50話 墓荒らし
マリアの傷を治そうと、回復系等の魔法又はスキルを持っているやつを探すことにした…すでに怒りはなくなり、今度はマリアを救わなければという気が出てくる。
頭に浮かぶのはシリウスとラスティなんだが…ラスティは殺せないし、シリウスはおそらく、今の俺でも多分倒せない。回復系の闇魔法とかないのか?…
『お答えします。ありますよ。ですが、闇の魔力なの人間にかけるとことはできません。回復系の魔法は結構数が多いのですが入手が比較的難しいです。体の内側からの再生…つまり、自然治癒を早める魔法。体の外側から魔法を与え魔力で傷や怪我を補完する魔法。時間を戻し怪我をさせる前の状態に戻すなどありますね…まあ、一番手に入りやすいのは白魔法でしょう。怪我の回復から、精神的損傷の回復まで回復系等ならずば抜けていますが攻撃魔法はありません』
回復魔法…白魔法か…
なあ、魔法ってのは5つの魔法が主なんだろ?火、水、土、風、光だったか?なら、聖魔法や闇魔法はどういう扱いなんだ?聖魔法は光魔法の上位ってことか?
『お答えします。いいえ、違います。光魔法と聖魔法はまったくの別物です。5つはもっとも多いと呼ばれているだけで、他にも魔法に種類がありますし人間のみがそういう言葉を作って呼んでいるだけです。白魔法が早急に必要ならばいいところがあります。案内しましょうか?』
あ?…ああ。頼む…
ロットからの提案か…少し怖い気がするが俺のためになるだろう。しかし、ロットは何者なんだ?俺の味方なのかわからないが今まで色々なことを教えてくれたしな…一種の信頼はある…
そのままロットに言われるがまま、空を飛び勇者の国ウェッタの付近まできた。何一つ変わっていなく、賑わっている。懐かしいな…ローズやアンカは元気かな?…
ロットの指示通り地面におり、そこからは走って向かう。領地らしいのだが、あたりは木々ばかりで人気もない。
『到着しました。』
林を抜けた先は、開けており長方形の石が大量に並んだ場所だった。冷たい空気を感じるほど無機質で、不気味なほど綺麗に並べられた石があり、名前がかかれている。
「墓場か…」
『ええ。墓地です。一番手前側の墓石に眠るのが白魔法を持った女性です。白魔法とは修道院で神に身を捧げた女のみが体得できる魔法です。眠るのはウェッタで長年修道院の院長を務めた老いたシスターです。』
俺に墓を掘れと?…そんなことできるわけない。何があるかわからないし…バチが当たったらどうする?ゾンビが出てきたらどうする?まあ、確かに俺の職種は「墓荒らし」だけどよ…
ここはどういう墓地なんだ?…
『ここはウェッタでの死人の墓地です。農民や商人は皆死ぬと焼かれますが、一部の商人や権力・地位のあると墓場が作られ土葬されます。』
ってことは、ここで眠っている死体は皆有力者か…ま、まあ実に美味そうだが…
まあ、やってることはいつもの魂記録と同じだ。殺してないかの違いだけだ…よし!
俺は地面に黒い吃驚箱を出現させ、土のみをしまっていく。すると、石の棺のような箱が綺麗に残った。かなり風化しているようで、若干悪臭もするが耐性スキルを持っているのでそこまでキツくはなかった。俺はそっと剣のスラッシュで上部を破壊する。すると、一気に悪臭が吹き出る。さすがに耐えるのがキツくなってきた。
そっと鼻をつまみながら中を見ると、上半身はすでに白骨化しており、頭部は半分ほどなくない死体が横になっていた。下半身は未だに肉があり虫が湧いていて、吐き気がする。俺はそっと頭蓋骨に指を触れるといつもの白い光ではなく若干うす黄みがかった光が出てきた。いつもと違うな…
『説明いたします。その光はすでに肉体が再生不可能かつ死亡してから半月を超えている場合色が変色していきます。』
俺はそっと光に触ると、体に同じように吸い込まれた。どうやら無事に済んだようだ。
すぐに土を黒い吃驚箱から出し埋め、手を合わせる。最初とは少し違ってしまたが…気にするな…さて?…スキルは…
「お前何をしている!」
後ろから聞こえた敵意を持った声に驚き、振り返る。そこには、白い服を着た青年が長槍を構えて俺を警戒していた。
しかし、すでに魂記録は済んだし土は埋めているから言いくるめて逃げるだけだ。
「何もしていませんが?」
「何を言っている、土に空気がふくまれている。それに墓石が少しずれている。お前、墓荒らしだな!このネクロバレの墓守 シェパードが成敗する」
青年は長槍を振り回し攻撃してくるので、槍を大きく躱そうとしたが突然槍がブレ槍先が俺の頬をかすった。なんだ今のは…躱しきれなかった?
青年は小さく舌打ちをすると連続の突きをしてくる。槍は大きくしなりかなり面倒だ。なんか…槍が蛇っぽいな…こう動きに骨がないっていうか…槍の性能なのか?それともスキルか?…まあ、いいや。
「はははは!手も足も出まい!躱していても、意味はないぞ!」
俺は腰に差した剣をそっと掴みスキルを発動させる
「『以蔵の居合』」
一瞬で青年の体を首・胴・脚の三つに解体する。まあ、多少強かったが…俺の相手ではないな。
血を振って払い鞘に収めると、青年墓守の魂記録を済ませ槍を奪う。すると、頭にロットの声が響く。
『職種『墓荒らし』によりウェッタの墓場ネクロバレの墓守を殺しましたのでウェッタの墓場ネクロバレの所有権が移ります。所有者の継承スキル『聖魔法 光領域ライトゾーン』を獲得。『蛇柔槍』の所有権も移ります』
おお…どうやら墓の所有権が俺に映ったようだ。まあ、墓を持っていても意味ないんじゃないか?…まあ、いい。後でロットに聞くか。急いで戻って、マリアを回復させよう…
素早く翅を背中に生やすと、高速であの奴隷商まで戻る。ここまでかかった時間はおよそ30分程度か…
帰りながら、ロットが先ほどの墓場のことを説明してくる。
『説明します。職種『墓荒らし』とは死者の眠っている墓を掘り起こし供えていた金品などを売捌く職業の事ですが、『魂記録』を持っているので内容に変更があります。通常の『売値価格倍加』『遺物効果倍加』に加え『スキルレベル累計』『効果倍加』です。
それと、先ほど墓場を入手しましたがあれも『墓荒らし』の能力です。墓守を殺すと、墓を掘りかえさなくても金品を取り出すことができたりします。魂も触れていなくても取り出すことができます。職種はかなり幅が広く、多くの可能性を持っているので、有効に活用しましょう』




