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「お疲れ様でした」
私は後部座席から常温のオロナミンCをパッケージのまま先生にお渡しした、先生は荒々しく紙のパッケージを破ると次々に10本空にしていった、普段の先生の所作は芝居掛かったと思わせるほどに尊いものであったがこの時だけは獣を思わせた、飲み終わると先生は懐から半紙を取り出すと口元を押さえ失礼と言って込み上げるゲップを抑えている、いまだにこのギャップには戸惑ってしまう。
「先生、今回は難しい相手だったようですね」
私が問うと先生は暫く視線を宙に注ぎ向き直り言った
「清井君で言うBって感じかな」
と笑顔で言われた、私は個人的に案件をABCDランクにカテゴライズしていた,下のDからAとランクが上がってゆく無論、報酬などではなく難易度で分けているBランクとは具体的に対象がある案件、俗っぽい言い方をすれば幽霊、怨霊、妖怪、魑魅魍魎類い相手の案件である、先生に付いて3年、Bランク以上の案件は今回を入れて6件、この数字が多いのか少ないのか判断は出来ないがC、Dランクの案件は優に3桁を超えていた、因みにAランクに関しては未だ遭遇しておらず先生の戦歴を聞いてもAランク相当の案件はまだない様であった、当然であるAランク、それは先生をもってしても手も足も出ない相手、それは想像もできない否、想像はできているがそれを言葉にする事すら忍ばれる、Aランク案件とは一生に一度しか遭遇出来ない二度は絶対ない、相対する事は即ち“死”に繋がると想定している、今こうやって先生と共に行動出来ていると言う事はAランク案件には遭遇していない証拠であった。




