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おおよそ人生なんてこんなものだ、上手い頃合で上手い具合に上手い事を言う、そんなのはドラマの話で現実は時期尚早、事後対応、まぁ将来、人と人が分かり合える時代の到来を待つしかないのだが私はとりあえず先生の言葉を待った。
「まぁ私も清井君の突飛押しもない発言に驚きましたが⋯」
先生は一拍置くと源太郎へ向き直り続けた。
「怨霊とはこの世に恨み妬み嫉みを残し亡くなった者の残穢、しかし赤子にそんなものはありません、ただ父恋し母恋しその一点です、ですから怨霊になる事はないでしょう、まぁ源太郎さんは平気な様ですが瘴気の如くそれに当てられる方も出る可能性はありますが」
源太郎は成程と顎に手を当て唸っていた、先生は更に続けた。
「しかし清井君の意見も一理あります、私が言うのも可笑しいですが“故人に引かれるな”です、もし清井君の言う通りこの怪異で旅館が栄えるならそれも道理、東北地方に座敷童子で話題の旅館があると聞きますし、お客さんに御利益が出るかは分かりませんが選択肢のひとつではないでしょうか、僧侶としては早く親元へ届けてやりたい心持ちではありますが」
支配人の心中を察するに50対50という具合だろうか、判断を出しかね悩む顔は手にとる様にわかった、源太郎は良くも悪くも昔気質で職人気質、多分先生の言われた“親元”が引っ掛かり支配人の判断によってはと私は見立てていた。
結局、支配人の口から答えは出ずロビーへ戻りましょうと一言、それを聞くと先生は機器の元へ行くと胡座をかき経を唱え始めた、せめてもの手向けであろうか私も先生の背後から手を合わせた、リネン室を出かけていた2人も戻ると手を合わせ源太郎は
「まぁ縁もゆかりもねぇが爺がいつもそばに居るからな」
と言った。




