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結局、夜通し車を走らせそれなりに大きな温泉宿に到着した、しかし時刻は早朝、チェックイン迄まだ7時間もあった『では先生時間まで観光でも』と言うのもおかしい私は久方振りの寛ぎを半ば諦め更に東へ車を走らせた、更に2時間左手にはずっと日本海が続いていたがここで日本列島は軽く北へ折れ曲がる東を目指すなら太平洋側へ向かう事になるのだがこのまま日本海に沿って上がるべきか太平洋側へ向かうか先生は未だ眠っておられ起こすのは忍ばれた、私は信号停車の際先生の真似事をしてみた、目を瞑りブツブツ呟く実際先生は何らかの呪文めいた事を呟かられてるとは思うが私はそれを知らない、ただこのまま日本海沿いに上がってゆけば日本海側随一の大きな町がある遠い昔から栄えた町だ、私はウインカーレバーを戻すと直進して北を目指した。
「清井君、なかなかどうして」
車が動き出すと眠っている筈の先生がふと言われた、私は苦笑した多分、正解は太平洋側だったのだろう先生は私の欲求に満ちた行動を察知されての言葉に違いない、しかし責めるでもなくその行動を容認されたのだ私は開き直って言った。
「先生、温泉で身体を癒し美味しいものを食べて英気を養いましょう」
「そうですね、目的地もそこですし」
意外にも私は1/2の賭けに勝っていた、もしかすると先生の底なしの優しさかもしれないが善は急げと私は温泉旅館に予約の電話を入れた。




