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仕込み  作者: 真鍋
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 局内へ入ると失礼な言い方であるが一応にATMが2台並んでいた、その奥へ入ると郵便窓口と銀行窓口のカウンターが並び私に気付いた女子局員がいらっしゃいませと声を掛けてきた、若干独特なイントネーションはあったが別に気にする必要もなく電報をその女性に依頼した。


 電報、正直先生に付くまで名前は知れど使った事など一度もなかった、当然だ今は携帯があれば全て事足りるのだ、では何故、2つの疑問が浮かぶ、先ず何故電報なのだ、そして何故NTTでなく郵便局なのだと言う疑問だった、先生は古い習慣だと言われた、明治時代、内務省は電信の開発に伴い電信局を逓信省(ていしんしょう)内に設立した、電信とは電報のルーツであり電鍵(でんけん)、ステープラーの親玉の様な機器でモールス信号を送り受信者はその信号を解読し紙に書き記した、それが電信、電報である、飛脚が手紙や信書を運ぶ中、迅速に情報を送る当時は最先端技術であった、そして電信局を管理する逓信省こそ郵便局の前進であり、明治2年に表向き解体された陰陽寮は然るべき組織が秘密裏に引継ぎ国内各所に散る能力者へその電信を使い指示を出していた、そしてその組織は現在でも存在しており先生をもってしても敵わないと言わしめる女性はその組織の1人であるのだ。


 私は窓口で伝えるべき内容を書き記し最後に先生の僧名である“慈照”と締めそれを女性局員へ渡し“第二霞ヶ関郵便局”と送付先を告げ料金を払うと壁際にある長椅子に座った、今から女性が書き記した内容を伝えるのだが今更電鍵を叩くわけではないPCのキーボードを叩きモニターで文面を確認するとリターンキーで送信するのだ同じ事を言うが携帯で十分事足りる行為だ、それに郵便局へ来る手間も省けると言うのに政府と言うのはどうして古い習慣を続けたがるのか、それとも携帯を持たない先生への配慮なのだろうかどの道一般市民の私にはそれを知る術はなかった。


 隣では老婆が通帳を手に口をモゴモゴさせていた老婆はビーニーを被っていたがそれにはストリートハイブランドのタグが、年齢からして息子、いや孫辺りからのプレゼントだろう私はミスマッチではあるが心温まる光景に荒んだ心が少し解きほぐされた。

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