5. 三通目の手紙について
三通目の手紙が届いた。
すこし前に体調を崩していたのだが、手紙の冒頭には体調を慮る内容が書かれている。一体いつ、どこで観察しているのやら。
とはいえ実害はないので、心配しても仕方がない。一方的な文通相手に、不気味な、という単語を添えた程度の事である。
手紙の内容はというと、これまでよりもボリュームが控えめとなっていた。
しかしその内容は、これまでに比べ、最も怪異に満ち溢れている。
呪いで腐り落ちた指、切断された腕。そしてそれを呪物と化すことで、己に宿った死者の羽衣を引き剥がそうという試み。失敗。
いよいよ業が返ってきたと言わんばかりの状態となっている様子であり、よくもまあ、手紙を出し続ける余裕があったものだと関心してしまう部分もある。
救うための手立てが欲しいのであれば遠回りすぎるし、そういったものをこちらに求めているわけではないらしい。
そもそもこの手紙の主は、意図的に全ての情報を隠している。
何故ならばその団体も、教祖と目される手紙の主人も、そして『はごろも』という呪法でさえも、一切の痕跡なく隠し通されている。
おそらく全部がでたらめに違いなく、登場する名称という名称は全て適当にでっちあげられたものであり、本来とは呼び方も何もかも異なる。
そうでなければ、これほど何もでてこないなんて事はあり得ない。
しかも忌々しいことに、それらはどうやら真実に沿って書かれているということも間違いない。
こちらの権限では踏み込むことの出来なかった、あの双子の巫女の存在がそれを証明している。
ならば一体なぜ、わざわざ手紙を寄越したのだろうか?
協力を仰ぐでもなく一方的に情報を提供しておいて、しかもその情報は骨組み以外、でたらめに装飾されている。
もはや思索するべきことすらなく、次の手紙を待つしかないようだ。
鼻を明かしてやりたい気分でいっぱいだが、こうしてメモ帳に文句を書き連ねることで何とか溜飲を下げている。
頼むから全てを書き終えるまで手紙を絶やすなよと言いたい。それまでは腕が壊死しようが何としてでも書き続けてもらい、結末を見届けさせてもらわねばと思う。




