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2-8.はじめての飛行船

 悠介からライフをもらって日に日に回復したリンメイは、冒険者の仕事に出ずに館で家事をこなしながら過ごした。

「コーネリア、私にもいろいろ料理を教えて」

「はい」

「リンメイにも料理が作れるようになってもらうと助かる。大所帯の割には料理が苦手な者が多くて・・」

と悠介にもリンメイは期待された。

 館の住人は昼間はほとんどがそれぞれ仕事を持って暮らしているので夕食の後、雑談を兼ねた会議が設けられる。

 館の会議で

「というわけで石炭の需要も高まっているし、またアズパイアを買い付けてこようと思う。それとオーグ討伐キャンペーンもある」

と雅則が口火を切った。


 オーグ討伐キャンペーンは、エランデル国のオーナ村で年に2回、アズパイアの収穫時期にオーグが現れるので、それを退治する仕事で、リンメイがエランデル国に行ったときに、ナルーシャにまた来てもらえないかと言われていた。それを雅則に伝えておいた。

 そして雅則は

「今回はリンメイとジルを連れてエランデルに行ってこようと思う」

と言った。

 雅則がまた自分を気遣ってくれている?・・リンメイはそう思った。

 すると

「それなら俺が二人をエランデルに連れて行こう。俺にも息抜きをさせてくれ」

と悠介が言った。

「このところ、俺ばかり出ているし、エドワールのこともあるからな」

 雅則が悠介の意見を承諾した。


 エドワールのこととは、エドワールの街にも電気の明かりも灯そうという話が出ていて、近くに山が無く、滝もないので水力発電所は作れない。そこで火力発電所を作ろうとしている。その担当が雅則だった。

 SLや水力発電所による電気つくり、自動車などの設計・開発は悠介が担当したが、雅則も無線機や火力発電所の設計・開発を担っているらしい。

 リンメイには理解出来ないことばかりだった。

 ジルが

「オーグ討伐キャンペーンってなに?」

と雅則に聞いた。

「ジルは電力会社で頑張ってもらっているけど、こっちの世界をもっと知ってもらってもいいかなと思って。山仕事ばかりじゃ悪いし。アズパイアを育てている村にアズパイアが出来た頃にオーグという魔獣が現れるんだ。そのオーグを退治する仕事だ」

「そういう仕事もあるんだ」

 リンメイは雅則に

「じゃあリンメイ、慣れたところでまたエランデルに行ってきてくれる?」

と言われた。


 ◇


 そして数日後。

 リンメイとジルは悠介に連れられてエランデル国に行くことになり

「今回は飛行船で行くから」

と悠介に言われた。

「飛行船ですか・・」

「リンメイは飛行船に乗るのははじめてか?」

「はい」

「高いところは大丈夫だよね」

「・・と思います」

「高いところが苦手なのは雅だけか・・」

 リンメイは雅則が高所恐怖症であることを知った。

「SLで行くと2日かかりだが、飛行船なら朝出発して夕方にはエランデルに着く」

 リンメイはSL列車でエランデルには行っているが、飛行船で行くのははじめてだ。


 そして当日。

 悠介とジルと空港に行くと大きな飛行船があった。

 リンメイは目の前に飛行船を見て言葉がなかった。空港も広い敷地だが、そこのどっしりと置かれている飛行船は大きかった。

 昔、ワリキュール軍が軍事用に開発したものらしいが、雅則とソマル男爵が旅客用に改良したらしい。そして今ではワリキュールの貴族たちやエランデルの人々が飛行船でも行き来している。

 飛行船が空に飛び立つと、リンメイは空からの景色をはじめて見た。感動だった。


 ◇


 エランデル国の空港の到着ロビーでリンスが待っていた。

「リンス。いつもご苦労さん」

 悠介がリンスに声をかけた。

「『ハナ』まで送ります」

「紹介しておこう。彼がジルで、彼女がリンスだ」

 悠介はジルとリンスをそれぞれ紹介した。リンメイは既にリンスと対面している。

「リンスも魔族?」

 ジルが悠介に聞いた。

「ああ、頼りになる魔族だ。彼女も美人だろう?」

 リンスは悠介の本気とも冗談とも言えない言葉にちょっとはにかんだ。


 飯店『ハナ』までリンスに馬車で送ってもらった。

「時間になったらまた迎えに来ます」

とリンスは戻っていった。

「悠介様、お待ちしてました」

 ユリが出迎えた。

「また世話になるよ」

「今度はオーグ討伐キャンペーンに参加するんですよね」

「それで来たんだ」

「朝食は早めに出しますから」

「そうだった。早起きは苦手だけど」

 悠介は宿帳に自分たちの名前を記入した。名前くらいの文字は書けないとと、カリナに教わったらしい。そして

「ジルにとりあえす覚えて欲しいのはこの宿とギルド協会だ。ギルド協会はワリキュールの冒険者協会と同じと思ってくれていい。冒険者協会の魔力検査の器材はエランデルから運んだ」

と説明していた。


 『ハナ』で一休みしていると、リンスがナルーシャを連れてきた。

「ナルーシャ、久しぶり」

 悠介が恋人に逢えたような笑顔で言った。ナルーシャも

「来るのを楽しみにしていました」

と笑顔でこたえた。

「そういえばキャンペーンが始まるから、朝早いんだろう?」

「悠介さんたちに会えるなら徹夜明けでも平気です」

「ナルーシャはそんなに若かったか?」

「どういう意味です?」

「また口が滑った。ジョーク、ジョーク」


 悠介はジルにナルーシャを紹介した。

「ギルド協会の職員のナルーシャ。ワリキュールのソリアと同じような仕事をしている」

 すると

「今度は男ですか」

 悠介がジルを連れてきたのでナルーシャが聞いていた。

「女にしか興味ないと思っているだろう? 否定はしないけど」

 ジルは悠介とナルーシャのやりとりに、ここでも唖然とするしかなかった。が、それはリンメイも同じだった。


悠介が

「ジルはワリキュールで魔力検査は済ませているけど」

と言うと

「私にも測らせてもらえますか? 村から戻ってからでもいいですけど」

とナルーシャが言った。

 それからナルーシャが予約しておいてくれた食事処でみんなで歓談しながら過ごした。

 ナルーシャに

「飛行船で来たんですよね。リンメイさんは乗ったことは?」

と聞かれ

「今回がはじめて」

とリンメイがこたえると

「凄いでしょう、空の上って」

とナルーシャが楽しそうな顔で言った。

「私もはじめて飛行船に乗ったときは驚きだったわ。空の上から眺めるなんて考えられなかったから」

 ナルーシャは思い出して嬉しそうに話していた。

「そういえばナルーシャはしばらくワリキュールに来てないな」

と聞いた悠介は、ナルーシャに

「いまではワリキュールが故郷のようなものだものね」

と言われていた。

「最初はエランデルに転移してきたのにね」

「雅も美緒ちゃんもワリキュールが気に入ってしまってさぁ。俺もだけど」

「アズパイアの買い付けの相談もしていくんでしょう? そのときは私も同行します」

「ナルーシャが居ると心細い。いや心強い。よろしく」

「帰りにまた温泉に入っていきます?」

「ナルーシャが一緒に入ってくれるなら」

「混浴も作ったみたいですよ」

「ほんと?」

 悠介の顔がほころぶと

「でも、一緒には入らないけど」

「がっかり」


















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