ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染の事は諦めて欲しいのである。
郁人的には、本日のデートはとても満足していた。結局、三人で、ショッピングモールで一日遊んで過ごしたのであった。そして、帰ってきて、夕飯を食べて、風呂に入って、夜に学校の宿題を終らせて、ベッドで横になって、本日の出来事を思い出して、一人にやける郁人だった。
そんな中、スマホにゆるふわ宏美から、メッセージが届く、内容は、美月さんのメッセージが止まらないので助けてください~っという事だったので、郁人は、美月と仲良くしてやってくれと送るのであった。
そして、明日の登校は、途中で宏美と待ち合わせすることになった。
郁人は、とりあえず、今日は、美月に通話するのはやめて、早めに寝ることにしたのであった。
そして、朝になり、嫌気の指す月曜日を迎えることになる。郁人は、美月と一緒に学校に向かう途中で、ゆるふわ宏美と待ち合わせの場所に向かうのであった。
そして、ゆるふわ宏美が、待ち合わせの場所に立っていた。
「郁人様、美月さん…おはようございます~」
ゆるふわは、ニコニコ笑顔でそう挨拶をする。しかし、何故か少し目の下にクマができているゆるふわであった。
「おはよう!! ひろみん!!」
「…おはよう」
素っ気なく挨拶する郁人とは、正反対に、物凄く嬉しそうに、挨拶する美月である。ゆるふわ宏美に駆け寄る美月である。
「…美月さん…元気ですね~」
どこかげっそりニコニコ笑顔の宏美である。その理由は、美月と深夜3時過ぎまで通話に付き合わされたからであった。
「私は元気だよ…えへへ…昨日は楽しかったよね」
超幸せオーラを放っている美月を、微笑ましく見守る郁人であった。そんな郁人に、耳打ちをする宏美である。
「郁人様…よろしいのですか~? お付き合いしたばかりで…わたしぃばかり美月さんのお相手しても~?」
「ああ、もちろんだ…ゆるふわ…これからも美月と仲良くしてやってくれ」
宏美は、遠回しに郁人に助けを求めたのだが、郁人は、我が子を見守る父親のように最高の笑顔で、宏美にそう言い放つのであった。宏美は、絶望の表情を浮かべるのであった。
「じゃあ、三人で学校まで行くんだよね」
美月は、幸せ笑顔で、早く学校に行こうと提案してくる。ゆるふわ宏美は、絶望の中から、何とか帰還して、表情をにっこり笑顔に戻す。
「えっとですね~…美月さんは、今日から、ここで郁人様と別れて頂いて、わたしぃと登校してもらいますね~」
「え? なんで? 三人で行こうよ」
「ゆるふわ…どういうことだ?」
宏美の提案に疑問の郁人と美月である。あからさまに納得できない郁人と美月なのである。
「お二人がこれ以上、一緒に居るとこを目撃されたくないからですよ~…今日から、きちんと、お二人は学園のアイドルとして自覚していただきますからね~」
「いや…学園のアイドルになった覚えないんだが…」
「うん…私もだよ…そもそも…それって、あの二人のイタズラだし」
「はぁ~…とにかくですね~…いいですか~!! お二人の行動一つで学校の治安が崩れるのですよ~…お二人とも、全校生徒に嫌われて、いじめられる高校三年間を過ごしたいですか~?」
ゆるふわ宏美は、物凄く真剣な声色で、郁人と美月を説得するのだった。宏美の発言に郁人と美月も、戸惑うのであった。
「あ…後、郁人様…覇道さんとのお話の件は、学校についたら、例の教室に向かってくださいね~…私が手配しておきますから~…くれぐれも、ご慎重にお願いしますね~…まぁ、多少の事なら…もみ消しますからね~…では、美月さん…行きましょうか~」
「あ…うん…じゃあ…郁人また後でね」
「ああ…またな…」
ゆるふわ宏美は、邪悪なニコニコ笑顔を浮かべるのである。そして、美月を連れて、先に学校に歩いていくのであった。
「…あいつも…よくわからん奴だな…」
郁人は、そうボソリと独り言をこぼし、一人ゆっくりと学校に向かって歩きだすのであった。
そして、学校についた郁人は、教室にカバンを置いて、例の空き教室に向かうのであった。教室には、ゆるふわ宏美も、梨緒も居なかったのである。
郁人は、空き教室に入るが、まだ、政宗は来てなかった。郁人はため息をつき、政宗の事を待つことにした。
少しして、政宗が不機嫌に教室のドアを開けて、不機嫌な表情で、郁人を睨む。
「来たか…今日は俺から…話があって来てもらった」
「…美月との時間を割かれたくないのだが…手短に頼むよ」
政宗は、美月の名前を出して郁人を挑発する。郁人は、ため息をつくのである。
「なぁ…お前は…何で美月の事…好きになったんだ?」
「そんなくだらないことを聞くために、俺を呼びつけたのか? 貴様に言う義理はない」
