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第34話  激闘の果てに(★)

2020.3.19 改稿しましたm(__)m

詳しくは後書きにて。



 魔王アスモディウスが魔力を解放し、漆黒のミノタウロスに変貌を遂げた。


 怠惰を貪り、女子供の洗脳に明け暮れていたと思いきや、それも色欲たる能力の恩恵を十全に活用した魔力の備蓄の為であった。


 今のアスモディウスは、まさに魔族たるに相応しい姿といえる。

 溢れる漆黒の魔力を身に纏う事で、身体能力も倍増しているようだ。


 カーリーが全身汗だくになってアシュラ達に訴え掛ける。


 「アレはかなり拙いぞ……私が囮になるから、皆は逃げろ」


 カーリーが自らを犠牲にしてアシュラ達を逃そうと画策する。

 だが3人は顔を見合わせ、呆れたように彼女に反論した。


 「師匠、悪いですけどそれだけは却下します」


 「このままでは全員死ぬぞ! 今なら私が何とかする! だから……」


 魔王の魔力による圧力のせいなのか、カーリーは冷静さを失っている。

 そんな彼女の前に、フォルテュナが目線を合わせるように座り込んだ。


 「百戦錬磨のカーリーさん程の方が、どうしてそんなに弱気になってるんですか? 戦う前から諦めれば、そこで終わってしまいます。ですが私達が求めるものは、もっと遥か先にあるんです。こんな所で終わらせてる場合じゃないんですよ?」


 「フォルテュナ……いや、だがしかし」


 「フォルさんの言う通りなのですぅ! アスモデブスなんて、ククル達にとってスタート地点なのですぅ」


 「ククル、アスモデブスじゃないよ、デブじゃ……プフッ」


 「ふぉっふう!?」


 3人は敵を眼前にして笑い合う。

 カーリーはそんなアシュラ達を見て落ち着きを取り戻したようだ。

 彼女は申し訳なさそうに謝罪を口にした。


 「そうだな……すまん、魔力に()てられて弱気になってしまったみたいだ」


 「誰にだってありますよ。俺なんて弱気の塊みたいなもんだし」


 『違ぇねえ、貧弱ヘタレ野郎そのものだもんな』


 (……クロ、心の奥で俺の心をがっつり抉らないでくれないか?)


