泣く今回もカルなしでイベントエリアへ来たのである。


「ほら、見えてきましたよ!」

「あれか。思ったよりも大きいし深いな。底が見えん」


 エイジが指差した地面には、ポッカリと大きな穴が空いていた。穴の直径は二十メートルはあるだろうか?まだ離れているからかもしれないが、深さも相当あるのは間違いない。


 あれだけ深ければ上から照り付ける陽光が底にまで届いていないように思う。どうしてあんな穴が空いたのかも気になるところだが、行ってみればそれもわかるさ。


 穴の上空にたどり着いた我々は、ゆっくりと降下していった。穴の内側には降りようと試みている二人のプレイヤーがいたが、どうやら飛行する手段はないらしい。ロープを使って少しずつ降りている。地道で過酷な方法だが、飛べないならこうするしかないのだろう。


 彼らは我々に気が付いて凝視してくるが、頼まれもしないのに助けたりはしない。余計なことをするなと怒られるかもしれないし、こっちにもそこまで余裕がある訳ではないからだ。


「…来たか。数は四体だ」


 私の魔力探知(マジックエコー)に四つの影が引っ掛かった。空中で襲撃されることは二人からあらかじめ聞いている。それ故の警戒だったのだが、もう襲われるとは思わなかった。


 我々に飛び掛かったのは、猿のような奇妙な魔物であった。身体の形状は尻尾の長い猿そのものだが、体毛が一本もなく、代わりにヌルヌルとした粘液が体表を被っている。顔にある目はかなり大きく、それがギョロギョロと動いていた。


 正直に言って非常に気色悪い。ハダカデバネズミという生き物を見たことがあるが、こちらは粘液がテラテラしている分より嫌悪感を増していた。何はともあれ、まずは【鑑定】だ。


――――――――――


種族(レイス)洞穴猿(ケイブモンキー) Lv23~25

職業(ジョブ):軽戦士 Lv3~5

能力(スキル):【体力強化】

   【敏捷強化】

   【牙】

   【登攀】

   【軽業】

   【暗視】

   【隠密】

   【忍び足】

   【奇襲】

   【暗殺術】

   【打撃耐性】

   【水属性耐性】


――――――――――


 洞穴猿(ケイブモンキー)、つまり洞窟に適応した猿ということらしい。奴等は恐るべき速さで壁をよじ登ると、我々に向かって驚異的な跳躍力で飛び掛かる。私を二匹、エイジとモッさんを二匹が狙っているようだ。


「おっと」

「ふん!」


 私は杖で叩き落とし、エイジは二匹まとめて斧で真っ二つに斬り捨てた。空中という慣れない環境であっても、ここまでレベルが離れていれば流石に私の筋力でも容易く薙ぎ払えるというものだ。


 後続が下から上がってくるが、我々は容赦なく撃墜していく。経験値は決して美味しいと言えず、素材は回収出来ず、しかも数が多くて中々降りられない。見た目も悪いし、嬉しいことが一つもないぞ?


「どわあああ!?」

「こっ、コロンブス!?」


 半ば作業と化した洞穴猿(ケイブモンキー)狩りをしていると、ロープを使って壁を降りていたプレイヤーも奴等に襲われていた。片方は剣を抜いて切り払っているので、恐らくは私とほぼ同じくらいのレベルなのだろう。こちらは問題なさそうだ。


 しかし、もう一人のプレイヤーは違う。手に持っていた登山用ピッケルを振り回して応戦しているが、ダメージをまともに与えられていなかった。始めたばかりの低レベルプレイヤーのようだ。


「これは助けるべきだろうな」

「そうですね!」

「じゃあ突撃しますよ」


 言うが早いか、モッさんは壁に向かって真っ直ぐ突っ込んだ。それに合わせてエイジは盾を構えて衝撃に備える。そして二人は一つの砲弾となって洞穴猿(ケイブモンキー)の群れをまとめて潰した。


「大丈夫ですか?」

「あ、ああ。助かったよ…」

「いえ、まだ終わりではありません。むしろここからですよ」


 襲われていたプレイヤーは安堵しているようだったが、洞穴猿(ケイブモンキー)はまだまだ上がってくる。これで終わりではないのだ、とモッさんは警告した。


 私は洞穴猿(ケイブモンキー)の第一波を退けたもう一人のプレイヤーに接近する。この局面を切り抜けるためには、彼とも協力するべきだと判断したからだ。


「私はイザームと言う。ここは共闘しないか?」

「助かります!それにコロンブスを助けてくれてありがとうございました!」

「礼を言うのは連中が諦めてからにしよう」

「それもそうですね。あ、僕はケースケって言います」


 ロープにぶら下がっているプレイヤーはケースケと名乗った。黒髪の人間(ヒューマン)の青年で、背負っている盾から戦い方はオーソドックスな剣士だと思われる。


 ただ、今は左手でロープを握っているせいで、本来は使うのであろう盾が使えない。体勢も不安定だし、彼にはひたすら自分を守ってもらわねばなるまい。


「ケースケは剣士だろう?私は魔術師だ。私がここから適当に爆撃するから、君は抜けてきた敵を斬り払ってくれ」

「そちらに負担を掛けすぎな気がしますが…そうさせてもらいます」


 ケースケも今の自分の状態は不安定で実力を発揮しきれないと理解している。どう考えても私の方が負担が大きい作戦だとわかった上でそれを了承してくれた。


 彼の同意を得たところで、私は魔術をガンガン使っていく。使うのは(ウェーブ)系の魔術で、範囲の広さを優先しても敵が弱いのでほぼ一撃で倒すことが出来た。運良く魔術の範囲外にいた洞穴猿(ケイブモンキー)もケースケに斬られて落ちていく。余裕があれば彼も斬撃を飛ばす武技を使ってくれるので、我々の側は問題なく切り抜けられそうだった。


 問題はエイジとモッさんの方である。二人は群がる雑魚を鎧袖一触とばかりに薙ぎ払う実力はあるのだが、もう一人のプレイヤーを巻き込まないように注意しなければならないので上手く行っていない。時折エイジがわざと自分の腕や脚を割り込ませて庇っているので、細かな手傷も増えているようだ。


「ああ、もう!鬱陶しい!」

「先日はもう少し楽だったのですが…」


 エイジは苛立ち、モッさんは困惑気味である。結局、我々は洞穴猿(ケイブモンキー)の群れが来なくなるまで十分近く戦わされる羽目になるのだった。

 次回は5月21日に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何回読み返しても面白い作品です更新楽しみにしてます! [気になる点] 掲示板で無許可でスクショあげるとかネットのマナーが、無さすぎる人多すぎませんこの世界笑
[一言] 誤字? ・凶暴そうな龍を乗る複数のプレイヤーのスクショが →龍【に】乗るor龍を駆る
[一言] 人間プレイヤーを助けるんですね・・・。 これはこれで文句なく面白いのですけどタグの「魔王」とか「主人公は卑怯上等」といった敵役なイメージとはかなりギャップがあります。 9章のように人間と敵対…
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