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3-3.狙われた飛行船

 それからまたしばらくして、エランデル国に居るリンスからリサを通して雅則に連絡が入った。

「ハーロック様、不審な女がエランデルに来たそうです」

 ギルド協会のナルーシャからの情報だった。

 雅則がナルーシャから聞いた情報を夕食後の会議で住人に伝えた。

「ナルーシャからの連絡でエランデル国にマユナという魔術師が来たらしい。レベルは60。魔法色素は月だそうだ」

「月ってどんな魔法が使えるの?」

 美緒が聞くと

「精神魔法とか空間魔法とか、主に上位魔術師が使う魔法らしい」

「やっかいだな」

 悠介も危惧した。

「それと、ハーロック伯爵について聞いて回っているらしいから、きっとスラーレン法国の女だろう。マーラと関係があるかも」

 リンメイも話は聞いたが、そのマユナがソドルの配下であることは知らなかった。

 そして翌日、雅則とリサが飛行船でエランデル国に向かった。


 数日後、エランデル国から戻った雅則が

「マユナは温泉で5日ほど働いたが、エランデル国でハーロック伯爵に関する情報を得られなかったようだ。SLで戻ったらしいからエドワールかワリキュールの何処かに居るだろう」

と話した。

 リンメイはジルとスミス電力で仕事をしているが、スラーレンの不穏な動きを感じてますます気になりだしていた。父の仇であろうソドルがマーラと何かを起こそうとしているのではと思うようになっていった。


 ◇


 ワリキュール国から大使館の許可が下りたのを知ったマーラは、早速行動を開始した。

 ソドルを呼ぶと、ソドルの配下のハユナもやってきた。ハユナはワリキュールに潜入して情報を集める役を担っている。

「ハユナ、ハーロックについて情報があれば聞きたいけど」

「それはまだ街の住民は知らないようです」

「じゃあやっぱりエランデル国の伯爵なのかしら」

「エランデルにはマユナが潜入しましたので、そのうち何らかの情報を持って帰ると思います」

「ハユナ、大使館の許可が下りたから大使館に適するような場所を見つけて」

「はい」

 その後、イビルが

「街外れの大きな建物にスラーレン大使館の看板を掲げたわ」

と館の会議で発表した。

「となると、いよいよマーラが出てくるということだな。・・美人かどうか聞かないのか?」

 雅則が悠介に言うと

何時いつ聞くかタイミングを計っていたところだ。しかしまだ15歳だろう?今回は遠慮しておく」

「しかしマーラの狙いはランケル国王だ。シルビアのように国王の妃になって、将来ワリキュール国を手中にする考えかも知れない」

「国王が俺のライバルか」

「悠介の心配は置いといて、だれか宮殿にもぐりこませるか」

「え?」

「イビルに王宮の監視を頼んでいるけれど、国王の身近に誰かつけておいたほうがいいと思う。・・イビルはだめか」

「わたし?・・そういう窮屈なのは苦手なんだけど」

「だよな。・・リサ・・は、笑顔作れるか?」

「無理です」

「自分や国王を守れる力のある者でないと務まらないし・・」

 リンメイは雅則たちのやりとりを聞いているうちに

「スラーレンに行ってきていいですか?」

と雅則に言った。

「え?リンメイが挙手したのかと思った」

「私が宮殿に? 無理です」

「リンメイも無理なら、あきらめるしかないか。で、どうしてスラーレンに? 戻りたくなったか」

「いえ。・・マーラに近づいているソドルが気になって。シルビア様やプロティナの陰になって働いていたのでマーラの動向も探れると思います。それに・・ソドルが父の仇なら、この手で討ちたいです」

 そう話すと

「マーラもこっちの情報を探っているようだから、こっちも探ってやるか。リンメイの敵討ちには協力してやる。一緒にスラーレンに行ってこよう」

と言ってくれた。

「イビル、飛行船の手配をハンスにしてきてくれ。それと俺たちがヒュンケルと会っている間に飛行船が狙われる可能性もある。リサと二人で飛行船で待機していて、誰かが乗り込んできたら捕まえてくれないか」