 『んなもん今更だっての。それより……牛魔王がお待ちかねだぜ』


 アシュラは視線をアスモディウスに移す。

 すぐにでも攻撃してくるかと思ったが、意外にも話が済むのを悠々と待っていたようだ。


 「今生の別れは済ませたか? そろそろ殺したいところなんだが」


 「あぁ、終わったさ。てめぇをぶっ倒す作戦会議がなっ!!」


 アシュラは双剣を構えると、アスモディウスに向けて飛び込んでいく。


 「私も全力でいくわっ! 幸運の神名において命ずる! 彼の者の力を神光の導きを以て解き放て!『身体(フィジカル)能力(アビリティ)強化(ブースト)』!!」


 フォルテュナが短期決戦用支援魔法をアシュラに掛けた。

 彼は全身を黄金色に輝かせ、アスモディウスに斬りかかった。


 「おおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


 双剣はアスモディウスの身体を切り刻んでいくが、それをあざ笑いながら全身で受け止めていた。

 魔力を纏ったアスモディウスの表皮は魔力によって硬質化し、深手を負わせるほどの斬撃を与えられていないのだ。


 「ぬはははははっ!! 貴様の攻撃はその程度か!!」


 「くぅ、まだまだあああぁぁぁ!!」


 アシュラは支援魔法の恩恵を駆使し、神速で巨躯を切り刻む。

 アスモディウスはその神速の斬撃には手も足も出せないが、どれも傷が浅い。

 まさに余裕の仁王立ちである。


 対して埒が明かないと判断しアシュラは攻撃を切り替えた。


 「俺の声に応えろ!『鎌鼬』!!」


 カーリーの鎧を粉砕した剣戟がアスモディウスの左肩を襲った。

 神速の斬撃に加え、宝玉による能力が加わる事で鋭さを増した攻撃は、硬い表皮を突き破り、アスモディウスの肉体に会心のダメージを与えた。

 さしものアスモディウスも苦悶に顔を歪ませた。


 「ぬぐうぅぅ!! 小癪な!!」


 アスモディウスの正面に降り立ったアシュラを、斧が襲い掛かる。

 だが想定内であると言わんばかりに黄金色の宝玉輝く双剣を突き出した。


 「くらえ!! 『雷塵』!!」


 向かってきた斧に対し、雷塵の一撃で迎撃。

 互いの刃が接触した瞬間、バチンッ! という音と共に、両者弾かれるように後退した。


 アスモディウスの斧は雷塵に耐え切れず粉微塵と化したが、本人は痺れている様子はない。さすがに魔王を名乗っていないというべきであろう。


 「余の愛斧を破壊するとは……忌み子のくせにやりおるな」


 「あれだけの電撃を食らって平然としてる方がおかしいと思うが」


 「色欲の魔王を舐めるなよ? 貴様など殴り潰してくれる!!」


 「できるものならやってみろ!!」


 強きに出るアシュラだが、内心少し焦りを覚えていた。

 鎌鼬も雷塵も深手を負わせる事ができなかったからだ。


 迎撃しながら突破口を探ろうと受け身に転じたアシュラに、アスモディウスは容赦なく突進してくる。


 「臆したか小僧!!」


 「くっ……!」


 するとここまで沈黙を続けてきたクロが口を開いた。


 『兄弟、いい加減()()()を遣ったらどうだ?』


 (俺の力? それって『超加速』と『超破壊』のことか?)


 『そうだ。兄弟が受け身に立った事で、ヤツは打つ手を失くしたと思い込んでる。さらに油断しまくって単調な攻撃ときたもんだ。これ以上ねぇシチュエーションだろ』


 (なるほど、ありがとクロ!!)


 『礼なんざいらねぇから、クズの身体に風穴空けてみせやがれ!』


 (あぁ、任せろっ!!)


 アシュラは双剣を鞘に仕舞い、前屈みに体勢を変え、意識を脳に向ける。

 クロと意識を繋ぎ合わせ、魔力を練り合わせ、イメージを構築していく。


 すると、アシュラの髪と眼の色が銀色から闇色へと変色していく。


 「なんだそれは!!」


 アスモディウスが異変に気付いた。

 だがすでに攻撃態勢に移行している。

 魔力によって膨れ上がった巨躯を止める事ができないアスモディウスは、勢いそのままに殴る以外に取れる行動はない。


 「だが遅い! 我が拳で砕け散れ小僧!!」


 「遅いのはてめぇだ!! 『超加速(アクセレイト)』!!!!!」


 アシュラが『超加速』を発動した。

 刹那、アスモディウスの拳撃はアシュラの居た場所を捉えたが……


 「バカな!? 消えただと!?」


 渾身の力を込めたアスモディウスの拳は空を切った。

 『超加速』によって移動したアシュラの姿を完全に見失ったのだ。


 「小僧!! 何処に消えたあぁぁ!?」


 「()()()()


