5. 二通目の手紙について(前)
前回の手紙が届いてから何ヶ月も経った頃、ようやく二通目の手紙が届いた。
二通目とはいえ、相変わらず封筒の束である。
前と同じく、宛先も差出人も消印も無く、順番に読めとばかりに封筒に数字が振ってある。
前回の手紙が届いてすぐの頃は、身の回りを警戒するはめになった。
誰かが自分を見張っていないか。ポストに不審者はいないか。来るとしたらどのタイミングか。
しかしそんな心配をよそに、待てど暮らせど手紙は投函されないので、やはりイタズラであり、一杯食わされたのではないかという気持ちになっていたところである。
なので、イタズラでは無かったのかという驚きと、またイタズラを再開するのかという驚きが同時にきてしまった。
知人から、双子の巫女について返答があった事を思い出す。町内行事に参加した際に、町の顔役のような人物に聞いてくれたらしい。
顔役は、特に町の祭事について長じており、祭礼であったり獅子舞であったり、とにかくその顔役ならば誰よりも詳しいだろうとの事だ。
その顔役が巫女たちについて語ったのは、以下のような内容だった。
あの二人については、何も分からんのよ。
多分あの二人は下町の人間が囲っとるんじゃないかと思うけど、元々どこの人間かも分からん。
ひょっとすると、もっと北の方から来た人間じゃないかと思うけど何も聞いた事がない。
神社の例大祭は、六つの地区により行われている。下町というのは神社のある地区だが、特別な権限があるわけではなく、立場としては他の六つの町とも対等なものであるそうだ。
知人が尋ねた顔役は六つの町のうちのひとつ、*六町の顔役であり、そろばん塾もそこに位置している。
つまり、それなりに知っているはずだろう、と目される中では最有力候補であったはずである。祭りの事なら何でも聞いてくれとでも言いそうな人物が、さも気まずそうに無知を晒してくれたというからには、そこには間違いなく秘匿された何かがあると思えてくる。
俄然興味も高まり、こちらからも双子の巫女について、本腰を入れて調べてみることにした。
職業柄、そういった資料を扱う事が多い。仕事のついでに流用させてもらうぐらいなら問題ないだろう。
だがしかし、そう思った矢先に少し大きめの仕事が入ってきてしまった。
通常業務に加えてイレギュラーな仕事が入り込んできたので、趣味に使う時間も全て注ぎ込んで、なんとかひと段落まで漕ぎつけた。
が、そうこうしているうちに二通目の手紙が届いたというわけである。
と、いうところでこちらの進捗が把握できたと思うので、以降は二通目を読んでからにしようと思う。
手紙を読む前に考察の精度を上げたところで、次の手紙で全てがひっくり返ったら、それこそ時間の無駄になるからだ。




