episode10 〜迫る危機〜
日向と月向のすれ違いが大きくなった結果よい方向には向かずに悪い方向へ加速していった。月向の無謀な判断がことを悪い方に進めその結果も最悪なものになった。
ふと目が覚めると白い天井だった。どれくらいかはわからない。自分ではわからないほど長く寝ていたと思う。自分のこと以上に月向たちが心配だった。国の司令部の半分が崩れている状態。いわば底が抜けている橋を渡っているようなものだ。いつ危険が迫るかわからない。
「あれ…月向はどこ?」
日向の近くに月向はいなかった。ちょうど来ていなかったんだろう。月向は辛い思いをしているのかもしれない。日向はすぐにベッドから降りた。ずっと寝ていたせいで体力は落ちているようだが、体の状態は良かった。色々な場所を歩き回る。月向の姿はない。しょうがなく日向は司令部へと向かう。そこでは驚くべきことが起きていた。軽空母の偵察艦隊ひとつが国から出撃し、大西洋へと向かったようだった。そしてそこに乗っているのは月向だった。月向はイギリス本土攻撃の作戦を前々から提案していた。イギリス本土を叩き、レナを救出するとともに、イギリスを降伏させ太平洋のイギリス植民地を奪取することで太平洋戦争を優位に進めようとしていた。しかしその作戦は承認されなかった。色々な理由があったが、何よりも一番の理由は危険性だった。敵にばれてレナに危害が加わる可能性や失敗した場合にほとんど帰還が不可能なこと、そしてもし助け出せても帰還時に確実に戦闘になり、最悪の場合艦隊壊滅、成功したとしても船の損傷によって途中で海の底にという状態だ。リスク以外何もない。日向がレナ救出の行動をしない理由はそれだった。それでも月向は動いた。簡単に言えば、
[レナを助けるために自分の命を捨てる]という意味だ。
日向はすぐに増援を送ろうとしたが、すぐに反対された。たとえ増援を送っても、イギリス主力艦隊の前では意味をなさない。犠牲を増やすだけだからだ。日向は最終的に救出部隊を送らずに、アジアのイギリス領土への攻撃を行うことにした。
イギリス本土ではアメリカとイギリスの交渉が行われていた。
イギリスはアメリカに連合国側への加盟を要請、アメリカは海洋連邦への攻撃に対して怒っているために交渉は決裂し、最悪の場合には全面戦争の可能性があった。アメリカは全面戦争を避けるための条件を提示した。それはイギリスの攻撃によって沈んだ海洋連邦戦艦の乗組員を返し、アメリカを通して海洋連邦に賠償金を払えという内容だった。イギリスは乗組員を殺していた。そのため残っていたのはレナだけだった。そのうえレナさえ引き渡そうとはしない。さらにイギリスは賠償金を払わなかった。アメリカはイギリスの呆れた態度に激怒した。イギリス側にいたのはエルという人物で、彼女は戦争のプロ、戦略的思考に長けていた。アメリカ大使の怒りを止めるためにアメリカ側からはサラが出る。それによってエルとサラの対談が行われた。
エル「イギリスはできるだけ国に影響が出ることをしたくない。金は払いたくないし、罪人を開放したくもない。」
サラ「ならば国交は断絶になりますよ。」
エル「それはない。アメリカはイギリスと関係を失えば経済の悪化が発生するはずだ。」
サラ「想定は脅しになりませんよ。」
エル「とりあえずは、イギリスは海洋連邦に対して何もしない。」
サラ「ならば、アメリカにレナを渡してもらえませんか?」
エル「それならばいいでしょう。」
サラ「交渉成立です。ただしまたなにかやればそのときは覚悟してください。」
エル「わかっています。」
無事に終わったとは言えないが話し合いは終了した。
サラはレナとの対面を果たした。レナはイギリス本国にある牢屋に閉じ込められていた。
レナ「足音…うっ」
サラ「レナ...?」
レナ「...お姉...ちゃん...」
サラ「久しぶり...」
サラの一言でレナは気を失ってしまった。ここの環境による疲労と再会を果たしたショックでレナはもう限界だった。サラはレナを連れてそのままアメリカへ戻った。
レナが寝ている間、サラはずっと泣いていた。喜びと申し訳ない気持ちと…サラの中で色々な感情が混ざり合っていた。
サラがレナを救出したことにより、月向の行動が意味をなさなくなり、月向はレナがイギリスにいないことを知らないままイギリスへと船を進めていた。
月向「おかしい...イギリスの艦隊がいつもより多い。それにあれはアメリカ海軍...まさか...イギリスとアメリカが手を組んだ...?」
月向が驚いている中、イギリスの艦隊が月向たちに攻撃を行った。月向はすぐに指揮を行うが時すでに遅し。月向がアメリカ海軍の方を向いている間、後ろと右舷側から敵艦隊が迫ってきていたのだ。相手はすでに砲撃可能距離。月向の軍が航空機を出すのに5分以上かかるのに対し、相手はその間に10回程度主砲を一斉射できる。この時点でもう手遅れだったのかもしれない。しかし月向は諦めようとはしない。駆逐艦を撤退させ、空母単艦で突撃した。空母の乗組員たちはまったく逆らわなかった。月向の意思を信じてともに死地へと飛び込んだ。しかし空母でも難しい状況に軽空母で突撃するというのは限界だった。敵戦艦の主砲一斉射によって軽空母はすぐに戦闘不能に陥る。甲板に一発の砲弾が命中し、その場にいた乗組員と航空機を巻き込みながら甲板に大穴を開けた。
