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仕込み  作者: 真鍋
29/33

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 奴は確実に弱体化していた、具体的には分からないが発電所では黒い塊を3つ作り出していたが此処では未だ何もできないでいる、知能はなく本能だけにたよっているのだろう環境の変化に対応できていない、それとも先生が抑えているのだろうか、ではさっさと庄崎の出番だろうしかし当の庄崎は片膝を付き両腕をダランと垂らし泡の上に上半身だけを出していた、何をしていると襟首掴んで立たせてやりたいが今や攻撃側は庄崎1人、任せるしかなかった、だが私は切り札を知っている先生は普段こそ清め鎮めるに徹しているが祓い除く事もできるのだ、やらないと出来ないでは大違いである庄崎がダメならば流石の先生も信条を変え攻めに転じるであろう。


 夜は完全に明け朝を感じさせた澄んだ空には雲が浮かび朝日を受けそれがあたかも個体かであるように感じさせた、化学臭はすれど朝の澄んだ空気はそこを包みその場はそれに相応しく静寂な緊張感が張り詰め泡消火剤がプチプチと弾ける音だけが耳へ届いた、守備が3名攻撃1名そして補欠2名は膠着状態を離れて見守った、奴が先に動くか庄崎の復活が先か固唾を呑んだ、しかしまさかの展開が起こった、外野がこの場へしゃしゃり出てきたのだ最初は気付かなかったが守備側の1人の叫び声でそれが露呈した、イタコの老婆は叫び声をあげるとそのまましゃがみ込むように泡の中へ消えた皆の視線がそちらへ向くと泡の表面がポコポコと動き白い泡が赤く染まってゆく何かが泡の中で蠢いているのか奴の何らかの攻撃なのか、それは庄崎の手によって明らかになった庄崎はいつの間にや立ち上がると片手に何か掴んでいた、大きさは30センチ程、薄茶色で身体は細いが逆に下っ腹は出ている“餓鬼”だ、その餓鬼は庄崎から喉を掴まれギャーギャーと声をあげていたが庄崎が手に力を込めると断末魔の声をあげ事切れた、しかし改めて辺りを見ると彼方此方で泡がボコボコと波打っていた一匹ではなかった餓鬼は無数にそこら中にいた、これは奴なりの攻撃方法なのか予期せず常世から共に現れたのか定かではないが奴に集中したい時に餓鬼の出現は単純にこちらのディスアドバンテージであった、一匹一匹の脅威は大した事はないが無視できる相手ではない、油断すれば先程の有様である、そして餓鬼は特定の相手を襲うわけではない食せる物は手当たり次第である勿論、私とこの男、そして奴にも襲いかかる私は足元へ取り付こうとする餓鬼を蹴り飛ばした、男は踏み潰す確かに雑魚であるがただ数が多い、蹴り飛ばしたそばから軸足に取り付かれる炎は抑えられたがこの泡は餓鬼を隠くす事の手を貸してしまった、噛まれた痛みで餓鬼に取り付かれた事に気付く毒はないだろうが気分がいい物ではなかった。


 仕方なく私と男は泡が覆う外へ出て餓鬼を迎えうつ先生はと言うと流石と言うべきか餓鬼をそもそも寄せ付けない、そして奴は取り付いた餓鬼を瞬間、消炭にしていた、庄崎はやっと復活したのかあの剣で餓鬼を子供の様にあしらっていた、しかし意図する者と意図せず動ける者の差は大きかった奴は好機と動き出した。

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