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第70話  思わぬ遭遇


 『どうやら落ち着いたみたいだな』


 アシュラはカーリーとクロの存在によって冷静さを取り戻す。

 同時に自分の未熟さを改めて再認識した。


 (まさか2人に助けられるとは思わなかったけど、ありがとう)


 《……何かさらっと酷い扱いしてねぇか?》


 『奇遇だな、クロ。私も同感だ』


 (そんな事よりもカーリー、落ち着いたから教えてくれ!)


 『《そんな事かよ!?』》


 若干のノリツッコミが繰り広げられたものの、それだけ気持ちに余裕が生まれた、というべきかも知れない。


 『……まぁいい、話を戻そう。現状、アシュラの視野から判断するに、監禁されている子供達は30人。全員が衰弱しているものの、フォルテュナの『癒しの光』で体力的には回復させている。それでもなお誰ひとり我々の呼び掛けに反応しない……』


 《こりゃ(ドラッグ)かもしれねぇな》


 『その確率が高いな。種類はわからないが、回復よりも解毒が先だ』


 「フォル! 解毒魔法は!?」


 2人との密談(?)に返答するよりも先に、フォルテュナに確認する。


 「え、解毒魔法?」


 「(ドラッグ)の影響かも知れない!」


 「わ、わかったわ! やってみる!! 彼の者の身体を蝕む毒物を光の導きによりその全てを排除し給え――解毒(キュア)――」


 フォルテュナは手元の子供の胸元に右手を添えて、解毒魔法を唱えた。

 右手から輝く白色の光が、子供の身体を包み込む。


 「……ぅく、ぁぁあああぁぁぁ!!」


 すると突然、子供が目を大きく開き、苦しみ出した。


 「フォルさん!? どうしたのです!?」


 「私の解毒の光が体内の毒を体外に出そうとしてるの。毒素に侵されたばかりなら、苦しむ事もなくすぐに排除できるのだけれど……おそらく長期的に体内を蝕んでた可能性が高いわ」


 子供の身体が苦痛に反り返り、目からは涙が零れ始めた。

 それを目の当たりにしたフォルテュナの表情が苦渋に歪む。


 「毒素を排除できるのが先か、体力が尽きるのが先か……アシュラ! このままじゃ皆力尽きて死んでしまうわ! 解毒剤があればそれを活性化させて、すぐに毒を排除する事ができるの!! だからお願い!! 解毒剤を探してきて!!」


 思わぬ事態にフォルテュナの悲痛な叫びが地下室に木霊する。

 これほどまでに焦るフォルテュナは、カーリーが瀕死になった時以来だろう。


 「わかった、あの商人から聞き出して持ってくるから、待っててくれ!! 解毒魔法は解除して、子供達の介抱を頼む!!」


 「お願いねアシュラ!!」


 子供達はまだ即死する状態ではない。

 それでもこの苦しみから解放してあげたい。

 アシュラ達は縋りつく思いで動き出した。



 *****



 アシュラは地下室を飛び出し、商人の建物へと戻る。

 階段を物凄い速度で駆け上がると、すぐに外の光が見えてきた。


 (あのクズ商人を叩き起こして解毒剤の在処を吐かせる!)


 階段から屋内へと飛び出したアシュラ。

 すぐさま寝室へと向かい、簀巻きにされた商人を殴り起こした。


 「起きろ!!」


 「かはっ……ひぃ!? さ、さっきの小僧……!!」


 「地下室の子供達に(ドラッグ)を与えているな。解毒剤は何処だ」


 「ちちち地下室? あ、あれは私の奴隷達だ!! お前には関係ない!!」


 いきなりの事でしらを切る事もできなかった商人。

 だがあくまで自分の所有物である事を盾にしようとする。


 普段なら悪知恵を働かせるなり、商売根性で言葉巧みに難を逃れるだろう。

 しかし相手はアシュラだ。しかも殺気が身体から溢れかえっている。


 「解毒剤の在処は何処だと聞いている」


 今のアシュラは容赦などしない。

 銀白色の宝玉のついた双剣を鞘から抜くと、その剣先を商人に向ける。

 すると、双剣から僅かに風が流れたのだ。

 まだ鎌鼬を発動していないアシュラだが、すでに双剣自体が彼の気持ちを理解しているかのようだった。


 「な……なんだ? 風……ひいいぃぃぃ痛いいいいいぃいぃいぃ!!?」


 双剣の風が商人の頬を撫でる。

 すると、まるで鋭利な刃物にスライスされたように頬の皮が捲れた。

 商人は、簀巻きにされたまま自然と頬が切れるという事態にパニックを起こす。

 身動きが出来ない、それは逃げられないという事。

 すでに自分が詰んでいるという事を、身をもって知ったのである。

 そこでさらにアシュラの一言。


 「最後通告だ。解毒剤の在処は?」


 最後通告。

 アシュラの一言に、商人の心に浮かんだ言葉はただひとつ。


 ―――抗えば殺される―――


 心身とも追い込まれた商人には、すで抵抗する余力はなかった。


 「わ……わかった、話す! 話すから剣を仕舞ってくれえ!!」


 彼の言葉を聞き、アシュラは簀巻きの為に縛っていた縄を解く。


 「すぐに出せ。持っている解毒剤全てをだ」


 「ははは、はひいぃぃぃぃぃ!!」


 肯定なのか悲鳴なのかわからないような声をあげて、居間へと移動した。

 衣類を仕舞う箱を開け、服を乱暴に掻き出す。

 その中から小箱を取り出し、アシュラへと差し出した。


 「ななな中に個包装ししした粉薬がああああるある!」


 まるで自分が薬物中毒者のように、噛み噛みで話する商人。

 アシュラが差し出された小箱を手渡されようとした、その時。



 「おぃ、ラリってんのか? 外まで声が駄々洩れだぞ、バモス」



 ひとりの男性が、この商人……バモスの家に訪れて来た。


 (ちっ、こんな時に仲間か!!)


 ちょうど家の扉を背にしていたアシュラは瞬時に動いた。

 来訪者の声と気配で位置を割り出し、その首元へと双剣の刃を突き付ける。

 今ここで騒ぎを起こされるのは拙いという咄嗟の判断だ。

 来訪者は想定外の事で全く身動きひとつできずにいる。


 だが、ここでアシュラもまた想定外の事態に陥った。


 「静かにしろ、大人しくし――え?」


 アシュラは、一瞬とはいえ殺気を霧散させてしまった。

 来訪者も驚きのあまり、手にしていた大きな袋を床に落とした。



 「よ……よぅ……アシュラ」



 「どうしてこんな所にいるんですか…………レオさん!!!」





更新予告を予定を2時間オーヴァー。

申し訳ないっすm(__)m


次回は週半ばに更新します。


いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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