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第46話  魔王の片鱗と漆黒の勇者?

 「……は? クロが攻撃? 俺の身体を支配でもするつもりか?」


 アシュラは思わず声に出してしまった。

 そのせいで盗賊の大男は怪訝そうな面持ちで睨みつけている。


 『違ぇよ。相棒はいつも通りにやりゃ出来るんだよ』

 (出来るって何を?)

 『俺の能力を使えるっつってんだろうがっ!!』

 (そうなんだ……そりゃ知らなかったな)

 《ほぅ、それは興味深いねぇ》


 そもそもクロは、神族の村での訓練中、あまり協力的な姿勢を取らなかった。だからミテュラやカーリーは自分達の技術を磨かせていたのだ。

 だがここで魔王の欠片の能力を駆使出来るなら、今後の戦況でのアシュラの選択肢は大幅に増える。これから先の事を考えれば、使える能力を増やすに越した事はないのだ。


 『以前、森の中で初めての戦闘の時にも言っただろ。アスモディウスの時だって闇属性を付与して攻撃できただろ。四の五の言わずにやってみろっての!』


 苛々してるのか照れてるのかよくわからないクロの乱暴な物言いに、アシュラはひとまずクロの言葉を信じる事にした。


 (わかった。それじゃ闇属性とは言わず、初戦闘の時の能力を使おうか)

 「さっきからひとりで何考えてんだ? やっぱり死ぬのが惜しいか?」


 アシュラがひとりで考え事をしてるようにしか見えない為に、大男は痺れを切らして攻撃する構えを見せた。


 「すみませんね。どうやってアナタを叩き潰そうか考えてまして」

 「んだと? おちょくるのもいい加減にしろやっ!!」


 大男は構えた両手剣を振りかぶり、アシュラの頭をかち割ろうとしてきた。


 「あなたも他の人同様、力任せの攻撃でしたか」

 「死ねやコラアアァァァァ!!!」


 すでに剣はアシュラのすぐ眼前にまで迫っている。

 だがそれをアシュラは避けようとはしなかった。


 《アシュラ危ない!!》


 カーリーは焦って叫ぶが、本人はまるで気にせず剣先だけを見据えていた。


 『俺の能力は闇属性付与なんて温いもんじゃねぇ。初めての戦闘時、相棒はどうやって倒したのか覚えてんだろ?』

 (あぁ……世界が遅くなって、木刀とは思えない破壊力で魔物を粉砕した)

 『そうだ。俺の……魔王の最大の能力は“超加速(アクセレイト)”と“超破壊(デストロイ)”だ』

 「……『超加速(アクセレイト)』」


 アシュラは言葉に力を込めて、クロの能力を呟いた。



 すると、アシュラの周囲が時を止めた。いや、正確には動きが遅くなった。

 アシュラの命を奪おうとしていた大男の剣があと少しで触れそうな所で、動きを極度に鈍らせている。

 そして背中にもチリッと熱い痛みが走った。


 「あ……そうだ、この感覚……」

 『思い出したか? これが俺の本体である魔王が最強たる所以だ』


 大男は攻撃が当たると確信したのだろう、すでに口角が吊り上がり、下品な笑みを浮かべている。


 「これが超加速(アクセレイト)……凄いな」

 『この世界を感じているのは俺と相棒だけだ。お師匠さんさえ理解していない』

 「そういえばカーリーが一言も喋ってないな」

 『魂の同調は融合とは違うんだよ。この世界を理解してるのは俺達2人だけだ』

 「これだけ会話しててまだ剣先が届かない……魔王って凄いな」


 アシュラは普通に歩いて剣先から大男の背後へと移動した。


 『この状態を解除するのは『解放(リリース)』だ。言わなくても感覚で構わねぇ』

 (……『解放(リリース)』)


 すると時の流れが元に戻る。

 大男が剣を振り切り、アシュラの居た場所は土煙に覆われた。


 「ぬははははっざまぁみろクソガキがっ!!!」


 手応えがないはずなのに、勝ち誇ったように笑っている。


 《……あれ? 死んでない……いつの間に移動したんだ!?》


 カーリーも不思議そうにしているが、クロはお構いなしに言葉を紡ぐ。


 『もうひとつが『超破壊(デストロイ)』だ。ヤツの無防備な背中を叩いてみろ』

 「別にこのまま斬りつければ倒せるけど……」

 『まず感覚で力加減を覚えろ。それと双剣は使うなよ? 壊れるから』

 「ちょっと嫌な予感するけど……わかったよ。『超破壊(デストロイ)』」


 クロに流されるまま、双剣を鞘に戻したアシュラは、もうひとつの能力『超破壊(デストロイ)』を発動した。

 大男は背後から聞こえたアシュラの声に気付いたようだが、時すでに遅し。

 アシュラが彼の背中に軽く押し当てたと同時に、“パンッ”と破裂音が木霊した。


 『よし、合格だ』

 「…………うわー」

 《な……なんじゃこりゃああぁぁ!?》


 大男の背中に大きな穴が開いていた。大男は言わずともがな、すでに絶命。


 「これ……破壊(デストロイ)じゃなくて破裂(バースト)とか粉砕(クラッシュ)じゃ……」

 『名称はどうでもいいだろ。必要なのは結果だ。あぁ、スッキリしたぜ』

 《……アシュラ、クロ、ちゃんと説明してもらおうかしらん?》


 話についてこれなかったカーリーが、大男の姿を見て納得できるはずもなく、アシュラが全部説明するハメになってしまった。



 *****



 「アシュラー大丈夫!? って何コレ!?」

 「これが盗賊……ですぅ?」


 フォルテュナとククルが追い付いてきた頃には、すでに盗賊一派は全滅していた。

 主犯格の大男は身体に風穴を開けて絶命。アシュラがカーリーに説明してる間に、他の4人は放置され失血死。盗賊のアジトを聞き出す事さえもできない状況に、彼女達は唖然とした。


 そしてフォルテュナが気になる事を呟いた。


 「それにアシュラ……その髪色、どうしたの?」

 「え?」

 「綺麗だった銀髪が真っ黒になってるですぅ……」



 アシュラの銀色の頭髪が、塗りつぶされたような漆黒に変わっていた。







 次回更新は10月21日 26時頃には投稿します(´・ω・`)


 仕事も投稿も寝不足が祟る事態にちょっと凹んだ今日この頃。


 いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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