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灯の在り処。  作者: 咲留
紅一点だからって逆ハーレムになるとは限らない
19/19

10

「…沖田さん。何してるんですか。土方さんが呼んでますよ」



沖田さんから逃げ回っていれば、聞いたことがない声が耳に入る。

救世主の予感!!


低く落ち着いた声。沖田さんから逃げているから姿はわからないけど、声からしてダンディなお方だな!

…ってあれ?


追いかけてきているはずの沖田さんが、いつの間にかいなくなっている。


と思ったら、



「一君離してください!まだ躾の途中なんですから!」



一君と呼ばれる人に衿を掴まれていた。


っていうか一君若い!?

あれ、さっきの低く落ち着いた声の持ち主だよね!?


っていうかやっぱり躾だったのかよぉぉぉぉぉ!!


沖田さんが一君と呼ばれる人に捕まったことで、私は躾から解放された。

普段着なら余裕なんだけど、慣れない着物だからもう息が苦しい…!


沖田さんと一君と呼ばれる人が口論をしていると、ちょこちょこと平助さんが私に近づいてきた。



「大丈夫っすか?」


「なんで逃げてたのぉぉ!でもありがとう大丈夫ですうぅぅぅ!!」



平助さんの両肩を持ち、がくんがくんと激しく揺らす。

やめろーと平助さんの揺れた声が響けば、一君と呼ばれる人がやってきた。

私はパッと平助さんから手を離す。



「平助、それ誰?」


「あ!土方さんが言ってた猫こと安藤結菜さんだよ」


「………猫?」



上から下まで私をまじまじと観察すれば、一君と呼ばれる人の眉間にしわが出来る。


まあ、猫なんて言われてもおかしいと思うの



「猫は、もっと可愛いぞ平助」



が普通だけどなんか失礼だぞぉぉぉ!!!


ぱっちりした目でちょっと少年っぽさが残っているのに、表情は冷酷なんだけど!?

触ったらサラサラなんだろうなあという髪の毛は、落ち武者Aみたいに後ろに一つで括っている。

…はあ、もうイケメンばっかで御馳走様でした。勘弁してください。



「こんなの猫ではない。期待した俺が馬鹿だった」



ひでぇぇ!スーパーひでぇぇ!!

なんとも冷たい…あれ、寒い時期じゃないのに、寒気がするのは何故?ってくらい冷酷な目をしてらっしゃる。

どんだけ猫期待してたんだよ!



「結菜さん、こいつは斎藤一(さいとうはじめ)っす。俺と同い年」



ズーンと一人で沈んでいれば、平助さんが紹介してくれる。

平助さんと同い年の斎藤さんね。一君なんて呼べねえやい!



「…よろしくお願いします」


「………」



私の頭をわしゃわしゃしてるぅぅぅぅ!?

冷酷な目を向けられながら急にわしゃわしゃしてくるもんだから、驚いた私は思わず斎藤さんから離れた。


だって顔が怖いのにやってることおかしいんだよぉぉぉ!

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