「そうか…俺は…そうだな…俺は、正直理由はないけどな…いつの間にか、美月の事が好きだった…だから、理由を尋ねられても、答えられない…お前は…違うのか?」
「当たり前だ!! 貴様!! 理由もなく美月の事を好きだと言っているのか!?」
郁人の発言に、あからさまに激昂し、怒り狂う政宗である。彼には、美月が好きな理由が、美月じゃなければならない理由があった。だから、郁人の事が許せないのである。
「理由がないと…人を好きになってはいけないのか? 本当に…お前はくだらないな…やっぱり、お前に美月は、任せられない…はっきりわかった…政宗…美月の事は諦めろ…もう、美月と俺は、恋人同士になった」
「……何を言っている? そうか…嘘だな…嘘を言うな!! 美月は、俺が守る!!」
「……正直に言う…お前は、美月が好きな自分が大切なだけだ…美月の事なんて何も考えてないだろ? もう一度言うぞ…覇道 政宗…美月は俺の彼女になった…諦めろ」
郁人は、鋭い瞳で政宗を睨むのである。はっきり、そう告げる郁人に、頭から血が噴き出しそうなほど顔を真っ赤にして怒りを示す政宗である。握り締めた拳からは血が滲みそうである。
「ふざけるなよ!! 朝宮!! 貴様!! 何様のつもりだ!! 俺は、貴様の嘘など信じない!! いいか…美月を守って…幸せにするのは…俺だ…俺の役割なんだ!! 貴様の出る幕なんてないんだよ!!」
怒り狂って、教室から出て行く政宗であった。もはや、それは、郁人に対して、敗北を意味していたが、政宗はこれ以上ここに居れば、郁人の事を殴り殺しそな勢いだったため、この場を去ったのであった。
一人残された郁人は、ため息をつき、窓の外を見る。
「はぁ…もう…俺達の事は放っておいてくれないか…お前じゃ…絶対に美月を幸せにはできないと思うぞ」
そう言って、郁人も教室を後にするのだった。
美月は、郁人と一緒に登校できなかったことは、不満だったが、友達の宏美との登校なので、とりあえず納得する美月なのであった。
「美月さん…その…少し離れてくれませんかね~」
「ええ~…友達なら、これくらいの距離普通だよ」
ゆるふわ宏美にピッタリくっついて歩く美月に、ゆるふわ苦笑いで抗議して、距離をスススッと離すゆるふわ宏美に、美月は満面な笑みでスススッと距離をつめるのである。ゆるふわ宏美は、心の中で、美月さん、ご友人いたことありましたか~っとツッコミを入れるのが精一杯の抵抗だったのである。
「昨日の事ですが~…美月さん…よかったんですか~? 初デートにわたしぃ…邪魔じゃなかったですか~」
初カップルのデートに同行させられるなど、宏美的には心の奥底から御免蒙るのである。正直、遠回しに抗議してみるのである。
「全然邪魔じゃないよ…それに…郁人もその方が嬉しいと思うよ」
にっこり笑顔でそう言う美月に、どうして、郁人様も嬉しくなると思うのかと疑問を抱く宏美だったが、滅茶苦茶くっついてくる美月の対応で、その疑問はすぐに霧散するのであった。
学校につくと、すぐに美月に駆け寄ろうとする男子生徒達に、ニッコリ笑顔で牽制するゆるふわ宏美である。美月は、声をあげて感心するのであった。拍手なんかしたりしている。
「流石ひろみん頼りになるよ…本当に困ってたんだよ」
「はぁ? まぁ…今日はたぶん、美月さんとわたしぃが一緒にいるから警戒されてるんだと思いますよ~…後で、いろいろ手を回しておかないといけませんね~」
ニコニコ笑顔で邪悪なオーラを放っているゆるふわ宏美である。しかし、ゆるふわも意外とポンコツなので、この後、己の行動が問題になるとは全く思ってなかったのである。
「宏美ちゃん…なんで夜桜さんと一緒に居るのかなぁ? もしかして…宏美ちゃん…ファンクラブ会長なのに…裏切るのかなぁ?」
背後から、聞き覚えのあるヤンデレボイスが聞こえてくる気がするゆるふわ宏美は、背後を振り返ると、ヤンデレ梨緒が立っていた。
「な、なにを言ってるんですか~…わたしぃは郁人様のファンクラブ会長でマネジャーでもあるんですよ~…なので、美月さんとも、仲良くしようかと思いまして~」
「……へぇ~…ふ~ん…そうなんだぁ…ねえ…宏美ちゃん…それは…どうなんだろうねぇ?」
ヤンデレ梨緒が、ゆるふわ宏美に圧を放つのである。さすがの、ゆるふわ宏美もたじろぐのである。
「…出たわね…あんたに話があるのよ!!」
「今は、夜桜さんとは、話すことないかなぁ…宏美ちゃんとお話合いしないといけないしねぇ」
梨緒はギロリとゆるふわ宏美をひと睨みする。ひぃっと恐怖に背筋が凍るゆるふわ宏美である。そんな宏美を庇うように前に出る美月である。
「私にはあるのよ…ごめんけど、付き合ってもらえないかな」
「……はぁ~…仕方ないなぁ…いいよ…別に…」
