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第63話  ククルの暗躍

 更新が遅くなり申し訳ありませんでしたm(__)m




 「レオさん。貴方が大切にしているこの宿、そしてアウローナさんを、俺達が守ります。だから、事情をお聞かせ願えませんか?」


 「…………断る」


 「……お聞かせ願いませんか?」


 「お聞かせ願いません」


 「そこをなんとか」


 「だあぁしつこい! 駄目ったら駄目だ!!」


 いくら共通の敵だろうと、ただそれだけの理由では説得力などあるわけがない。ましてや出会ったばかりのアシュラ達に、おいそれと事情を教えてくれるはずもない。レオナルドが即答で拒否するのは当然の結果である。


 「宿泊客として来てくれた事には感謝している。だが何の素性も知らない連中に家の事を話すつもりはない。頼むから放っておいてくれ。戻るぞ、アウローナ」


 「あ……うん。お客様、失礼いたしました」


 レオはアウローナの肩をそっと抱き寄せ、部屋から去っていく。

 引き戸が閉まる小さな音が、やけに寂しく感じられた。



 *****



 宿泊部屋に静粛が訪れた。

 アシュラは閉められた引き戸をじっと見続けている。


 「ねぇアシュラ……助けたい気持ちはわかるけど……」


 フォルテュナが言葉を濁しながら、不安そうに彼の顔を覗き込む。

 だがアシュラの表情に、落胆している様子は微塵も感じられない。


 「あぁ、こうなる事はわかってたよ」


 「だったら何であんな強引に?」


 「レオさんもアウローナさんも、心の中ではきっと心細いと思ってる。だから、共通の敵を相手取る俺達が、あの父娘の心の拠り所になれればいいなって。まずはその為の印象付けってところかな」


 「……クスッ」


 「そこ笑うところ!?」


 フォルテュナが小さく笑みを溢した。

 アシュラは小馬鹿にされたように感じたようだが、不器用な彼が父娘の為を思って頑張ってくれた事が、フォルテュナは誇らしく、そして嬉しかった。


 「アシュラらしいなって思っただけよ。それより、アウローナさんに夕食をお願いしましょ。それからお風呂入ってゆっくりしたいわ」


 「ククル、アウローナさんにお願いしてくるですぅ!!」


 「クウゥ~ン……(私、お腹空きました)」


 「ワフン!(セレーネも!)」


 張り詰めた空気の中、ずっと我慢していたのでだろうククル達が、食事を求めて我先にと部屋を飛び出していく。まるで子供のようである(狼娘たちは子供)。


 アシュラとフォルテュナは、3人に申し訳なく思いつつ、その元気そうな姿に心を和ませていた。



 *****



 一方、レオナルドとアウローナは、宿の厨房で夕食の支度をしていた。


 「なぁ、アウローナ」


 「…………」


 部屋を出てからというもの、レオナルドが幾ら声を掛けてもアウローナは応じる事なく、淡々と夕食の下拵えをしていた。


 「俺は、お前の手を離すつもりはない。これからもずっと一緒だ。だから……」


 「お父さん、口より手を動かして」


 「あ、はい」


 娘の取り付く島もない態度に、レオナルドは心底うんざりしていた。


 (あのガキが余計な事を言うから……これじゃ昔に逆戻りだ)


 愛する娘のアウローナの存在は、レオナルドにとって生きる意味そのもの。

 その娘を悲しませてしまった自分と、その発端であるアシュラが許せなかった。


 (今一番大切なのはアウローナだ。商会と戦う事じゃない)


