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仕込み  作者: 真鍋
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「いいですか今、想像されている採石場は現在です岩肌は剥き出し重機が動き回っていますね」


 2人は目を瞑り頷いていた、背後では先生がお手並み拝見と言わんばかりに笑顔で黙っておられる。


「では時を巻き戻します、岩肌は元に戻って行き何処にでもある山へ戻りました、すると麓から道が延びていきます人々も通り始め峠道の誕生です、更に中腹や頂上付近には家が建ち畑も耕されそこへ住む人々が現れました、すると男女が2人、夫婦でしょうか女性は何故か悲しんでいます男性はその女性を慰める様になだめています」


 ここで私は一息つくと喉の渇きも忘れ続きを語り出す、しかしこの部屋は妙に乾燥している。


「2人の間には男の子が産まれていました、しかしその姿は何処にもありません、子供は産まれてまもなく亡くなってしまいました2人はその亡骸を埋葬し上には墓標を置きました、しかし立派な物でなく大き目のただの丸い石です」


 私は続けた。


「さてここから時は現在に流れて行きます、2人は月命日には華を供え命日にはお金に余裕があればお坊さんを呼びました、時は流れ2人も歳をとって行きます子供もその後産まれましたが両親が亡くなるとそんな兄がいた事も徐々に薄れ更にその次の世代にはこの石の由縁すら忘れ去られただの路傍の石です、そして村は廃れ人々は遠退き峠道も草木が覆い何処にでもある山の姿に戻りました、そしてその山は採石場になり山肌は削られあの村のあった場所、そしてあの石も、そして石は破砕機で砕かれるとコンクリートの粗骨材となり今ここにあると言う事です」


 私は機器の置かれた基礎を指差した、先生は手首から先だけで小さく拍手していたので私は照れ隠しで頭を掻いた、さて当の支配人はと言うと恨めしそうな顔で基礎部分を眺めていた私は支配人の心内を読んでプランBを支配人へ話す事にした。


「実は私、前職は都内で経営コンサルタントをやっておりました、こちらの旅館をざっと拝見させていただきましたが正直、インバウンド頼みとお見受けしましたが如何ですか?」


 急な話の展開に支配人は私を二度見するとこの旅館、オーナーは外国人という事を教えてくれた成程、料理などは不味くはないが細かい点へのこだわりを感じ得なかった、金を掛けず頃合いをみて転売そんな具合であろう、となると先生のプランは正直薄い、支配人が身銭を切る事もないであろう、そこでプランBなのだがこれは先生の猛反対を買うかもしれなかったが結果的に先生のプランへ行き着く事を説明すれば納得されるだろう、私は支配人の目を覗き込み心をくすぐった。


「多分オーナーはyesとは言わないでしょう、しかしこのままでは従業員の退職が増えてしまうのではないかと危惧しています」


 私はではとプランBを語り聞かせる為まず源太郎に聞いた、上で聞く予定だったがこの質問は源太郎が最適だった。


「源太郎さん、声が聞こえ始めて何か体調を崩されたとか機械が不調をきたすとか御座いましたか?」


「いや、これと言ってねぇな健康診断では医者が驚いていたよ」


「成程、声が聞こえるだけで実害は特にないと」


 そこで支配人が割って入ると再度従業員が怖がり辞めて行くと言うのだ確かに実害ではあるがそれも給与に上乗せされれば状況は変わってくるであろう。


「支配人、これは可能性の話で何の保証もありませんがどうです逆にこの怪異を売りになされては?」


 支配人と源太郎は目を見開き驚いていた、背後の先生は見えないが大凡(おおよそ)同じ反応であろう私は続けた。


「意外と怪異を好む人種は多いのです、しかも眉唾でなく真の怪異、そんな連中が黙っている筈はありません連日押しかけ怪異を目の当たりにすれば如何でしょう、その内取材も来るのではそれを見た連中の反応は言わずもがなでしょう、あくまで可能性の話ですよ、それに今は実害はなくともその内現れるかもしれませんし」


 私が源太郎を見ると源太郎は目を逸らしよせやいと吐き捨てたが支配人の反応は明らかであった私は笑いながら続ける。


「もしかすれば実害は集客数にも影響が出る可能性も否めません、しかしその時は改めて⋯」


 私は再度基礎を指差した、支配人は何度も頷くプランBにかなり好感触のようだったが源太郎が先生に聞いた。


「にいちゃんでなく専門家のお坊さんに聞くが怨霊って言うのかい今は子供だが将来怨霊になったりしないのかい?俺もよく知らんがテレビとかでやってるだろ人を呪い殺したりするやつ、正直にいちゃんの言ってる事如何思ってるんだいあまり納得いってない表情だが」

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