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第43話  自ら出鼻を挫いてみた(★)

2020.4.8 少し修正しました。

内容的な変更はありません。


 ミテュラを見送ったアシュラ達は、その後を追うように村を出立した。


 だが現状、ティミス神教国を牛耳っていた魔王アスモディウスは倒したが、他の魔王はおろか、フォルテュナの母であるティミスの手掛かりさえも掴めていない。


 「母さんは何か知ってそうな気もしたけど……」


 「でも何も教えてくれなかったわね」


 2人はこれからどう動くべきか……などとは聞かなかった。

 これからは彼女抜きで、自分達で考えて行動しなければいけない。

 その為に別行動なのだから、聞いては何の意味もない。

 仮に聞いたとしても、教えてくれないし、ただ怒られるだけだが。


 「それで、どちらへ向かうのですぅ?」


 ククルが疑問を投げ掛けるが、アシュラはすでに行き先を決めている。


 「あぁ、まずは獣人連合国に向かおうと思う。カーリーの遺言もあるしな」


 《酷い……まだ私は死んでないのに》


 『いや、死んでるだろ? 本体は氷漬けだし、魂は兄弟に憑いてるし』


 《クロ、あんたにだけは言われたくないわ!》


 アシュラはカリクロの会話をスルーする事を覚えた。

 下手なツッコミは火に油を注ぐだけだと理解しているからだ。


 「でもアシュラ、確か獣人連合国ってかなり遠いわよ?」


 「大陸からかなり遠いって話はカーリーから聞いてるけど……」


 「……やっぱり調べてなかったのね」


 「あ、いや、一応どのくらい掛かるかは聞いてるよ!?」


 フォルテュナの言葉と視線がアシュラにグッサグッサと突き刺さる。


 (教えてカーリー様っ!!)


 《様って……まぁ、大体国都から馬を休まず走らせて約半年くらい?》


 「ぶふぅ!?」


 折角こっそり聞いたのに、思わず吹き出してしまったアシュラ。


 「ねぇククル、あれって今聞いたわよね」


 「フォルさん、間違いなく今聞いたですぅ」


 「……いや、そうじゃなくてクロが変な事言うもんだからさ」


 『はぁ!? 何故俺を巻き込む!? 流石に往生際悪すぎだろ!!』


 《これはさすがに擁護できないな、アシュラ……》


 結局4人に罵られたアシュラは、出立直後にパーティーリーダーを更迭されるという偉業を成し遂げたのであった。




 *****




 「……コホン、改めまして2代目リーダーのフォルテュナです」


 まだ大森林を抜けていないのに2代目となったフォルテュナ。

 考えてもみれば、彼女は神族の村でアーレスと共にリーダーシップを張っていたのだから、適任といえば適任である。


 「フォルさん、まずは何処に行くのですぅ?」


 「当初の予定通り獣人連合国よ。その為にまず転移門のある街に向かうわ」


 「なるほど、その手があったのですぅ!」


 「アシュラは転移門なんて知らないでしょ? だから説明するわね」


 「お願いします、フォル様」


 しょぼくれたアシュラが教えを乞う。

 口を尖らせた触れ腐り方は、まるで拗ねた子供のようだった。

 そんな彼にちょっとだけ母性本能をくすぐられるフォルテュナだが、ここは心を鬼にして説明を始める。


 「もうアシュラ、自業自得なんだから拗ねないで。話は戻るけど、各国の主要都市には王族や貴族の移動手段として転移魔法の組み込まれた門、通称“転移門”があるの。例えば国都ウラノスガイア……とかね」


 「ちょっと待って。国都じゃ俺達は入れないし、王族や貴族じゃ……」


 「そう。私達はとても使えない。だから別の都市の転移門を使うわ」


 「別の都市……って、そうか。主要都市は国都だけじゃないんだ」


 さすがに何か抜けてるアシュラでも理解したようだ。


 「その通りよ。だから最も近場の転移門を使って獣人連合国に行くわよ」


 「わかったよフォル。それで、近場の転移門っていうと……?」


 アシュラがフォルテュナに答えを聞き出そうとした。

 だが返ってきたのは言葉ではなく、何かを期待する眼差し。

 しかしその眼差しは、アシュラに向けて放つものではなかった。


 「お願い、教えてカーリーさん♪」


 《やっぱり私かぃ!!》


 結局、アシュラもフォルテュナも勉強不足だった。

 

 「アシュラ、通訳お願いね」


 「こんな時は精神の入れ替えとかできれば楽なのにな」


 《それは私の故郷に行けばわかるかも知れないわよ?》


 (え、そうなの?)


 《私が故郷に行って欲しい理由のひとつだからな、それより……》


 (あ、フォルの顔が膨れてる……カーリー急げ!!)


 アシュラが変な間を置く時は、大抵カリクロと脳内会話してる事が多い。

 フォルテュナもククルも、それは重々承知している。

 しかし堂々と内緒話されてるようで、あまり気分のいいものではない。


 それを察知したカーリーはすぐさま説明し、アシュラが通訳した。


 「《この国のある大陸は、横長の菱形だと考えて聞いてほしい。私達のいる迷いの大森林は、国の領土の中でも最も南、すなわち菱形の下の角にあたる。東角が商業都市イリアス、西角が海港都市メリアス、北角が工業都市クロノス、そして中心に国都ウラノスガイアって覚えておくといいだろう》」


 「「ほほぅ~~~~」」


 皆、カーリーの分かり易い説明に感嘆した。


 《この程度の説明で感心されるとか、私ってそんな馬鹿に見えるか?》


 (いやいや気のせいだよ、だからほら早く続きを!)


 明らかに動揺するアシュラの様子に、カーリーは軽くショックを覚えた。


 「《各都市に転移門があるからどの都市でもいいが、あいにく3人はお尋ね者だ。だから交易の場で多種多様な種族が滞在してる海港都市がいいだろう。人混みに紛れれば分かりにくいし、情報や物資も得られる》」


 「「エクセレント(ですぅ)!!」」


 《……アシュラ、やっぱり私は見下されてたんだな?》


 (違う違う、カーリーの豊富な知識に感動してるんだよ)


 どうにも腑に落ちないといった様子の彼女だった。


 「そ、それじゃフォル、ククル。まずは海港都市メリアスに向かおうか」


 「はいなのですぅ!」


 「そうね……ってリーダーは私なんだから、アシュラは黙ってなさい」


 こうしてアシュラ達は目的地を海港都市メリアスに定め、ようやく冒険の旅の一歩を踏み出すのであった。





いよいよ改稿もあと少しで終わります。


ちなみに閑話にて、アーレスとイクトが再顕現したのは、今話の直後のお話です。


いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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