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2-27話:鉱石採取1

大変申し訳ございませんでした。更新した記事が過去の話だした。訂正しましたので、引き続き読んでいただければ幸いです。

 ネネリがバッグから取り出したのは、先端に魔石が嵌め込まれた特殊な棒だった。魔力を流すとパッと青白い光が灯り、たいまつの代わりに洞窟の闇を切り裂く。 案内役のネネリを先頭に、中央にアリーシャ、最後尾をレオが守る形で、三人は武器を構えながら慎重に進んでいく。


「あの……なかなか魔物が出てきませんね?」

「そもそも貴重な鉱石を体内に持つ魔物だ。個体数は少ないさ。……先に『ヒヒイロカネ』が取れればいいんだけどね」


 ネネリの説明を聞きながら進むと、突然、前方の広いフロアが眩い光に包まれた。壁一面に、青く澄んだ光を放つ石がびっしりと埋まっている。


「……ミスリルだ。一面に……」


レオが息を呑む。なるほど、これこそがパロムたちが求めていた「キラキラした石」の正体だ。だが、ネネリはミスリルには目もくれず、光をあちこちに向けて何かを探している。

 何を探しているのかとネネリに歩み寄ろうとした、その時。 「うへっ……」 レオの顔に、粘り気のある何かがべったりとへばりついた。慌てて引き剥がすと、それは驚くほど太く、強靭な「蜘蛛の糸」だった。


「レオ、大丈夫か!?」

「だ、大丈夫です……なんか、蜘蛛の糸っぽいのが顔について……」

「――アリーシャ!」


 ネネリの声が鋭く響き、彼女たちは即座に獲物を狙う獣のような構えをとった。


「レオ、そのままゆっくりと3、4歩、後ろへ下がってみな」

 

 静かな、だが緊迫した命令。レオは言われた通り、息を殺して4歩後退した。 その直後だった。


「キシャアアアアッ!!」


 裂けるような咆哮と共に、天井から二本の巨大な鎌のような爪が、レオがさっきまでいた場所へ振り下ろされた。


「かかった! 釣れたよ、こいつがヒヒイロカネを持つ魔物――『ジュエルスパイダー』だ!」

 

 その名の通り、巨大な蜘蛛の胴体には、あちこちに色とりどりの鉱石が結晶のように埋まっている。その中で、一際紅く脈打つように輝く石があった。


「あの紅いのが『ヒヒイロカネ』だ! さぁ、やるよ!」

 

 ネネリの合図で戦闘が開始された。レオは急いでアリーシャの背後へと回り、体勢を立て直す。


「パワーハンマー!!」


  先陣を切ったネネリが、重力を味方につけて跳躍し、バトルハンマーを蜘蛛の頭頂部へ叩きつけた。


 ドォォォォン!!


  凄まじい衝撃音と共に、ジュエルスパイダーの頭が地面に深くめり込む。

「やった!」とレオが叫んだが、ネネリの声がそれを遮る。


「まだだ! お尻の糸に触れるな! 絡まれば最後、身動きが取れなくなるぞ!」

 

 ジュエルスパイダーは尻から粘着質の糸を噴射し、同時に長く鋭い爪で広範囲を薙ぎ払う。アリーシャは華麗な身のこなしでそれを躱すが、レオは必死だ。右へ、左へ、時には転がるようにジャンプして猛攻を避ける。

 跳躍したレオの死角から、三本目の爪が迫る。


「やばい、空中じゃ……!」


  ガキィィィィン!!


 間一髪、アリーシャの大盾がレオの身代わりとなって爪を受け止めた。


「大丈夫ですか、マスター?」

「な、なんとか……助かったよ、ありがとう」


  その光景を見たネネリが、激を飛ばした。


「レオ! そのくらいの攻撃、渡した剣で止めてみせな! あんたの剣は飾りか!? 剣が使えるってのは嘘だったのかい!」

「が、がんばります……っ!!」

 

 それしか言えなかった。今まで短剣しか持たず、戦闘経験も皆無だった。いつもアリーシャに守られるばかり。だが、自分だってやらなきゃいけない。厳格だった父から、叩き込まれた記憶があるはずだ。

 レオの目つきが変わった。 アリーシャが正面から爪の乱舞を盾で固定する。その隙を突き、横から別の爪がレオを貫こうと飛来した。

(お父様が言っていた……無駄な動きを削ぎ落とし、最小の力で『手首の返し』を使う……!)


「はあああぁぁぁっ!!」


 ザシュッ!!

 

 鮮やかな銀光が弧を描いた。 次の瞬間、ジュエルスパイダーの太い足が一本、回転しながら空を舞い、地面に落ちた。


「やった……斬れた!」

「やるじゃないか!」とネネリが笑い、「マスター、ナイスです!」とアリーシャが叫ぶ。


 生まれて初めて、戦いの中で認められた。その喜びがレオの胸を満たす。だが、今は戦場の真っ只中だ。「死んだら終わり」。レオは自分に言い聞かせ、次の攻撃に備えて腰を落とした。


「ガアァァァッ!!」


  足を失ったジュエルスパイダーが激昂し、狂ったような連続攻撃を繰り出す。


「来るぞ、気をつけろ!」

「連続攻撃なら、私にお任せを!」


 アリーシャが大盾を前面に押し出した。怒涛の爪撃が盾を叩くたび、漆黒だった盾の色が次第に青へ、そして赤へと熱を帯びたように変化していく。


(これって、まさか……!)


 かつての戦闘では見る余裕もなかった変化。アリーシャの大盾が臨界点に達し、黄金の光を放った。 ガシャン! 盾が左右に展開し、中から「審判の剣」が姿を現す。


「これで決めます! ――ジャッジメント・クライム!!」


 黄金の閃光が洞窟を白く染め上げ、ジュエルスパイダーの巨体を真っ二つに両断した。


「ふぅ……やりましたね、マスター」

「……ああ、すごかった」


 ネネリは手慣れた手つきで剥ぎ取りナイフを振るい、赤く輝くヒヒイロカネを最優先で、さらに他の貴重な鉱石も次々と剥ぎ取っていく。


「いやぁ、こいつは当たりだよ! 最高のジュエルスパイダーだ!」

 

 レオとアリーシャも剥ぎ取りを手伝い、戦利品をバッグに詰め込んだ。一息ついたネネリは、ハンマーを担ぎ直し、洞窟のさらに奥……暗闇がより深く澱んでいる方向を見据えた。


「さて、次は……いよいよ本命、『アダマンタイト』だね!」

 

 レオは、先ほど自分の剣が感じた手応えを噛み締めながら、さらなる深淵へと足を進める決意を固めた。


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