数分間月向は耐え続けていた。しかしそれも限界だった。月向がいる戦闘指揮所に攻撃が命中し爆発した。月向を含む乗組員が吹き飛ばされ、月向は壁に打ち付けられて気を失った。乗組員は皆即死だった。
船の舵がまだ生きていたのが不幸中の幸いだった。
月向が気を失っていた間に乗組員がやってきて舵を取った。その乗組員によって船が沈むことは免れたが、あくまで月向が起きるまでの時間を稼ぐことにしかならなかった。
月向が目を覚ますとそこは記憶にない場所だった。自分が誰かも今まで何をしていたかも思い出せない。
月向が爆発で壁に打ち付けられたとき、月向は記憶を失っていた。乗組員が月向に何かを言っても、月向にはそれがなんのことかわからない。
そんな状態で船には砲弾が飛び交い、船体下部と機関部にそれぞれ命中した。浸水が始まり、機関がやられて船を動かすことが難しくなった。
乗組員の一人は月向を逃がすことを決断した。
乗組員「月向さん!すぐにこの船から出てください!小さなボートがこの船にあります。」
月向「なんで..?ていうかあなたは誰...?」
乗組員「月向さん。あなたは今記憶を失っています。そしてあなたは今命を狙われているんです。すぐにボートに乗って逃げてください。この船はもうすぐ沈んでしまうんです。」
月向「....でもあなたは....?」
乗組員「僕のことは良いんです。あなたが生きていてくれれば問題なしです。」
月向「...でも...でも...」
乗組員「時間がないんです。いつかまた会いましょう。」
月向「..わかった....最後に名前だけ教えてください」
乗組員「湊です。みなとって書いてそうって読みます。」
月向「湊...わかった。絶対忘れない。ありがとう。」
乗組員「ほら行きますよ。」
乗組員の湊は月向を船から脱出させ、空母を止めた。そして一つだけ残っていた戦闘機を急いで出す。ここで遅れれば敵艦が接近し、脱出しようとしていることがばれる。湊の早い準備のお陰で戦闘機はわずか3分ほどで発艦した。戦闘機はすぐに上昇し、敵艦からバレない高さまで上がりそのまま逃げようとしたが眼の前には敵航空機が現れた。
月向はすぐに船で避難した。軽空母からでてすこしたったとき上空で戦闘機の音がして上を見ると攻撃されている戦闘機と、イギリスの戦闘機が見えた。それが湊だということは月向にわかっていた。しかしその戦闘機は敵の機銃で煙をだし、少しずつ高度を下げていった。イギリス戦闘機はすぐに引き返し、艦隊も軽空母が使えないことを確認し去っていった。月向はずっと泣いていた。途中で泣きすぎたことによって眠ってしまった。
月向が次に目覚めたときに目に写ったのは小さな船でも海でもなく天井だった。起きた月向に少女が声をかけてきた。
???「だいじょうぶ?」
月向「うん...ここは?」
???「僕の家的な場所。」
月向「...私の命を狙っていた人たちは?」
???「ここにはいないと思う...たぶん」
月向「じゃあここはイギリスじゃないってこと...?」
???「ここはドイツの港の近くだよ。」
月向「ドイツ...?でもあなた日本語ができるの?」
???「うん。日本出身だから。」
月向「あなた名前は?」
???「Herz。」
月向「あの音のやつ?」
Herz「よく言われるけど僕のヘルツはドイツ語で心って意味だよ。日本にいたときの名前がこころだったから。」
月向「..なんかごめん」
Herz「別にいいよ。初対面だし」
一瞬の沈黙が訪れたが、すぐにHerzが口を開いた。
Herz 「ところで君の名前は?」
月向「私はたぶん月向...だと思う。」
Herz 「たぶんって?」
月向「記憶がなくて...」
Herz 「うーん...なにか覚えていることはある?」
月向「私が命を狙われているって言われたのと...私を助けてくれた人の戦闘機が墜落したのと、相手はいぎりすだった。」
Herz 「なるほど...情報が入ってきてないからおそらくイギリスは演習と称してそれをやったんだとおもう。」
月向「詳しくはあんまり.....お腹へった。」
Herz 「ご飯にしよう。」
月向とHerzは夕食を食べながら月向のことを話すものの詳しいことはわからなかった。
月向が記憶喪失になっているとき、海洋連邦は他国との関係を打ちきり、ろくな国交を行っていなかった。またレナの状況も、月向の状況も本国には伝わっていなかった。
最近は新しい案が浮かびすぎて最初からある小説にてをつけれないという悲しい状態になってしまってます。投稿頑張っていきます。