 アシュラはアスモディウスの真下にいた。

 空振りし交差した両腕の下、すなわち懐に潜り込んでいた。


 「なっ!?」


 突然真下から聞こえる声に驚愕するアスモディウス。

 即座に防御態勢に入ろうとするも、空振りした腕は振り切ったまま。

 肥大化した巨躯が仇となった瞬間である。


 アシュラは、両手をアスモディウスの身体の中心に添えた。

 そしてもうひとつ、『超加速』中に練り上げた魔力を掌に込める。


 「これで終わりだ、魔王!! 『超破壊(デストロイ)』!!!」


 彼の両掌から放たれた魔力は、アスモディウスの硬皮を抜け、骨を砕き、内臓を破壊し、背中を突き破る。鳩尾付近を中心に、大人が潜れるほどの大きな風穴が空いた。


 「ぬぐあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


 アスモディウスの背後には爆発したように血飛沫が舞った。


 「バカな…………余が……こんな、小……僧…………に……」


 最後まで言葉を紡ぐ事も出来ず、重低音を響かせうつ伏せに倒れる。

 アシュラは『超加速』によって移動していたので全くの無傷であった。


 「やったあぁ!! アシュラ!!」


 「さすがアシュラさんなのですぅ!!」


 「まさかあの魔王を……? 本当に凄い……」


 フォルテュナとククルは歓喜を全身で表しながらアシュラへと駆け寄る。

 カーリーは心を奪われたかのように、顔を赤らめながら後に続いた。


 「魔王は終わりだ。これでハンナさんの洗脳も解けたはず……」


 魔王の死を確信し、初勝利に浮足立ったアシュラ達。

 だがこの瞬間こそが、最大の油断へと繋がった。


 『兄弟、何やってんだ!! まだ死んじゃいねぇ!!』


 アシュラの視界に映るハンナが、その動きを止めていない。

 そしてアスモディウスの魔力が完全に失われていない。

 それにクロがいち早く気がついたのだ。


 「え、そんなはずがああああぁぁ!?」


 アシュラの身体が勢いよく吹き飛ばされる。

 背中を見せた彼に、アスモディウスが力を込めて殴ったのだ。


 アシュラは近寄ってきていたフォルテュナ達に受け止められた。

 しかし着ていた鎧の背面部は完全に破壊されている。

 それほどまでの衝撃を無防備に受けた彼は意識を朦朧とさせていた。


 「……こうなったら……貴様等、まとめ、て……道連れに……」


 アスモディウスも、すでに瀕死だ。

 だが魔王としての意地だろうか、残された力を振り絞り、殺意を漲らせる。


 「アシュラしっかりして!? ……くっ、これじゃ移動が……」


 アシュラは衝撃で朦朧としたまま。

 彼を受け止めたフォルテュナとククルは必死で移動しようとするものの、体勢を崩してしまった為、思うように動けずにいた。


 クロもまたアシュラの身体を動かそうと試みるものの……


 『兄弟しっかりしろ! 畜生、身体へのバイパスが繋がらねぇ!!』


 アシュラの身体を動かそうとするが、肉体の主導権を握るアシュラが気を失っている為、精神が交代する事を許してくれない。

 だがそうこうしているうちにアシュラが意識を取り戻した。

 クロが精神的に怒鳴ったのが功を奏したのだ。


 「ん……ゴホッ、ゴホッ……俺は……どうして」


 『ウダウダしてねぇでヤツを殺せ! こっちが殺されるぞっ!!』


 クロの言われるがまま、アシュラが後ろを振り向く。


 だがアスモディウスが最後の力を振り絞り、拳を振り下ろす瞬間だった。


 『ちいぃ!! 避けろ!!』


 「ぐっ……身体が……動かない……!!」


 受けたダメージが大きかった為、思うように動けない。

 加えてアシュラ両脇には、フォルテュナ達がいる。

 身体を動かせたとしても、彼女達を置いて逃げる選択肢などない。


 「クソ……間に合わな」


 「死いいぃねえぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


 アスモディウスの全身全霊の魔力を纏った殴打の連撃が襲い掛かる。

 アシュラは死を覚悟し、自分を盾にしてフォルテュナ達を庇う。


 だがその瞬間。


 アシュラとアスモディウスの間に割り込む人影。



 「アシュラアアアァァァァァァァァァァァ!!!!!」




 ズドドドドドドドドドドドドッ!!!

 



 アシュラの名を叫ぶ、聞き覚えのある女性の声。

 そしてアスモディウスの拳が殴る鈍い殴打音。




 「ま……まさか…………」




 アシュラは身体を震わせながら振り向く。




 連撃によって巻き起こっていた砂煙が晴れ、視界が戻っていく。




 「う……嘘だ…………そんな…………嫌だ……」




 アシュラの視界を捉えたのは……




 力尽き息絶えたアスモディウス。




 そして殴打を全身に浴び、鮮血に染めた女性。




 瀕死のカーリーが倒れていた。




 「師匠おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」





今話の改稿は、戦闘シーンです。

話の流れに変化を加えず、戦闘シーンから最後までを大幅に変えました。


この度の改稿作業は、このシーンの為と言って過言ではありません。

個人的には、ようやく納得のいく修正が出来たと思っています。


さぁ残りも頑張ろう(-_-;)


いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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