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5-10.戻ったリンメイ

 ダマリンとの対面は終わった。

 雅則がリサに

「ワリキュールに戻る前にリンメイをエランデルに送り届ける。温泉にも入ってからワリキュールに戻ろう」

と言った。

「はい」

 リサは笑顔で返事した。

「エランデルには明日の朝、向かう。今日はイミナスでゆっくりしよう」

 雅則の言葉に、リンメイもネネの飯店に戻った。


 翌朝、リンメイは雅則とリサとキャンピングカーでエランデルに向かった。イビルは先にワリキュールに戻っていった。

 雅則はエランデルに近づくと、キャンピングカーを温泉に向かって走らせた。

「ナルーシャには会わないんですか?」

 リサが雅則に聞いた。

「今回はリンメイを送るのが先だ。温泉で疲れを癒したいし」

 温泉に近づくと大きなものが集団で飛んできた。

「フライアントラーのようだけど、大きさも格段に違います」

 リサも驚いていた。

 確かに今までに見たことの無い大きさの魔物が飛んでくる。

「クハノウ領から飛んできたアントラーか?倒すのは容易じゃないな。リサ、運転を代わってくれ」

 雅則はキャンピングカーの屋根に上がると

「バックショットシャワー!」

 エネルギー弾を雨のように降らせて飛んでくるアントラーを落としていった。

 リンメイは、その魔法の威力に驚いた。

「一匹一匹倒すのは面倒だから・・」

「そういう魔法も使えるんですね」

「使いたいと思ったら発動出来た。自分でもどんな魔法が使えるのかも把握していない」

 リンメイは、雅則は同じ魔術師でも特別だとあらためて思った。


 温泉に着くと、ニドルとユニ、ミルティナが出迎えてくれた。

「お帰り、リンメイ姉さん」

 ユニが待ち焦がれたような笑顔で言った。

「ただいま、ユニ」

 ミルティナも

「待っていました」

と笑みを浮かべて迎えてくれた。

 ニドルもリンメイと雅則を見て安心したような顔をしていた。そして

「ハーロックさんが来てくれると心強い」

と雅則に言った。

「ことの原因はクハノウ領。煙を断つには火元を断たないと。手をこまねいているより元を断つほうがいいと考え、悠介と美緒とクハノウ領に行ってきます」

「三人で?」

「今までも三人でいろいろこなしてきたし、まあ何とかなるでしょう」

「無事、戻ってくることを祈ってます」

とニドルは希望を雅則に託した。

 聞いていたリンメイは

「おとうさん、私もクハノウ領に行ってきます」

とニドルに言った。

 やはり自分も何とかしたいという思いを高ぶらせた。

 だが

「駄目だ。リンメイはここに居て、ニドルや人々を守って。リンメイが居なかったらエランデルは手薄になる」

と雅則に言われた。

「ハーロックさま・・」

「何があるかわからないから連れていけない。せっかくニドルに養女にしてもらったんだ。幸せに暮らして」

「それでわざわざ私を送ってくれたんですか?」

「それと久々に温泉で癒したいと思って」

「・・わかりました。私もハーロックさまたちが無事戻ってくることを祈っています」


 そして翌日、雅則とリサはワリキュールに戻るために、リンメイとニドルに挨拶して温泉を後にしていった。


 ◇


 魔物が今まで以上に現れるようになると、警備してくれるギルドハンターは少なくなった。

「このままではギルドハンターに頼ることは出来なくなるかも。しばらく温泉は休業するようかな」

とニドルは不安そうに言った。

 リンメイは魔王シゲルを思い出し

「また魔王シゲルさんに警護してもらいましょうか」

と提案した。

「シゲルさんはカリア村に居るらしいが、どうやって頼めば・・」

「私が頼んできてもいいけど、ここを離れるのは・・」

 そう、頼れる存在はいない。ミルティナも治癒魔法ヒーリングマジックには長けているが、攻撃魔法は得意ではないようだ。

 苦慮していると

「私が伝えてきてもいいわよ」

とリンスが現れた。

「リンス・・」

「エランデルからは離れちゃったけど、事態が事態だから戻ってきたというか・・」

「助かるわ。シゲルさんへの連絡、頼める?」

「すぐ行ってくるわ」

 だが戻ってきたリンスが

「近隣のグレコ族も守ってくれているけど彼もカリア村を離れられないからって・・」

と報告した。

「そう。非常事態だものね」

 前途多難な様相にリンメイは不安をつのらせていった。

 ニドルが

「一時温泉を閉めて街に行こう。街も安全とは言いがたいようだが」

と決心したようだった。

 そしてニドル、リンメイ、ユニ、そしてミルティナの四人がアーサの家で世話になることになった。トリルの家でもある。

「お店のほうも使えばみんな世話出来るから。ミルティナは治癒魔法が得意とか。トリルも多少、魔法は使えるが、薬つくりのほうが得意でね」

とアーサはミルティナを気に入ったようだった。

「私は魔法で治癒してしまうので、薬草の知識も乏しいですが、出来ることはお手伝いしますから」

「トリルとうまくやっておくれ」

 アーサはトリルの相手にリンメイだけでなく、ミルティナもどうかと考えたようだった。

 だがリンメイはそれどころではない。

 雅則たちが事態を収拾し、無事帰ってくるまで、みんなを、エランデルを守らなければならないと心に誓った。


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