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第44話  アクシデント発生(★)

2020.4.11 改稿しました。


というより、軽い手直し程度に修正しました。


 迷いの大森林を抜け出してから数日。

 アシュラ達は北西方面へと続く馬車道を、順調に馬を疾駆させている。


 だが、ただ馬を駆っているだけではない。

 カーリーの提案によって、アシュラの魔力や能力の訓練を兼ねていた。


 彼女が騎士団を率いていた頃は、一切の時間を無駄にしないストイックな性格だった。ミテュラが認めた騎士団長という肩書きは伊達ではないようだ。


 《アシュラ、『気配探索』に異常はないか?》


 (うん、今のところは異常ないよ)


 『心意の門(スピリチュアルゲート)』によって、彼女の魂がアシュラと同調した。

 それによって彼女が体得していた能力を得るという恩恵を得たのだ。

 そこに目を付けたカーリーは、今まで当然のように使いこなしてきた自分の能力を徹底的にアシュラに覚えさせようと考えた。


 今アシュラが行使している『気配探索』もそのひとつなのである。


 《探索範囲は今どれくらいに広げている?》


 (えっと……自分中心に1リールってところかな)


 《なっ!? もうそんなにもか……嘘じゃないか?》


 (嘘ついても仕方ないでしょ。250レールから始めたから、4倍だな)


 《そ、そうか……それじゃ、それを暫くは維持する事だ》


 カーリーは驚きを隠せなかった。

 何せ、自分の探索範囲限界が500レールだったのだ。

 それをアシュラはいとも簡単に2倍にまで広げていた。

 これは神族の力の一端なのかも知れないと、彼女は直感的に感じていた。


 《これがアシュラの固有能力の恩恵なら……他の能力はどれだけ……》


 (ん? 何か言った?)


 《あ、いや、アシュラの匂いってホントクセになるな……とな》


 (獣人族って皆こんな人ばっかりなのかな……)


 いつもの匂いネタで誤魔化したものの、カーリーは彼の持つ資質の高さに全身の肌が粟立った……気がした。魂に肌がないのだから仕方ない。




 *****




 快調に進んでいた一行を、突然のアクシデントが訪れた。

 この世界は、アシュラ達の動向を放っておいてはくれないようだ。


 「……ん? この気配の数は……」


 ふとアシュラの表情が動揺に染まった。どうやら何かを察知したようだ。


 「皆、1リール先で『気配探索』に掛かる反応を多数確認!」


 『これはこれは……何か楽しい事がありそうな予感がするぜぇ』


 暇を持て余していたクロが愉快そうな反応を見せる。

 流れる風景を楽しんでいたフォルテュナ達は、突然の事態に緊張が走った。


 「アシュラ、反応多数ってどれくらいなの!?」


 「それが密集してるみたいで……でも数が減ってる! 交戦してるかも!」


 「まずは情報収集しないといけないですぅ!」


 『気配探索(サーチサイン)』はミテュラの『万眼(サーチ)』の超劣化版だ。

せいぜい人か魔物か程度の判別であり、詳細まではいくらアシュラでもわからない。


 《まずは距離を縮めて状況把握が先決だ》


 (わかった!!)


 一行は馬に鞭を入れ、現場近くへと馬を駆けた。




 *****




 アシュラが気配探索で異変に気づいた頃……

 馬車道から少し外れた森の中で、それは起きていた。


 「おぃ豚野郎、逃げようったってそうはいかねぇぞ!!」


 「ひいぃ!? や、やめてくれ!! 命だけは、命だけはあぁぁ!!」


 剣や斧、短剣といった武器を剥き出しに威嚇する薄汚れた男が5人。

 そして連中の正面には丸々太った豚のような男性が必死で命乞いをしていた。


 「豚野郎に興味なんてねぇんだよ。俺が欲しいのはな」


 リーダー格の大男が行商用の大きい荷馬車を指さした。


 「その中のモン全部だ。荷馬車ごと俺等に譲ってくれりゃいいんだよ」


 「そ、そそ……そんな、全部はどうかお許しを……」


 「この状況でよくそんな事言えたもんだなぁ……あぁん!?」


 大男が持っていた剣を逆手に持ちかえ、男性の手の甲に突き刺した。


 「ひぎゃあああぁぁぁぁ!?」


 「てめぇに選べるのは命か荷馬車か、2つに1つだ」


 「ひぐうぅぅ……わわわ、わかりましたっわかりましたから命だけはっ」


 「おぅ、いいねぇ! その返事が欲しかったんだよ豚野郎♪」


 突き刺した剣を抜き、下卑た笑みを浮かべて豚野郎と称された男性を解放した。

 腰を抜かした男性は、四つん這いで森の奥へと逃げていくが……

 そうは問屋が卸さないのが世の常である。


 「ぷぎゃああああぁぁぁ!!!」


 大男の横から、斧や短剣が飛んでいく。

 それらは次々と男性に突き刺さり、男性の命の灯は消えた。

 そして大男は、その骸から宝石に彩られた指輪や金を抜き取っていく。


 「アニキ、豚を逃がしたらダメっしょ、あひゃひゃひゃ!!」


 「おぅ、わりぃ。人だと思ってたからよ、つい助けようとな。くくくっ」


 5人の大男達が武器を回収し、主を失った荷馬車へと近づいていく。


 「こんだけの荷物を積んで護衛なしとか笑っちまいやすね!」


 「護衛に金出すのを惜しんだケチか、裏ルートなんだろ」


 大男は荷馬車の幌に手を掛け、一気に引き千切った。


 「「「「おおぉぉ!!!!」」」」


 4人の男達が感嘆の声を漏らす。

 大男も中を見て、思わず高笑いした。


 「あっはははははははははっ!! 今回は大当たりだな!!」


 中には大量の金貨や調度品、装備品などが所狭しと積み込まれていたのだ。


 「さっさと荷馬車ごとズラかるぞ!!」


 「「「「へぃ!!」」」」


 ()()()()()ように見える彼ら。

 本来ならこれでアジトに戻って大宴会だ。

 しかし彼等の運はここまでだった。


 近づいてくるアシュラ達の存在。

 彼等盗賊の命運が尽きる音は、すぐ傍まで接近していた。



 そんな状況の中―――



 荷馬車に積まれた数々の金品のその最奥。

 そこには、埋もれるようにして息を潜めている子供達がいた。




 (だ、誰か……助けて……! 神様…………神様………………!!)







 何の説明もせずにすみません。

 この世界の距離の単位について補足しておきます。 


 1ロール……1cm

 1レール……1m (話中の250レールは250mです)

 1リール……1km(話中の1リールは1kmです)


 といった表記と認識していただければ幸いです。



 いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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