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2-6.リンスとナルーシャ

 リンメイは予定通り、エドワールからエランデル国のアリシクル駅までの列車の警護をした後、飯店『ハナ』に行った。すると

「リンメイさん。お待ちしていました」

とユリに笑顔で迎えられた。

 リンメイはちょっと戸惑った。確かに悠介が『ハナ』の予約をとってくれると言っていたが、その通り、泊まることが出来る。どうやって予約をとってくれたのか。

「2泊と聞いてますが?」

「ええ」

「一番奥の部屋を用意しておきました」

「ありがとう」

 リンメイはちょっと優越感を感じた。今まで予約して飯店に泊まったことはない。それに用意してくれた部屋は、以前にも泊まったことのある部屋だ。ユリが気遣ってくれたようだ。


 部屋に入ると、リンメイは気配を感じた。誰か居る。

「窓の外?」

 リンメイが窓を開けると誰かが風のように入ってきた。

「だれ?」

 女だった。部屋に入ってくると片膝を立てるようにしゃがみ

「エランデルでハーロック様たちとの連絡を担っているリンスです」

と言った。

「もしかして、ハーロック様が言っていた、エランデルの魔族?」

「はい」

「あなたがここの予約をとってくれたの?」

「はい。予約をユースケ様から頼まれました」

 リサが雅則に同行してエドワールに出かけているので、悠介は飯店『ハナ』の予約をイビルを通してリンスに頼んだ。

「ありがとう。私もエランデルではここしか泊まったことがないから・・リンスには、これからも世話になるかもしれないからよろしく」

 リンメイが親しげに言うとリンスに戸惑われた。そして

「ギルド協会のナルーシャを知っているとか」

とリンスに聞かれた。

「ナルーシャ? ギルド協会には何回か行ったことはあるけど名前を覚えた職員はいないわ」

「そうですか・・ナルーシャはハーロック様たちとも親しくしている女です。そのナルーシャがリンメイを覚えていてたのみたいことがあるそうです」

「私に?」

「詳しいことはナルーシャに聞いてください」

 リンスはそう言って風のように部屋を出て行った。


 リンメイは仕事を終えてエランデルで2泊する予定でいた。翌朝にはアリシクル駅からエドワール経由ワルコット駅行きに出発する列車があるが、それでは休む暇も無いので3日後のアリシクル駅発の列車の警護を請け負っている」

「そのナルーシャには、会いに行った方がよさそうね」

 これからのことを考えると、リンスの言ったことは無視出来ないと思った。


 ◇


 翌日、リンメイはギルド協会に足を運んだ。はじめてここに来たのはシルビアに頼まれて上位魔術師がエランデル国に居るかどうかを調べに来た時だ。そしてギルド協会でハンターの登録をしてオーグ討伐に参加した。その時に出会った雅則たちと、ワリキュール王国でまた出会うことになるとは思っていなかった。

 そのあと、シャドーコープスが結界魔法士のナターシャを襲った時、彼女を助けた後、キャラバン隊と出会いカリア村で警護の仕事をしてエランデルに戻り、ちょうど始まったオーグ討伐キャンペーン参加したこともある。

「あの・・ナルーシャは居る?」

 リンメイは協会の職員と思われる女に聞いた。女はナルーシャに

「リンメイという人が来ましたけど」

と伝えた。

 すると女が2階から下りてきて声をかけてきた。

「リンメイさん?」

 女から名前を言われてリンメイは思い出した。魔力検査をしてくれた女だった。

「やっぱり、あなたがナルーシャ? リンスから聞いたので会いに来たんだけど」

「え?」

 ナルーシャについて2階に上がると

「リンスが気を遣ってくれたんだ。実はまたオーグ討伐キャンペーンが始まるの。リンメイさんのようなレベルの高いハンターに参加してもらえるといいなと思って」

とナルーシャに言われた。

「それは考えてもいいけど。・・でもハーロック様とも親しいと聞いて・・」

「ハーロックさんたちの魔力検査をしたのがきっかけだったの」

 事情を知ったリンメイは

「彼は何者?」

とナルーシャに聞いてみた。

「え?」

「魔族ではなさそうだし、魔王を名乗っているけど信じられなくて」

 雅則も悠介も異世界から来た人族だと言っていたが、リンメイはまだ信じられないでいた。

 ナルーシャはクスッと笑って

「人族だと思うわ。異世界の」

と言った。

「ほんとうに異世界の?」

「連れてこられちゃったらしいわ。でも、私はまだ半信半疑なの。でもレベルは高いし、いろんな魔法が使えるようなの。もし上位魔術師だとしても、あんなに力を秘めている人たちははじめてだったわ」

 リンメイはそれを信じるしかなかった。

「リンメイさんは今はハーロックさんたちと一緒だと聞いたけど」

と逆に聞かれて

「ええ・・まあ、いろいろあってそういうことに・・」

と口を重くした。どう説明したらいいか、自分でもわからないでいた。

 するとナルーシャは今の質問をスルーするように

「オーグ討伐キャンペーンのことなんだけど。出来ればハーロックさんたちにも参加してほしいと思っているんだけど。会いたいのが第一の理由なんだけど。リンメイさんだけでも参加してもらえると嬉しいな」

「考えてみるわ」

「時間があるなら温泉にでも入ってきたら? 今は観光客も増えて温泉行きの馬車も出ているの」

とナルーシャに言われたが、リンメイは温泉をまだ知らなかった。





















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