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第42話  【閑話】戦神アーレス~帰還後の顛末(★)

※今回はアーレスの一人称となりますm(__)m


2020.4.5 後半加筆しました。

 俺は戦神アーレス。

 創造神様の勅命という名誉を賜りし上位神だ。


 何? お前誰だと? まさか忘れたとか言うのか!?

 ……チッ、まぁいい。今から思い出させてやろうじゃないか。


 かつて下界において、迷いの大森林に神族の村を造ったのはこの俺だ。

 そこを拠点とし、アシュラを覚醒へと導くと同時に、アストライア国王の真相を暴き粛正するという使命を持って顕現していたのだ。


 だがそれがどういう事だろうか。

 国王が魔王である確証を得て、粛清の準備が着々と進む中、アシュラに我々の偽装がバレてしまった。そしてタイミングを計ったかのように、天上界を追放された鬼神が現れたのだ。


 さらに事態は悪い方向へと流れていった。


 行方をくらましたアシュラ、そして彼の探索に動いたフォルテュナとククルが鬼神と遭遇してしまった。

 どういうわけか3人は鬼神と結託し、どういうわけか俺とイクトは追い詰められ、天上界へと戻らざるを得なくなってしまった。



 ……どうだ? 思い出したであろう?



 ……何? 情けない話だと!?

 貴様バカか!? バカなのか!?

 これはクールな戦略的撤退である!!

 まったく最近の若い者共は……



 まぁ、こうして俺は、帰還前に鬼神によって負った負傷を癒していた。

 帰還直後に創造神様に報告する必要があったが、怪我の為に身動きが取れず、代理としてイクトが創造神様に謁見したらしい。


 らしい……というのも、イクトが会いに来ていないからな。

 そもそも治癒を使える神族すらも来ないとはどういう事だ?

 全く、最近の若い神族は礼儀がなっとらんヤツばかりだ。



 ……とにかくだ。



 おかげで俺は療養に20日以上費やし、さらに数日の安静の後、ようやく創造神様に謁見する許しを得た。そして今こうして創造神様の宮殿へとやってきたのである。


 横に長く延びる、汚れひとつない真っ白な外壁、そしてその中央に位置する巨大な扉の奥には、創造神様が居住まわれている居住区画がある。


 区画……というのも、建造物としては広すぎる敷地面積を有している為だ。

 その巨大な扉の前で俺は天上界に響かんばかりの美声を張り上げようとした。

 

 「すぅ~~~~~……我が名は」


 「戦神アーレス様でございますね。創造主様がお待ちになっております」


 気がつけば、真正面にメイドらしき女性が佇んでいた。


 「ぬおっ!? い……いつの間に!?」


 「小さき事はお気になさらぬよう。それと、あまり大声を張り上げないでいただけますか? 創造主様はそのような行為を好まれませんので……」


 「あ、あぁ、それは申し訳ない」


 「ご理解いただけて何よりです。それではこちらへどうぞ」


 巨大な門は、全く音を立てる事なく開いていく。

 ここに来るのは初めてではないが、いつも思った事が声に漏れてしまう。


 「嫁もメイドもイイ女ばかりだな」


 「それは創造神様に対していささか不敬な発言ですよ?」


 「あ……あぁ、失礼した」


 こうして長い通路へと案内され、およそ1時間程経過しただろうか。

 ようやく1つの神々しく輝く扉が見えた。


 「こちらで創造神様がお待ちになっております。どうぞお入りください」


 メイドが扉が開けた。

 その先にいる創造神様の座る玉座へと一直線続く赤いカーペット。

 俺は戦神として、威風堂々と創造神様の前へと歩き出した。


 そして創造神様の前に跪いた。


 「創造神様、謁見させていただき身に余る光栄でございます」


 「うむ、負傷の身でありながらよくぞ参った」


 「創造神様のお心遣い、痛み入ります」


 「さて、お主を呼んだ理由は、もちろんわかっているな?」


 「はっ、創造神様より受け賜わった勅令の件……でありますね」


 創造神様の声のトーンが低くなった。

 あまり機嫌がよろしくないようだ。

 俺の背筋に冷たい汗が流れる。


 「お主に付き従っていたイクトを含め、此度の件に関わった者達から話は聞いている。だが最も事情を知るであろうアーレス、お前からアシュラの覚醒、そして魔王粛正の失敗について経緯を話して貰いたい」


 ぬぅ……イクトや他の連中はどう話したのだ?

