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2-10.リンメイとジル

 館には雅則たち異世界から来たと言っている人族、ソリアやカリナのようなワリキュールの人族、リサやイビルのような魔族、そしてコーネリアなどのセキュバスが同居している。みんな種族を超えて家族のような雰囲気だ。

 リンメイはまたコーネリアに料理を教わりはじめた。冒険者とかはじめて、また雅則たちに迷惑をかけたくないし、かといって人並みの暮らしはしてこなかったから普通の庶民の生活にも慣れていない。

 ただ何もしないで舘に世話になっているのも心苦しくなっていったので、家事でも身につけてみんなの役に立てたらと考えた。

 悠介が

「リンメイのことだが、家事をさせておくのか?」

と雅則に聞いていた。

「前は冒険者の仕事で出かけていたけど、また怪我をされても困るしな」

と雅則はこたえてた。それを聞くと、リンメイは館を出ずらかった。

 雅則も悠介もけっこう忙しそうに働いている。悠介は自動車の販売も手掛けていて、館と営業所を行き来している。雅則も火力発電所がどうとか時々宮殿やエドワールに出かける。

 リンメイは雅則から

「ジルと一緒に電力会社で働いてみないか? エドワールで仕事を見つけたいなら無理には言わないけど」

と言われた。

 リンメイは

「いえ。エドワールはワリキュールにも居づらくなって一時的に過ごしていただけですから・・何でもします。でも・・電気はわかりませんけど」

とこたえた。

「それは大丈夫。電気を直接扱うわけじゃないから。例えば電柱用の木材の切り出しを山からしているんだけど、魔物が出る場合があるんだ。それを退治する仕事だ。リンメイが電気を覚えたいなら、もちろんそれでもいい」

 話を聞いたリンメイは、何でも引き受けることにした。

「そういうことだから、リンメイの世話も頼むよ」

 雅則に言われて、美緒が

「わかった。リンメイが一緒に働いてくれれば、その分、冒険者や魔術師を雇わなくて済むものね」

と引き受けた。


 ◇


 リンメイはジルと一緒にスミスコーポレションの建屋に案内された。

 ジルがリンメイに

「美緒さんはスミス乳業やスミス醸造、スミス電力などの会社を仕切っているスミスコーポレーションの副会長をしているんだ。みんな美緒さんが始めたことらしいけど」

と教えてくれた。

「美緒さんも凄いんですね」

「上位魔術師でもある。怒らせないように」

とジルに念を押された。


 リンメイは美緒から

「以前にスラーレン法国で衛兵隊だったミリアとユリカが来て、今のジルと同じような仕事をしてもらっていたんだけど、エドワールの統治者になったライアンも電力会社で働いていたことがあって、それが縁でライアンがエドワールに行く時に、二人もついて行ったのよ。だからその代わりというわけじゃないけど、ジルに働いてもらうことにしたの」

と話をされた。

 リンメイはエドワールの領事館のライアンと雅則との関係を理解した。

 そしてリンメイはジルと電力会社で働きはじめた。


 ◇


 リンメイとジルが任された仕事は材木の伐採現場の見回りだ。その状況と魔物が出てきたときに退治または追いやるのが主な仕事だった。

「この木材は切り出してどうするの?」

 リンメイはジルに聞いてみた。

「牧場までの道の脇とは街で見かけるだろう。柱を立てて電線とかいう線が繋がれている。あの線に電気が通っていて、それで街の灯りを灯しているんだって。つまり切り出した木材は、その電柱にするんだ。・・俺もよくわかってないけど」

「もしかしてその電気はハーロックさんたちがつくった?・・」

「初めは美緒さんと悠介さんが考えて作り出したものらしいけど。電気はモーターを回して作れるものらしいけど、最初は滝のように水の落下を利用して電気をつくる水力発電所を作ったらしい。で、エドワールでも電気を使いたいという話が出て、あの辺りは山がないから滝もない。そこでハーロックさんが火力発電所を作っている」

 リンメイにはまだ理解が及ぶ話ではなかったが、雅則たちが凄い人であるとあらためて思った。


 リンメイは話を切り替えて

「ジルさんも異世界から来た人なの?」

と聞いた。

「ああ・・隠しておくこともないか。仲間になったんだし。俺はハーロックを倒すために女神にこの世界に召喚されてきた」

「え?」

「俺はマリアント国という別の世界の人間で、村で生まれ育って宮殿の騎士になった。こっちの世界の衛兵隊のようなものだ。が、突然、この世界に転移され、女神に魔王ハーロックを倒してくれ言われた。魔王ハーロックというのは雅則さんのことで、女神はソリアのことだ」

「え? どういうこと?」

 リンメイはジルがソアラに召喚されてからのことをジルから聞いた。












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