 レオナルドは娘の名を心の中で反芻する事で、自らを戒める。


 その時だ。


 コン、コン、『あの、すみませ~ん!!』


 厨房の出入口の扉を叩く音。そして女の子の声がした。


 「はぁい! お父さん、私は手が空かないからお願い」


 「あ……あぁ、わかった」


 アウローナが調理の真っ最中の為、余裕のある調理補助のレオナルドが対応する事となった。

 とは言っても、この宿を利用している客はアシュラ達しかいない。誰が訪ねてきたのかは声を聞いただけでおおよそ見当がついていた。


 レオナルドはエプロンを外し、扉をゆっくりと開けた。


 「どうしたんだ? 確か、ククルの嬢ちゃん……と、狼の子も一緒か」


 「はいなのですぅ……その、今夜の食事をお願いし損ねたので……」


 ククルは申し訳なさそうに、少し俯きながら話をしている。

 さきほど軽く悶着を起こしたばかりなのだ。互いにバツが悪いというものである。


 だがレオナルドは、それを理解した上で、気さくに応じてくれる。


 「だと思ってな、今作ってる最中だ。もう少し掛かるが、出来たら部屋に持っていくから、部屋でくつろいでてくれ…………あ」


 「あうぅ」


 ククルの見た目は、アウローナと大差ない幼女体型だ。

 レオナルドは、ついアウローナを相手してるように、ククルの頭を撫でてしまった。


 「あ、いや……すまん、つい」


 「……アシュラさんと同じ、温かい手ですぅ」


 レオナルドは頭から手を離した。

 そしてその部分を確かめるように、ククルは自身の頭に手を置きながら、レオナルドの目を真っ直ぐに見つめた。


 「レオさん、少しだけでいいのですぅ……お時間いただけますぅ?」



 *****



 ククルは受付の脇に置かれた小さな椅子にちょこんと座る。

 その左横にはルーナとセレーネが仲良くお座りしている。勿論、狼の姿だ。

 そして右横には、レオナルドがどっかりと座っている。


 「嬢ちゃん、用件はなんだ? できたら手短に頼みたいんだが……」


 「先程の部屋での件です。アシュラさんが出過ぎた真似をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」


 ククルの雰囲気がいつもと違う。むしろ幼児体型さえ気にしなければ、凛とした大人の女性にさえ感じられるほどである。

 虚を突かれたレオナルドは、まるで別人のような佇まいに驚きを隠せずにいた。


 「嬢ちゃん……さっきまでと何か……」


 「至って真面目な話ですから。お気になさらないでください」


 「……わかった」


 「話を戻しますが、アシュラさんは良くも悪くも、とても真っ直ぐな方です。それこそが彼の最大の美点ですが、時としてそれが欠点になります。今回の件は後者に当てはまります。レオさんは現状、アウローナさんと仲違いしておられるとお見受けしました。アシュラさんのせいでお気を悪くしていると思いますが、どうかお許し願えませんでしょうか?」


 まるで主の失態を擁護する側近……そんなククルの力強い眼差しに、レオナルドはある確信を得、同時に反撃に転ずる事にした。


 「嬢ちゃんの目と言葉に嘘偽りを感じないが、お蔭様でこちとらアウローナのご機嫌取りなんだ。幾ら嬢ちゃんの誠意は受け取るが、許すとなると話は別だ」


 「……でしたら、どうすればお許しいただけますか?」


 「そうだな……」


 レオナルドは、お互いの事情には不干渉というのが最初に浮かんだ条件だった。アウローナに余計な不安を与えずに済む、最も簡単な選択肢だ。


 だが、その選択肢を選ぶのを躊躇してした。

 ククルの瞳の奥に潜ませている熱意を感じてしまった彼は、自分の選ぼうとしている未来を間違えているのではないか……そう思ってしまったのだ。


 干渉か不干渉か……暫くの沈黙の中、レオナルドが口を開こうとしたその瞬間。


 「お父さん……いつまでお話してるの?」


 配膳の準備を済ませたアウローナが、レオナルドを呼びに来た。

 レオナルドはまさかの登場に言葉を飲み込んだ。


 「すまん、すぐ戻る。嬢ちゃん……話はまた後で……」


 アウローナが踵を返し、すぐに厨房へと戻ろうとする。

 レオナルドもすぐさま立ち上がり、その後ろを追おうとした。

 しかしその2人の進路を塞いだのは、2匹の子狼、ルーナとセレーネだ。


 「ガウガウッ!(待ってください!)」


 「グルルル……(ご飯まだ……?)」


 ルーナは必死で呼び止める。勿論、2人に言葉が通じるわけではない。

 セレーネは違う理由でアウローナに訴え掛けているが……。


 「アウローナさん、お時間は取りません。少しだけお付き合いください」


 「……ククル……様?」


 初めて会話を交わした時とは別人のようなククルに、彼女は戸惑った。

 だが不思議と嫌な感じではなく、静かにククルの言葉に耳を傾けた。





 仕事が落ち着いたので、更新を再開しますm(__)m


 そしてもうひとつ報告をば。


 こちらが中途半端ではありますが、近日中に新作を連載します。

 あくまでこちらをメイン連載で、新作は不定期とします。

 あとは読者様の評価次第ですね(-_-;)


 勿論、こちらの手を抜く事はしませんので、どうか気長にお付き合いいただければ幸いです。


 いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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