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5-7.館の会議

 美緒が館に戻ってきてリンメイが居ることに驚いていた。そして

「元気そうね」

と喜んでくれた。

「はい・・美緒さんやハーロック様たちの力を借りたいと思って・・」

「エランデルが深刻な状況になっているのを確認してきたわ。私もエランデルは守りたいわ」

「はい」

 美緒の言葉にリンメイは安堵した思いだった。

 美緒はイビルに

「明日、会社に行ってスミスさんに報告したり今後について相談したいから、シームア領についての相談を明日の夜したいから、雅則くんや悠介さん、ジルにも集まってくれるように伝えてくれる?」

と頼んでいた。

「わかった」


 次の日の夜。館で会議が行われることになった。

 ジルが夕方には館に来て夕食を共にした。

 夜になり雅則がリサとコーネリアを連れてやってきた。

 そして悠介もナディを連れてやってきた。

「家で待っていてもらってもよかったんだが、ナディも気にかけてくれているから」

「ゆっくりしていって。何なら悠介さんと館に泊まっていってもいいから」

と美緒が言うと悠介が

「館はホテル業もはじめたか」

と、いつもの言葉遊びをはじめ

「宿泊料、取るわよ」

と言われていた。


 ◇


 そして館の会議が行われることになった。

 雅則、悠介、美緒、リサ、イビル、ジル、それにリンメイが別室に集まった。

 まず美緒の報告からはじまった。

「衛兵隊のリリアたちと、ギルド協会のナルーシャに会って来たんだけど、衛兵隊はクハノウ領方面から入ってくる魔獣たちを相手に苦労しているようで、街はギルドハンターに依存しているほどなの」

「思ったよりひどいことになっているようだな」

 悠介が、そうつぶやいた。

「この現状を打破するには、クハノウ領に乗り込んだほうが、解決が早いかも。そのうちワリキュールも危なくなるかもしれない」

 美緒より先にエランデルの状況を見てきた雅則が、将来の危機を危惧するように言った。

「ワリキュールもエランデルも愛着を持ったし、みんな守りたいわ」

 美緒も雅則と同意見のようだった。

「面倒くさがりやの雅は、マルケドーラ帝国のように、一気に潰すことも考えているのか?」

「いや、クハノウ領の規模も内情もわかっていない。それにマルケドーラ帝国のように自然もろとも破壊するようなことはなるべく控えたい」

「となると、やはり乗り込んでいくしかないだろう」

「新たな冒険の旅に出るか」

「悠介も行くのか? ナディと所帯を持ったのに」

「一緒に住んでいるだけだ。離れたくはないけど、単身赴任で長期出張に出ると思えば行ってこられる」

「出稼ぎで家を離れる気分か」

「ぜんぜん違うだろう」

 雅則と悠介の言葉遊びは美緒も慣れている。あえて口を挟むことはしなかった。

「で、誰が行ってくるの?」

「俺と悠介は決まりだな」

「私も行くわよ。3人でこの世界に来たんだから、ばらばらになりたくないし。雅則くんと悠介さんが、ソアラとセーラとアリオン神国方面に出かけたときは、私も心配したんだから。告白するけど」

 美緒が不安げに言った。

「ああ・・あれも無謀だったかも」

「帰ってこられたからよかったけどな」

「他のメンバーは・・あとは自由参加だな」

 雅則も何があるかわからないから無理には薦める気はないようだった。

 イビルが

「いつ行くの?」

と聞いた。

「特に急ぐことはないでしょう? スミスコーポレーションが私なしでもやっていけるようにいろいろ引継ぎして行きたいし」

 美緒が猶予を要求した。

「行くときは私もついていくから」

 イビルが手を上げるように言った。イビルは行く気満々だった。

「リサは・・」

 雅則がリサに聞いた。

「私も一緒に行きます」

 リサもしっかり返事をしていた。

 ジルも

「俺も元の世界に戻れるまで、力になりたい」

と言ったが

「ジルは、こっちに残ってスレーンと一緒にワリキュールを守って。頼れる人材は少ないから」

と美緒が頼んでいた。そして雅則が

「コーネリアも頼む。ああ、コーネリアはヒュンケルにあずかってもらってもいいか」

というと

「ヒュンケルは旅に出ていないと思うわ」

と美緒が思い出したように言った。

「そうか。・・じゃあ、ジルとスレーンに頼む。難しいときはアリスに言って霊廟のゴランに預けてくれ」

とジルに頼んだ。そして美緒が

「エランデルはリリアたちにがんばってもらっているけど、リンメイもニドルの養女にもなったし、魔族からも頼られている。残ってみんなを守ってほしいわ」

とリンメイを気遣ってくれた。

「・・はい」

 リンメイは迷ったが、素直に返事をした。雅則たちに頼むだけ頼んで、自分が参加しないことに気がひける思いもしたが、ニドルやユニの居る温泉も守らなければならない。

「出かける前に、ダマリンに会ってきたい。シームア領を任せられるのは人族よりダマリンたちだ。それにまたリサやイビルを連れて行くから話をしておかないと」

 雅則が言うと

「それなら、リンメイをダマリンに紹介しておいたら? 人族と魔族が共存する一歩として有効だと思うわ。リンスの代わりのリカにも会えたけど、人族と協力するの気はあまりないそうだし」

 美緒が提案した。

「そうだな。どうするリンメイ。ダマリンに会ってみるか?」

 雅則に聞かれて

「わたしは・・」

 リンメイは迷った。魔族に会いに行く?・・確かに今はリンメイも魔族との共存はいいと思っている。既に雅則は魔族との共存をはじめている。それは不可能ではないことを思い知らされている。

「ダマリンは雅則くんが最初に仲良くなった魔族。シームア領の統括者でもあるわ。仲良くなっておくのもいいと思う」

 美緒に言われてリンメイは決意した。

「会いに行きます」

 すると悠介が

「それなら新作の自動車で行って来い。キャンピングカーに改良を加えてみた。燃料はイミナスやエランデルを回ってこられるくらい入れられる。ナディとキャンピングカーで旅行するつもりでいたが新作も試運転を兼ねて使ってもらっていい」

と言った。


 その頃、リビングではソリアやカリナ、スレーン、それにコーネリアとナディが雅則たちの会議を心配していた。雅則たちがクハノウ領に出かけるだろうと思っているからだ。雅則に美緒、悠介も出かける。そしていつ戻ってくるかもわからない。

 そして雅則たちがリビングに下りてくると、5人でクハノウ領に行くことになったと言われた。

「クハノウ領に俺と悠介、美緒とリサ、イビルの5人で行ってくる。無事戻ってくるつもりだが、いつになるかはわからない。それまでみんなで待っていて欲しい。何かが襲ってきて頼りになるのはジルとスレーンだ。頼むぞ。・・コーネリア。ジルとスレーンが守ってくれると思うけど、いざとなったらアリスたちと霊廟のボルンにかくまってもらって」

 そして

「その前に美緒はスミスコーポレーションの引継ぎ。俺はリンメイとイミナスのダマリンに会ってくる。悠介のキャンピングカーで。出かける前に宮殿のハンスやソマルに挨拶と、エドワールのライアンたちにも会ってくる。その間にリンメイにも運転を覚えてもらって・・」

と雅則が話すと

「それなら私がリンメイさんに運転の仕方を教えます」

 カリナが名乗り出た。

「いいけど、レースのテクニックは教えなくていいからな」

 悠介がカリナに言っていた。

 イビルが

「なら、先にイミナスに行っていい? 向こうで待っているから」

と里帰りを楽しみにしているように言った。

「じゃあ、ダマリンに会いに行くからと伝えておいて」




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