 まさか、創造神様はこの為に俺と接触しないようにしたのか?

 とにかく、この場は体を整えないとな。


 「国王の粛正に関しては、イクトの調査により魔王の偽装であると確証を得た後、粛正に乗り出す予定でありました。その際、幸運の神フォルテュナの失態から、アシュラに真相が知れる事態となった次第であります」


 よし、俺は間違った事は言っていない。


 「ふむ、してその後は?」


 「真相を知ったアシュラは行方をくらましました。捜索に出たフォルテュナと四元素の神ククルも行方不明となりました。のちにイクトの得た情報により、鬼神が拠点に向かっていると聞き、急ぎ勅命に携わった神族全員を天上界へと帰還させました。そして私とイクトが残っていた拠点に、行方知れずだった3人を引き連れて鬼神が現れたのです」


 間違っていない。これが真実だ。

 多少は端折ったが許容範囲であろう。

 ……だが何故だ? 創造神様はなぜ機嫌がよろしくないのだ?


 「鬼神が現れた……と言ったな」


 「はっ、その通りでございます」


 「鬼神とは誰ぞ?」


 「……は?」


 創造神様の言っている意味がわからん。

 追放された鬼神といえば有名な話だ。

 そもそも、その鬼神を追放したのは創造神様本人だろう?


 「その者の名は?」


 「鬼神といえば、数多の神名を持つ鬼神ミテュラでは……」


 「この馬鹿者があぁぁぁ!!!」


 「むひぃ!?」


 どうして怒られたのだ!?

 しかも変な声出してしまったではないかっ!!


 「誰か!! 彼の者を連れて参れ!!」


 突然、創造神様が誰もいない空間に声を掛けたぞ? ボケたか?

 ……と思ったら、先程のメイドがイクトを連れてきた。

 しかも猿轡(さるぐつわ)手枷(てかせ)を嵌めている。


 どういう事だ? まるで罪人扱いではないか。

 こうなったら無礼を承知で理由を聞く他ないだろう。


 「創造神様、無礼を承知の上でお聞きしたいのですが……彼は一体」


 「この者はお主の側近だったな。ならば連帯責任というやつだ」


 「……恐れながら、創造神様のお言葉の意味がわかりませぬ」


 同罪? 俺とイクトが罪を犯したとでもいうのか!?

 このまま納得など出来るはずがないだろう。


 「ひとつひとつ説明してやろう。まず、鬼神についてだ。そんな者は存在せん。ミテュラは複数の神名を持つ希少神族だが、鬼のつく神名などないのだからな」


 「いやしかし、創造神様の逆鱗に触れ、天上界を追放された鬼神の話は、神族の間では有名な話でございます! しかもアシュラは鬼神の子供ではありませんかっ!?」


 「はぁ……天上界も下界も、噂というのは厄介なものだな」


 「それは、どういう意味でしょうか……?」


 「ミテュラは鬼神ではない。どこで曲解したのであろうな。余が過去に言った言葉があるとすれば、それは“鬼嫁”だ」


 「は?」


 鬼神じゃなく、鬼嫁? そんなバカな話があるかっ!?

 鬼神本人だって鬼神と呼ばれてると言っていたんだぞ!?


 「ミテュラは余と口論して飛び出して行ったが、追放などもしとらん。どこぞの神族がでっち上げであろう」


 どこのどいつだその噂を広めたヤツは!?

 というか創造神様の耳にも入ってくるだろ!? 否定しろよっ!!


 「それと、アシュラは余とミテュラの間の子である」


 「……は?」


 ちょっと待てよ、そーぞーしんさま?

 アシュラがご子息様? 王子様? はあぁ??

 創造神様と鬼嫁が結婚してたとか飛び出した時期とかアシュラの年齢とか、全然噛み合ってないんだけど!?ご都合主義にも程ってもんがあるだろ!?


 「それに余がお主に命令したのは『下界の秩序を崩す者』である。魔王を名乗る者も複数存在するはずであろう? そして運命の神がそのひとりと結託している。最も警戒すべきは運命の神ティミスであろう。情報不足にも程があろう?」


 「………………はあぁぁぁ~~?」


 知ってたなら教えとけよ!! 何で教えてくんねぇんだよ!?

