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仕込み  作者: 真鍋
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6

 車へ戻ると先生は目覚められていた、運転席に座ると先生から缶コーヒーを渡された態々購入して来てくれたのであろうか私は礼を述べそれを受取ると車を発進させた。


「先生、特に連絡はありませんでした如何なさいますか?」


 通常、電報を第二霞ヶ関郵便局へ送信後もし先方から先生に申し伝え事項があれば送信元へ何らかの連絡が入る段取りになっていた大体概ね5分以内にそれは来るのだが今回それはなかった、私は胸を撫で下ろしていた確かに先生は彼女に引継ぎを依頼してるのは事実であったが政府の手先になった覚えはない、しかし彼女を飛び越し政府案件が先生に依頼されるのだ、それに政府案件は確実にBもしくは限りなくBに近いCランク案件と確定している正直、先生もお年だあまり危険な案件は避けて貰いたいのだが先生はどんなに危険であろうと『参りましょうか清井君』と笑顔で向かわれるのだ、これでは元を断つ以外方法はなかった。


 先生は暫く考えると襟元を摘み御自分の胸辺りを覗き込むとおもむろに言った。


「清井君、たまには大きなお風呂を頂きましょうか」


「良いのですか先生?」


 先生は笑顔で頷く、私は再度車を停車させると携帯で最寄りの大浴場を備える宿泊施設を検索した、普段は車中泊であった私が付く前、先生は徒歩で全国を廻り野宿生活だったと言われ『車での移動など滅相もない高野聖(こうやひじり)は古来より…』と最初は断られたがより多くの方を救済出来ますと具申すると二つ返事で『ではお言葉に甘えて』と言われた、本当は辛かったのではと当初は考えていたがその後、先生と過ごす過程でそれは違うと悟った先生は純粋に私の言葉に優位性を見出されていたのだ。


 しかしこの近辺は残念な程何もなかった、数件ヒットはしたがそれはビジネスホテルと言うか工事などで関係者が長期滞在する為の宿であった、一応宿の浴場画像を確認したが実家のユニットバスの方が広かった、私はありませんねと先生へ伝えたすると先生は目を瞑りブツブツ何かを呟くと東を指差し言った。


「では次へ向かう道中で探しましょうか」


 先生独自の案件は概ねこの方法で見出す“千里眼”とでも言えば良いのだろうか、しかし先生の指差す方向へ向かえば確実に怪異に出くわすのだ、主人公が向かう先必ず事件が起こるどこかその手の漫画の様でもあるが先生は本物なのだ私は確信を持って東へ向け車を走らせた。

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