「人族だったら食べていい?」

「だめだ」


 ◇


 翌日、リンメイは雅則と飛行船でスラーレンに向った。

「リンメイの件はヒュンケルにも協力してもらう。スラーレンで他に力になってもらえる者はいなくなってしまったからな」

 雅則に言われて

「国王のヒュンケルって、魔王なんですか?」

と聞いた。魔王が国王など信じられないことだ。だが雅則は

「うん。俺がスラーレンの国王に推してやったんだ」

とはっきり言った。

「何でもしてしまうんですね」

「面倒くさいこと嫌いだから。簡単に決めちゃった」

 雅則が飛行船を宮殿の広場に着地させた。それからタラップを降りて雅則と宮殿に向った。すると大柄の男とメイド服を来た女が出迎えてくれた。

「紹介しよう、リンメイだ。スラーレン出身の魔術師。魔王ヒュンケルとシズだ」

 雅則がそれぞれを紹介した。

 ヒュンケルと紹介された男は、体は大きく、強面の顔をしている。雅則より魔王らしいと思った。そして隣の女は、なぜかメイド服を着ている。

「ヒュンケルは俺と同じように異世界から転移してきたらしい。それとシズはデュラハンという種族らしい」

「よろしくね」

 シズから笑顔で挨拶された。

「首を取って挨拶しなくていいからね」

 雅則に言われてシズは

「心得ています」

と微笑んだ。デュラハンは首が取れる種族らしい。

「悪いけど今日はコーネリアは連れて来ていない」

 雅則は普段より真剣な顔だった。

「重要な話か」

 ヒュンケルもそれを感じていた。

 応接室に案内された雅則は、ヒュンケルにリンメイとソドルの関係を話した。

「そういうわけでソドルの件やソドルやマーラについてリンメイに調べてもらおうと思って連れてきた。調べたらリンメイを館に転移して戻してほしい」

「了解した。正直、貴族たちの動きがつかめないでいるんだ。貴族たち人族は俺を避けている」

 リンメイは雅則に

「仇を討とうなどどあせるな。自分の身を大切にしろよ」

と言われた。

「はい」


 ◇


 リンメイたちが宮殿に入っている間に飛行船に近づく影があった。彼らは雅則たちが居ない間に飛行船を乗っ取るつもりで機内に入った。

「やっぱり入ってくると思ったわ」

 イビルとリサが中で待ち構えていた。男たちはイビルとリサに襲いかかった。

「只の人族じゃない。強いわよ」

 イビルとリサの反撃を彼らは防御魔法で防いだ。

魔術師マジシャン?」

 リサは襲い掛かる男に『ライトニング(電撃)』を浴びせた。

「燃やしてあげようか」

 イビルが火星魔法を使おうとすると、リサが

「機内で火事を起こさないで」

と止めた。

「しょうがないわね。なら八つ裂きね」

 イビルは爪を伸ばして男の体を突き刺した。


 宮殿に入っている雅則のセンスエネミー(敵感知)が働いた。

「飛行船のほうか。ヒュンケル、飛行船に転移してくれ」

 ヒュンケルが魔法陣を出すと、雅則、リンメイ、シズも飛行船の機内に転移した。

 すると、リサとイビルが侵入してきた男たちを始末していた。

「殺しちゃったけど。ただの人族じゃなかったし」

 イビルが雅則に言った。リンメイは

「覚えのある顔が・・もとシャドーコープス」

と倒れた男の顔を見て言った。

「生き方を失った成れの果て・・か」

 雅則は飛行船が襲われるのを警戒してリサとイビルに中で待機してもらっていた。

「機長たちは?」

「下の機関室で待機してもらっているわ」

「機内を血で汚してしまったわ」

 リサがそれを気にすると、一緒に転移してきたシズが

「生活魔法で除去します」

と魔法を発動した。

「シズも生活魔法を使えるのか」

 雅則に聞かれてシズは

「首が取れるだけじゃありません」

と笑顔でこたえた。

「シズが居るので、俺もいろいろ助かっている」

 ヒュンケルも嬉しそうに言った。

「プロティナがシャドーコープスを動かしているとは考え難い。ソドルが動かしているのか。やはりマーラとは関係がありそうだな。リンメイ、本当に無理をするなよ」

 雅則はそう言って飛行船でワリキュールに戻っていった。




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