 下界での20年は何だったんだよ!!

 婚活する時間削って頑張ってたのにそりゃねぇだろ!?


 「……もうよい。どちらにしてもお主等が余の勅令を蔑ろにしたのは事実だ」


 「ちょ、創造神様、お待ちくださいっ!! 私は蔑ろなど」


 「言い訳無用だ。これより沙汰を下す」


 「創造神様っ!!」


 あぁ、もう何このイケメン神様、俺の話聞きゃしねぇよ……


 「戦神アーレス、そしてイクト。2人は神名は一時剝奪とし、下界にて引き続き『下界の秩序を崩す者』の粛正およびミテュラ、アシュラ、フォルテュナ、ククルの保護を命ずる」


 「そ……そんなっ!?」


 「あ、全ての任を全うするまで天上界に戻る事も許さん。わかったな?」


 「わかりませぬぅ!!」


 「よし、話はこれまでだ。下がれ」


 「だからわかりませぬってばあぁ!!」


 「往生際が悪うございますよ、アーレス様」


 なんなんだよっ!? メイド如きが出しゃばってんじゃねぇ!!

 しかもイクト抱えて瞬間移動とか意味わかんねぇよ!!


 「創造神様、外へ強制排出してもよろしいでしょうか」


 「うむ、頼む」


 「だあぁちょっと待って!? いやホントマジでちょ……」


 「それでは失礼します。『強制退場(レッドカード)』」


 こうして、俺とイクトはクソメイドの魔法で宮殿の外へと追い出された。



 *****



 外に出ると、メイドはイクトの猿轡と手枷を外した。


 「イクト、大丈夫か?」


 「は、はい……申し訳ありません」


 「メイド貴様、もう一度創造神様に会わせろ!!」


 メイドの野郎、俺をゴミでも見るように見下してやがる。


 「お断りいたします。創造神様のご意志はすでにお聞きになったはず」


 「そんなもの信じられるかっ!!」


 俺はメイドを突き飛ばしてでも中に踏み入ろうと思い、メイドに突進した。

 だが、メイドはそれを何食わぬ顔で止めやがった。しかも指1本で……


 「なん……だと!?」


 「創造神様のお力により、あなた方の神名の証は消えております。ゆえに戦神としての力はすでにございません」


 「そんなバカな事が!!」


 「はぁ……これだから脳筋は困るのです」


 「俺を馬鹿にするぐわあぁ!!」


 メイドは突き出した指を押し出しただけで、俺は簡単に弾き飛ばされた。


 「お2人には、このまま元の神族の村へと顕現していただきます」


 「そんな……お待ちください! まだ何も準備が!!」


 イクトが反発するが、メイドは創造神様同様に聞く耳を持ってくれない。


 「大丈夫ですよ。神族の村なら色々とあるのでしょう? 問題ありません」


 俺もイクトも、言葉も出てこなくなっていた。

 私情が絡んでいるとはいえこの仕打ちはないだろうが!


 「アシュラ坊ちゃまを無事をお祈り申し上げます。『顕現(フォールンダウン)』」


 あっ!! しかも顕現化の魔法掛けやがったあぁぁ!!


 「ちっきしょう覚えてやがれえぇぇぇ!!!」



 こうして俺とイクトは、容赦なく下界へと下されてしまった。



 *****


 そして今……元いた神族の村。

 俺がシェイクスとして住んでいた家に戻ってきたが……


 もう何なんだよ!!

 ホント信じらんねぇ!!

 傷治して謁見して責めらて罵られて、最後はふりだしってか?

 ふざけんじゃねぇよ!!


 あーもう、クッソ腹立つわ。

 暫く酒呑んでぐーたらしてやる!!


 ってあれ、酒は?

 備蓄しておいた食料は!?

 隠しておいた神教国通貨は!!?

 密かに収集していた希少装備品の数々は!!??



 ……ん? これは、置手紙?





 『永久拝借感謝感激 鬼神』





 永久……拝借…………ねぇ。





 なぁ、鬼神さんよぅ…………





 それ何て言うか知ってるか?





 借りパクってんだ覚えとけええぇぇぇぇ!!!!!





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