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車を玄関へつけると暫くして先生が支配人を伴い出て来られた、先生は支配人から何か包みを受け取られると助手席へ乗って来られた。
「先生それは?」
「あぁこれはお弁当だよ支配人の計らいで持たせてくれました」
私は苦虫を噛み潰した様な表情で言った。
「これでよしなにじゃないですよね先生」
先生は笑われた、笑いながら『別にそれならそれで良いではないですか何もないより』と善人にも程があると私は呆れた。
「先生、流石にこの辺りには有りませんでしたので市立図書館へ向かいます」
『お願いします』そう仰ると先生はいつもの様にシートを倒し眠りにつかれた、本当によく眠る人だと感心する徒歩で廻られてた頃はどうなされていたのか、まさか歩きながら眠る技術でも習得されているのか、流石に厳しい修行でもそれは無理だろうと自己完結させ車を出した、市立図書館は30分程で到着したそこは集約型公共施設とでも言おうか役所に体育館、ホールにプール、そして図書館が敷地内に詰め込まれていた、広大な駐車場へ入るとなるべく図書館に近い場所へ駐車した。
平日昼前の図書館に人気はなく音量を抑え流れているBGMがわかる程であった、私はカウンターにいた司書に地域の古地図と地域史のコーナーを聞き先生には場所の確保をお願いした、古地図をコピーして貰らいそれを手に先生のいるテーブルへ向かうと先生は半円を描くカーテンウォール沿いの丸テーブルに座っておられた先生は自らお探しになられた本を5冊ほどテーブルへ置き既に1冊目に目を通されていた、私は先生の向かい側へ腰を下ろすと古地図と現代地図を照らし合わせ旅館の位置を古地図に赤ペンでマークしようと地図を睨んだ、いつもの事であるが古地図とは縮尺は滅茶苦茶、基本フリーハンドしかも筆書きなのである、例えていうなら遊園地の案内図あれである、しかし3年間は伊達ではない国土地理院最古の地図をタブレットへ入れてあるのだしかも民間へは開示されていない機密資料である、
出処は例の女史であるのは言うまでもない、今度はその地図と古地図を照らし合わすと同じ文字が彼方此方に見受けられた、次は現代地図と機密の地図をタブレット内で重ね合わす、旅館の座標をポイントすると現代地図を消す、地図上では等高線の幅は広くほぼ直線、2本の箸の様な絵が描かれているがこれは草だろうか、荒れているかは掴めないが源太郎の言う通り野原である事に間違いなかった、一応大正、昭和初期の地図も調べたがやはり最初のホテルが建設されるまで何もない様である、土地の因縁の線は消して良いであろうそれを先生へ伝えた。




