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第71話  救助再開


 「どうしてこんな所にいるんですか…………レオさん!!!」


 「ア……アシュラこそ何故ここにいるんだ?」


 アシュラにとって、レオナルドはこの都市で唯一信頼できる人だ。

 宿を護る為に商会の手先を追い払う姿。娘を護る父親としての姿。

 その勇ましい姿を見たからこそ、彼に信を置いていた。

 彼が抱える事情を聞かなかったのもその為だった。


 だがレオナルドは、まるで昔馴染みの友人宅を訪れるかのように現れた。

 それは暗に、バモスというクズ商人とは馴染んだ間柄、という事だ。


 「質問しているのは俺の方です。答えてください」


 双剣を持つアシュラの手に力が入る。

 微かに触れる刃の感触から、アシュラの覚悟が伝わる。

 事と次第によっては容赦しない、という覚悟が。


 「そ……それは…………」


 即座にそれを感じ取ったレオナルドだが、明確な答えは出なかった。

 いや、出せなかった……というべきかも知れない。

 沈黙と緊張によって部屋の空気が張り詰める。

 自由になったはずのバモスですら身じろぎひとつできない程である。


 「(レオさん……アウローナさんを悲しませたいんですか?)」


 「……っ!」


 アシュラはレオナルドにしか聞こえない程の小さい声で囁いた。

 突然出された娘の名前に、彼の身体が強張る。


 アシュラの中で、彼に対する『信』が『疑』へと入れ替わった。

 

 「はぁ……答えないなら結構です。敵対するなら容赦はしませんが、それ以外なら帰るなり何なりお好きにしてください。今はこんな事に時間を費やしてる余裕はないんです」


 アシュラは彼の首元から双剣を離し、後ろを振り返る。

 そしてその場から全く動かずにいたバモスから解毒剤を預かった。


 「それは……! ここで何があった!? 説明してくれないか!?」


 いきなり蚊帳の外に放り出されたレオナルドがアシュラを引き留める。

 が、当の本人はレオナルドの言葉を華麗にスルー。

 簀巻きに使っていた縄で、バモスの両手両足を縛りあげている。


 「た、頼むアシュラ!! 説明だけでも!!」


 「質問には答えないのに、説明を求めるなんて図々しいにも程があります」


 「あ…………」


 「もし気になるのなら、この商人を連れてついてきてください」


 「……わかった。そうさせてもらう」


 レオナルドはアシュラの言葉を聞き入れ、縛られたバモスを軽々と担ぎ上げた。

 それを確認したアシュラは、再び地下へと通じる入り口へと潜っていく。


 「……担いだら狭くて入れないんだが……」


 レオナルドは仕方なく、その巨躯をねじ込むように地下入り口へと潜った。

 バモスはその身を階段に殴打されながら地下へと引き摺られていった。



 *****



 「フォル、解毒剤を持ってきた!」


 地下の広間へと辿り着いたアシュラは、すぐさまフォルテュナに解毒剤を渡す。


 「良かった……! ありがとうアシュラ!」


 解毒剤は小瓶に入れられた液体だ。

 フォルテュナは蓋を開け、気を失っている子供の口に含ませた。

 そして喉を通ったのを確認すると、再度解毒の魔法を行使した。


 「彼の者の身体を蝕む毒物を光の導きによりその全てを排除し給え――解毒(キュア)――」


 白色の光が子供の身体を包み込んだ。


 「う……あぁ……」


 子供は苦悶の表情を浮かべるものの、先程のように絶叫する事はなかった。

 すると子供を包み込む白色の光が、徐々に紫色へと変色していく。


 「フォル、色が変わってきてるけど……これは?」


 アシュラが心配そうに様子を窺うが、彼女は逆に安心した様子で応えた、


 「これは毒が体外に排除されてる証拠よ。これなら皆助けられるわ」


 やがて紫色に染まりきった光は、子供の身体を離れ霧散した。

 どうやら解毒は無事に成功したようだ。


 「良かったのですぅ……ってどうしてここにレオさんがいるのですぅ!?」


 解毒の様子を見ていたククルが目を丸くする。

 広間の入り口にレオナルドが黙って立っていたからだ。


 ちなみに、バモスは階段に全身殴打され失神している。


 「これは……どういう事だ? どうして皆倒れているんだ?」


 レオナルドは目の前に広がる光景に目を疑っていた。


 「何を言ってるんですかレオさん。貴方は現状を知ってたんでしょう?」


 アシュラはそんな彼に冷めた口調で問い掛けた。


 「そんな……俺は知らない! 俺が聞きたい! どうしてこんな……!」


 「……本当に知らないんですか?」


 「ここに奴隷を隠している事は知っていた。だがそれは解放する事を前提としてここに匿っていると……そして元気を取り戻したら、いつか解放して故郷に戻すと……その為の一時的な措置だと聞いていたんだ!」


 アシュラはレオナルドの様子に驚いた。

 彼は建物内で、解毒剤を見て強い反応を示していた。

 だからバモス同様、奴隷の売買……いや生殺与奪に関与していると思っていた。


 (俺の思い違いだったみたいだ。だけど……)


 どうやらレオナルドは主犯に言いくるめられ、騙され、利用されていた。

 だったらその主犯は誰なのか。


 「レオさん、貴方に聞きたい事が沢山あります。フォルが治療を終えたら、知っている事全てを話してもらいますからね」


 「……あぁ、わかった。俺の知る限りの全てを話そう」


 「フォル、そういう事だから、呆けてないで全員に解毒を。ククルはフォルの補助をお願い。俺は上から食べ物と毛布を取ってくる。レオさん、貴方にも手伝ってもらいますからね」


 「あ、うんごめん! すぐに全員解毒するわ!」


 「フォルさん、次はこちらの子なのですぅ!」


 「お嬢ちゃん達、本当にすまない……アシュラ、好きなだけこき使ってくれ」




 こうしてレオナルドを含めた4人は、子供達の救助を再開した。





今回は繋ぎ程度の話になりました。

次回は土曜~日曜の間に更新する予定です。


さらに真実に迫るお話になるかと思います。


いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m


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