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第72話  レオナルドの過去~その1


 「バモスの野郎、食料も毛布もこんなにも備蓄しやがって……」


 「とてもひとりで食べられる量じゃないですね」


 役割分担が決まった後、2人はすぐに地上階へと移動。

 目的の食物と毛布は意外とあっさりと発見された。

 寝室の隣部屋に倉庫室らしき部屋があり、そこに備蓄されていたのである。


 「おそらく、奴隷用に分配支給して貰ったものだな」


 「そうですか……とにかく全部地下に持っていきましょう」


 「……そうだな」


 奴隷、という言葉に少し気まずい空気になったが、優先すべきは子供達だ。

 2人は黙って食物と毛布の運搬を開始。階段が狭い事もあり、巨躯のレオナルドは部屋から階段まで運搬し、アシュラは階段を往復運搬する事となった。


 レオナルドはアシュラの負担が大きいと異議を唱えたが、巨躯のレオナルドでは階段内の移動時間が掛かり過ぎてしまう懸念もあり、素気無く却下された。


 「それに、俺には早く移動する()()がありますから、心配無用ですよ」


 その理由は簡単。彼は『超加速』を使うつもりだったのだから。

 何も知らないレオナルドには意味がわからなかったようだが……


 「俺が部屋と階段入り口を往復するより早いって意味わからないんだが……」


 結果としては納得はしてくれたようだ。



 *****



 「アシュラ、レオさん、お疲れ様でした」


 食料と毛布の運搬を終えた2人を迎えてくれたのはフォルテュナ。

 彼女も解毒と回復の魔法を繰り返したのであろう、額には汗が滲んでいる。


 「フォルこそ本当にお疲れ様。子供達の様子はどう?」


 「解毒と回復は全て終えたわ。今はククルが魔法の炎と毛布で温めながら、水分と食料を与えてる。勿論、全員命には別条無いから安心していいわ」


 「そっか……間に合って良かった」


 「えぇ、本当に……」


 子供達の状況にひとまず安堵した2人だが、まだすべき事がある。

 アシュラとフォルテュナはそれを確認するように、無言で相槌を打つ。

 その直後、2人の視線はレオナルドへと注がれた。


 「レオさんもお疲れ様でした。ご協力、本当に感謝します」


 「……2人とも、感謝よりも糾弾したいんじゃないのか?」


 「糾弾はしません。最初に言った通り、事情を説明して貰います」


 「今後の行動に関わってくるわ。包み隠さずお話してくださいね」


 「わ、わかったから、2人して睨みつけないでくれ……」


 今回の奴隷監禁の主犯はバモスという商人であって、レオナルドではない。

 だがその商人の家にやってきたレオナルドが無関係とも言い切れないのだ。


 レオナルドは沸々と怒りを抑えるアシュラ達に怯えた様子を見せている。

 おそらく、本人も無関係ではない事を自覚しているのかも知れない。


 「ククル、悪いけど子供達の介抱を頼む! こっちは……」


 「あとでちゃんと説明お願いするのですぅ!」


 「あ、あぁ。わかって、ます。それとその……」


 「――四元素・灯の炎―― ふんっ!!」


 「あ、ありがとう……ご、ごめんねククル……」


 アシュラの言葉を先読みしたククルが返答を返す。……乱暴に。

 さらに3人の為に炎を作りだし、投げてよこした。……乱暴に。


 子供達の介抱が優先とはいえ、ひとり話に加われない事が不満なのだろう。

 すぐに察知したフォルテュナがバツ悪そうに謝罪したのだが……


 「……1日アシュラさん独占権!」


 もはや2人は黙って頷く事しか出来なかった。



 *****



 「……ごほん。改めてレオさん。お話を聞かせてください」


 気を取り直し、フォルテュナがククルから預かった炎を床に置く。

 その炎を挟んで、2人はレオナルドと向き合った。


 「話は少し長くなるが……」


 「「構いません」」


 レオナルドは2人の意思を確認すると、目を瞑りほんの少しだけ間を置く。

 やがて覚悟を決めたように目を開き、その口から言葉を紡ぎ始めた。


 「もう何年前だったかな…………俺は奴隷として、この街に来たんだ」


 事情というよりも、突然の告白。


 「レオさん、奴隷……だったんですか?」


 「あぁ。でも故郷はこの国、ティミス神教国だ。地図にも表記されないような、小さく貧しい農村出身でな。決して裕福ではなかったが、毎日家族揃って畑仕事の生活に、俺は満足していたんだ。……だがある年に天災に見舞われてな。大嵐によって家屋も畑も大打撃を受け、復興もままならない中、直後の大干ばつによって農村は壊滅の危機にさらされた」


 「そんな、酷い……」


 「あぁ、目も当てられないくらい酷かった。窮地に立たされた農村は一致団結して打開策を考えた。その結果が『家族を奴隷商に売る』事だった」


 「そんなの、一致団結なんて言わないわよ……!」


 「親が……子供を売ったんですか?」


 「そうだ。定期的に来る行商人に、俺を含め数人の子供を売り払った。自分達の生活の為にな。だが俺は両親を恨んではいなかった。むしろ両親の助けになるならと……俺はそれを受け入れた。そして奴隷として売られた俺は、奴隷の焼印を刻まれて、このメリアスに移送された」


 レオナルドは左の上腕部に刻まれた小さな焼印を見せる。

 2人は狼娘に刻まれた物と同じである事を確認した。

 狼娘達が告白してくれた時の事を思い出したのか、2人は苦渋の表情を浮かべる。


 「そんな辛そうな顔するな。俺はそこまで悲観してないんだからな」


 「「でも……」」


 「話を続けるぞ。この街にきてからすぐ、俺を除いた他の子供達は皆奴隷商に買われていった。俺はすでに20歳超えてたからな、買い手がつかなかったんだろう。俺は暫くの間、行商人の元で運搬作業の手伝いを強いられていた」


 「子供の方が労働には不向きなのに、どうして……」


 「子供の方が好みに調教できるからだ。奴隷を買う連中は大半が富裕層だ。性癖や趣味で売買される事の方が圧倒的に多いんだよ。俺みたいな大柄な男だと、船着き場の力仕事以外に何の役にも立たないからな。使い道が限られちまうんだよ」


 奴隷の実状は、個人的趣向による目的が9割、実利目的が1割と言われている。

 メリアスの船着き場で労働を強いられている子供の奴隷も数多くいるが、それは富裕層に見初められなかった売れ残り。いわば、使い捨ての駒扱いなのだ。


 「だが俺はそれはそれで満足していた。力仕事は得意だったし、飯も寝床も困る事はなかったからな。だがある日、そんな俺に転機が訪れた。いつものように船から荷馬車へと荷物を積みかえてたら、声を掛けられたんだ。『貴方、うちで働いてみない?』ってな」


 「レオさんの腕力が買われたんですね。その人は奴隷商ですか?」


 「あぁ、そうだ。お前達も知っている名前の……な」


 レオナルドの付け加えた言葉に、2人はすぐに反応を示した。


 「「それってまさか……」」


 思わず言葉が重なる。

 そしてその名は予想が外れる事もなく、レオナルドから告げられた。



 「アグニ・イグナイト……イグナイト商会の会長だ」





お待たせしましたm(__)m

そしてすみません、書ききれませんでしたm(__)m


間隔を開けたくないので、続きは4月2日迄に更新する予定です。


いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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