「あの…お二人ともここでは、あれなので…場所を変えませんか~? 屋上なら、わたしぃ以外は鍵を持ってないので大丈夫ですよ~…とりあえず、美月さんに渡しておきますね~」
校門入ってすぐのところで、睨み合う二人は物凄く目立っていた。そのため、人の目を気にして、たじろぎ苦笑いで、そう提案するゆるふわ宏美である。そして、美月の方を向く宏美である。
「くれぐれも穏便にお願いしますね~…わたしぃは、郁人様の伝言を覇道さんに伝えてきますからね~…本当に…お願いしますね~」
ゆるふわ宏美は、屋上の鍵を美月に渡して、小声でそう言って、この場を後にするのだった。そして、美月は無言で屋上に向かって歩き出すと、その後に梨緒もついていくのであった。
屋上の鍵を開けて、屋上の扉を開ける美月である。その背後には、物凄いヤンデレオーラを放っている梨緒がいた。
二人は、屋上に入ると、くるりと梨緒の方に向き直る美月である。そんな、美月をヤンデレアイで見つめる梨緒である。
「…ごめんね…いきなり呼び出したりして…どうしても、話しておきたいことがあったから…」
美月は、ヤンデレモードの梨緒を真剣な表情で見つめながらそう言い放つのである。
「ねぇ…夜桜さん…手早く済ませてくれないかなぁ? ほら、郁人君も登校してくる時間だし、朝の挨拶しに行かないといけないから」
梨緒は、郁人の名前を出して、美月に先制攻撃を仕掛けるのである。そんな梨緒をまっすぐ見つめる美月である。そして、美月は春の空を見上げるのである。
「あなたは…郁人のどこが好きになったの?」
「…そんなの全部に決まってるじゃない…郁人君の全てが好き」
「そっか…そうだよね…私もそうだよ…じゃあ…どうして…好きになったの?」
美月は、試すように、探るように、梨緒の事をまっすぐに見つめる。そんな、美月に梨緒は少し驚きの表情を見せる。
「どうして…そんなことを夜桜さんに話さないといけないのかな?」
「…私は…別に、特に理由はないかな…きっと、あなたには、郁人を好きになった大切な思い出があるんだよね…私は…気づいたら、郁人の事が好きだったから…そういうのは羨ましいよ」
美月は、再度、春の空を見上げてそういう。そんな美月にあからさまに不機嫌になる梨緒である。
「やっぱり、夜桜さんに…郁人君は渡せないよ…そんな、そんな軽い気持ちで…郁人君のことを好きって言わないで!!」
「…ごめんね…私は…郁人が好きで…もう、私と郁人は…恋人同士になったの…はっきり言うね…三橋さん…郁人の事は諦めて…」
「何を…言ってるのかなぁ? 夜桜さん」
梨緒は、物凄いヤンデレオーラを放っている。完全にスーパーヤンデレモードである。
「…郁人はね…私の事…一番に考えてくれるの…昨日…郁人と初デートの時…ひろみんと友達になったの…三人で遊んで…楽しかったよ」
「……それって…デートって、思ってるの…夜桜さんだけじゃない?」
「…フフフ…そうだよね…デートっぽくないよね…私ね…郁人が…私に友達がいないのは、自分のせいだと思ってるの…知ってたんだ…だから、高校に入ったら…絶対同性の友達も作ろうって思ってた…郁人を安心させたくて…」
「……夜桜さん…なんの話なのかなぁ?」
美月は、そう梨緒に言われても、春の空を見上げながら、気にせず話を続ける。それは、梨緒に喋っているのではなく、独り言で、懺悔のようであった。
「だから…昨日…私は…頑張って、ひろみんと仲良くなろうと思ったの…わからないよね? その時、郁人が心底ほっとした表情を浮かべたこと…私は、それが一番嬉しかったんだよ…もう一度言うね」
美月は、ゆっくりと梨緒の方に視線を向ける。美月の表情は、とても、儚げで、憐れみの表情を向けらえれていると梨緒は思うのである。
「私が、郁人の彼女だから…郁人が私を見てくれる限り、私が郁人の彼女なの…三橋さん」
梨緒の怒りが限界に達する。全身が震え、歯を食いしばり、拳を握り締める。梨緒の瞳に嫉妬と憎悪の炎がともる。
「私…夜桜さんに宣言したよねぇ? 絶対、負けないって!! 私は認めない!! 絶対に諦めたりしない!! 二人が付き合ってるなんて信じないから!! 絶対に!!」
そう美月に言い放って、梨緒はこの場から走って立ち去るのである。悔し涙を残して、逃げ去る梨緒を、ジッと見つめる美月は悲しさと後悔で、胸が苦しくなるのである。
「…もう…私達の事は…諦めてくれないかな…私だって…本当は…」
一人残された美月は、胸を押さえて、春の空を見上げるのであった。
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さて、次回で、序章完結となります。連載開始から、一か月ちょいとかかりましたが、やっと序章が完結です。今後も、読んで頂けると嬉しいです。
次回は、序章完結です。
では、次回の更新もよろしくお願いしますね。




